共通γ鎖(きょうつうガンマさ、英: common gamma chain、略称: γc)もしくはCD132、インターロイキン-2受容体γサブユニット(IL-2RG)は、少なくとも6種類の異なるインターロイキン受容体(IL-2受容体、IL-4受容体、IL-7受容体、IL-9受容体、IL-15受容体、IL-21受容体)に共通するサイトカイン受容体サブユニットである。γcは大部分のリンパ球集団に発現している糖タンパク質であり、γcをコードする遺伝子(IL2RG)はX染色体上に存在している。
γcは骨髄中の未成熟な造血系細胞にも存在している。γcの一方の端は細胞外でサイトカインを結合し、もう一方の端は細胞内でシグナルを細胞核へ伝達する。γcは他のタンパク質とともに、造血系細胞からリンパ球の形成を指揮する。また、T細胞、B細胞、自然リンパ球、NK細胞などのサブタイプへの成長と成熟も指揮する。これらの細胞はウイルスの死滅、抗体産生、免疫系全体の調節といった役割を果たす。

γcは他のリガンド特異的受容体サブユニットをパートナーとして、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、IL-21といったサイトカインに対するリンパ球の応答を指揮する。
γcはJAK3と相互作用することが示されている。
γcはリンパ球において、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、IL-21に応答したシグナル伝達に重要な役割を果たしている。IL-4Rα、IL-7Rα、IL-9Rα、IL-21Rα、IL-2RまたはIL-15Rのいずれかに対してそれぞれ対応するリガンドが結合すると、γcは迅速にリクルートされてパートナーの細胞質テールとヘテロ二量体を形成する。その後、γcはJAK3を活性化し、パートナーの受容体サブユニットはJAK1を活性化する。JAK1とJAK3はγcとパートナーの双方の細胞質テールをリン酸化し、それによってSTATがリクルートされる。JAK1とJAK3はSTATをリン酸化し、リン酸化されたSTATは他のリン酸化STAT分子と二量体または四量体を形成して核へ移行する。核内ではSTATはDNA上のSTATモチーフに結合し、特定の遺伝子の転写を誘導する。
X連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)は、IL2RG遺伝子の変異を原因とする。X-SCIDの患者では、200種類以上の変異がIL2RG遺伝子に同定されている。こうした変異の大部分は、遺伝子内のDNAが1から数ヌクレオチド変化したものである。この変化によって、非機能的なγcタンパク質が産生されるようになったり、γcタンパク質が全く産生されなくなったりする。γcが存在しない場合、重要な化学的シグナルが核へ伝達されず、リンパ球は正常に発生することができない。成熟した機能的なリンパ球が欠けることで、感染症から体を保護する免疫系の能力が破綻する。この疾患の患者は免疫機能を持たないため、骨髄移植を行うか、病原体曝露からの隔離を行わない限り、出生後数か月以内に死に至る。IL-7やIL-15からの重要なシグナルが得られない場合、それぞれT細胞集団、NK細胞集団の発生が行われない。
動物モデルでの実験では、イヌは同様にX-SCIDを発症するものの、マウスでは発症はみられない。
免疫応答の変化は、統合失調症など多くの精神神経疾患の発症に関与している。いくつかの炎症性サイトカインや走化性サイトカイン、そしてそれらの受容体のバリアントがこの疾患と関連している。γcは多くのインターロイキン受容体においてシグナル伝達の重要な構成要素となっているが、これまでのところIL2RG遺伝子の多型と統合失調症との関連に関するデータは報告されていない。一方、IL2RG遺伝子の過剰発現が統合失調症における免疫応答の変化と関連しており、この疾患の発症に寄与しているいる可能性が示唆されている。