2004年アメリカ合衆国大統領選挙
2004年アメリカ合衆国大統領選挙(2004ねんアメリカがっしゅうこくだいとうりょうせんきょ、英語: United States presidential election, 2004)は、2004年11月2日に行われたアメリカ合衆国大統領選挙(第55回)である。現職の共和党のジョージ・W・ブッシュが民主党のジョン・ケリーを激戦の末に下し再選を果たした。
概要
最終的には現職の大統領が再選を果たす結果となったが、2000年の選挙同様中規模以上の1州の結果が逆転するだけで、当選者が入れ替わる大接戦だった。
13万6,000票差でブッシュが勝利したオハイオ州では、州法に基づき、民主党、リバタリアン党、および緑の党が未集計の暫定投票分も含め、全投票の手作業による再集計を要求。11月15日、11万ドルあまりの集計費用を負担し、再集計は実施された。
また、9,100票差でケリーが勝利したニューハンプシャー州でも、主に光学スキャナーを使用していた選挙区の開票結果に不可解な点があるとして、無所属のラルフ・ネーダーらの要求により、再集計が行われた。前回の大統領選でパンチカード式から電子投票に変えたフロリダ州でも疑惑がつきつけられた。
しかし、2005年1月6日、上院・下院合同本会議で、各州の選挙結果を受けた大統領選挙人による投票が行われ、ブッシュの当選が確定した。バーバラ・ボクサー上院議員・ステファニー・タブズ下院議員が選挙結果を覆そうと異議申し立てを行ったが、上院1対74、下院31対267といずれも圧倒的大差で否決された。両院が異議申し立てについて審議したのは、1877年以来2回目である。
選挙期間中、民主党寄りで知られるCBSの「CBSイブニングニュース」及び「60ミニッツ」が、「ブッシュの軍歴詐称」をスクープし放送した。しかし、放送内で軍歴詐称の証拠として紹介したメモに信憑性がほとんどないことが判明し、国民からの批判が集中した。CBSは元司法長官と元AP通信社長2人に委託して外部調査委員会を設け、放送から4ヶ月後に調査結果を報告した。その結果、完全な誤報であることが確定した。
この件を受けて、60ミニッツ担当のプロデューサーや、著名なキャスターであったダン・ラザーを含むCBSの複数の幹部が解雇された。
候補者
共和党
- ジョージ・W・ブッシュ大統領。
副大統領候補者はディック・チェイニー副大統領。
民主党
詳細は2004年アメリカ合衆国大統領民主党予備選挙を参照
副大統領候補者はジョン・エドワーズ ノースカロライナ州選出上院議員。
予備選の候補者:
- ハワード・ディーン 前バーモント州知事
- リチャード・ゲッパート ミズーリ州選出下院議員
- デニス・クシニッチ オハイオ州選出下院議員
- ボブ・グラハム フロリダ州選出上院議員
- キャロル・モズリー・ブラウン 前イリノイ州選出上院議員
- ジョー・リーバーマン コネチカット州選出上院議員
- ウェズリー・クラーク 退役陸軍大将
- アル・シャープトン 牧師
緑の党
- デイビッド・コブ
独自候補/改革党
リバタリアン党
- マイケル・バドナリク
結果
州ごとの結果
出典:official Federal Election Commission report.
メイン州とネブラスカ州の選挙区ごとの結果
†メイン州とネブラスカ州では選挙人を候補者間で分けることができる。両州とも選挙人2人が全州での勝者に割り当てられる。またそれぞれの下院選挙区の勝者に選挙人1人がそれぞれ割り当てられる。以下の票は2州の選挙区ごとの公式結果である。
接戦だった州
青字は民主党、赤字は共和党が勝利したことを示す。数字は得票率の差。
得票率差1%未満 (選挙人22):
- ウィスコンシン州 0.38%
- アイオワ州 0.67%
- ニューメキシコ州 0.79%
得票率差5%未満 (選挙人数93):
- ニューハンプシャー州 1.37%
- オハイオ州 2.11%
- ペンシルベニア州 2.50%
- ネバダ州 2.59%
- ミシガン州 3.42%
- ミネソタ州 3.48%
- オレゴン州 4.16%
- コロラド州 4.67%
得票率差5%以上10%未満 (選挙人数149):
- フロリダ州 5.01%
- メイン州第2区 5.82%
- ニュージャージー州 6.68%
- ワシントン州 7.18%
- ミズーリ州 7.20%
- デラウェア州 7.59%
- バージニア州 8.20%
- ハワイ州 8.74%
- メイン州 9.00%
- アーカンソー州 9.76%
- カリフォルニア州 9.95%
終了後の動き
今選挙によってアメリカ国民が二派に分裂したことが浮き彫りになった。抗議デモも起こるなどケリー候補の落選により落胆する国民も約半数ほどを占め、今後どう世論の沈静化を図るかが最大の国内問題となった。また、イラク政策ではネオコン主導の下行動した結果、長期戦争と化し世界的懸念問題に発展、さらに欧州同盟国との意見分裂・相互不信感の増大に陥り失策となってしまった経緯があることから、複数のメディアからはネオコンから離れた人選をし、対外政策の建て直しとアメリカ合衆国の信頼回復に向けた政策転換が行われるのではとの見方が広まった。
民主党はイラク戦争や内政に対する批判で2006年の中間選挙にて主導権を回復させた。翌年にはナンシー・ペロシが下院議長を務めることとなる。