カシーダ

クルアーン開端章、バスマラの最初の語は伸ばして書かれることが多い

カシーダ(kashida、ペルシア語: کشیده kešidé、アラビア語: كشيدة)は、アラビア系文字の表記で、単語の横幅を引きのばすために使用される連結線をいう。カシーダはさまざまな目的に用いられるが、カシーダの有無によって語の意味が変わることはない。

タトウィール(tatweel、アラビア語: تطويل)とも呼ばれる。

概要

カシーダという言葉は、「引く、引き伸ばす」という意味を持つペルシア語の動詞ケシーダン(kešidán کشیدن)から派生した、「引き伸ばされた、長い」という意味の形容詞に由来する。手書きの場合、文字そのものの幅を変えることも多いが、組版においては文字幅を自在に変えることは難しいため、文字どうしを連結する線の長さを伸ばすことで対応する。

カシーダが使用されるのは以下のような場合である。

連結線をどの文字の後ろに挿入するかは複雑な優先順位が存在する。

コンピュータ上の検索や照合ではカシーダは無視されることが望ましいが、そのように設計されているソフトウェアは少ない。

文字コード

アラビア文字の7ビットコードASMO 449、8ビットコードISO/IEC 8859-6のいずれもカシーダを定義している。

Unicodeでの符号位置は U+0640 ـ arabic tatweel (HTML: ـ) である。なお、この文字はアラビア系文字以外にシリア文字やマンダ文字にも使うことができる。

ウェブブラウザ

Internet Explorerバージョン5.5以降ではアラビア文字の文章に自動的にカシーダが挿入されていた。また、カシーダを制御するためにtext-justifyプロパティの値として「kashida」が使えた。ほかにtext-kashida-spaceプロパティもあったが、バージョン8以上ではサポートされていない。

CSS3にもtext-justifyプロパティがあるが、「kashida」は2013年に除かれた。

その他

ArabTeXには自動的にカシーダを挿入する機能がある。

脚注

  1. ↑ Francis Joseph Steingass (1892). A Comprehensive Persian-English Dictionary. Routledge & K. Paul. p. 1035
  2. ↑ Benatia, Elyaakoubi, Lazrek (2006) p.138
  3. ↑ 道広勇司『アラビア系文字の基礎知識』2005年、18頁。
  4. ↑ Arabic, The Unicode Consortium, "inserted to stretch characters or to carry tashkil with no base letter"
  5. ↑ Azmi, Alsaiari (2013) p.86
  6. ↑ Unicode Standard Version 9.0 p.396,404
  7. ↑ Nelson, Paul, Justifying Text using Cascading Style Sheets (CSS) in Internet Explorer 5.5, Microsoft Developer Network
  8. ↑ text-kashida-space property, Microsoft Developer Network
  9. ↑ CSS Text Module Level 3: W3C Last Call Working Draft 10 October 2013, World Wide Web Consortium

参考文献

外部リンク