FISM

FISM(フィズム、仏: Fédération internationale des sociétés magiques,英: International Federation of Magic Societies)は、世界各国の団体が加盟する、マジックにおける世界最大規模の連合体である。FISMの統一された日本語訳はなく、奇術師団体国際連合、国際マジック団体連合、マジック協会国際連合などと訳されることもあるが、FISMが一般的である。3年に1度開催される「FISMマジック世界大会」を略してFISMという場合もある。

概要

1937年にフランスのジュール・ドッテルが提唱し、世界規模でのマジック団体の交流をめざして企画された案は、第二次世界大戦の影響で立ち消えとなったが、大戦後の1948年にスイス・ローザンヌで設立された。現在では51カ国、114の団体が加盟し(2025年現在、アジアは27団体)、FISMに含まれるマジシャンは全世界で80,000人を超える。FISMの法人としての最初の登録は、歴史的背景からスイスで登録を行なわれた。

2005年FISM事務局長E.エスウィンより「FISMの将来について」と題する文書が各国マジック団体代表者に向けて発表された。

それによると、「FISMはマジック芸術の促進のための先導的なグローバルな基盤と位置づけられるべき」とされ、「世界中で先導的なプロマジックの機関へと発展するために、今後の活動やシステムについて整備」されようとしている。FISMがヨーロッパを中心とした組織から脱皮し、国際的に認知されるために、世界をアフリカ、アジア、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、北米、オセアニアの6つの大陸組織に分け、これらを国際的FISMの(地域別)下部組織とする構想が進められた。

その結果、アジアでは地域管轄組織としてFISM ASIAが存在する(同様にその他の5つの地域にも下部組織が存在する)。コンテスタントとしてWCMに出場するためには、アジア在住者の場合、FISM ASIAが運営するACM(Asian Championships of Magic)に出場し、通過することが条件である。

FISMの基本理念は、国によって異なるマジック文化やマジシャンの交流、コンテストの運営であり、これらを行うFISMの世界大会および総会が3年に1度開催されている(FISM World Championships of Magic(FISM-WCM、 FISMマジック世界大会)。

FISMの基本理念

(1)マジックの世界的プラットフォームをリードし、アート・オブ・マジックの強化、促進、発展に尽力する。

(2)マジックの組織を統一し、マジックとマジシャンの利益に関する一般的な問題を申し出ることができる中央機関を創設する。

(3)加盟団体間の協力を強化し、その活動を調整し、その権限を強化し、相互援助やサービスの交換を奨励する。

(4)マジックの歴史に関する知識を開発、促進、保存すること。

(5)マジックの行為、効果、発明、プレゼンテーション、またはオリジナルのルーチンの暴露とコピーに対して戦うこと。

これらの基本理念を、実践するためにFISM地域別大会やFISM世界大会および総会が3年に1度開催されている(FISM-World Championships of Magic(FISM-WCM、 FISMマジック世界大会)。

Board(理事会)

理事会は国際会長1名と 2国際副会長2名で構成される。

FISM WCM 2025の総会で、新しい理事会が選出された。任期は3年で再選可能である。

さらにBoardをサポートするメンバーとして

 さらに、FISM ACADEMYのディレクターとしてPeter Dinがその任にあたる。

FISM公認審査員

FISM公認審査員は2025/8現在、全員で76名、トレーニング中の審査員が17名になる。

その中で、日本人審査員(日本在住)は5名である(瀬島純一郎、深井洋正、ヒロサカイ、桂川新平、田代茂) 

また、米国在住の日本人審査員としてセロ、緒川集人の2名が挙げられる。

なお、公認審査員になるためにJQCという制度が設けられている。

世界大会

第1回大会は1948年にスイス・ローザンヌで開かれ、以後毎年開催されたが、1955年第6回オランダ・アムステルダム大会から3年に1度の開催と変更された。大会としての規模は世界最大級のマジックのイベントで「マジック界のオリンピック」ともよばれる。

7月に6日間にヨーロッパで開催されるのが通例であり、アジアでは1994年は日本(横浜)、2009年は中国(北京)、2017年は韓国(釜山)で開催された。

FISMの開催期間中に行われるガラ・ショーに出演することは名誉なことで、世界的に通用する実力であることが認められることになる。

また、コンテストに入賞あるいはグランプリを獲得すれば、マジシャンとして最高の誉と名声を得ることになるため、世界中から毎回100~150組近くの演技者が参加する。コンテストで要求されるレベルは非常に高く、第一線で活躍しているプロマジシャンが真剣勝負する場にもなっている。

WCMへ出場するには、FISM加盟クラブの会員であることが必須で、各クラブで開催する選考会を通過後、アジア地域におけるFISM地域別予選会である(FISMアジアが運営する)ACM(Asia Chanpionships of Magic、アジアコンテスト)へ出場しなければならない。ACMを「FISMアジア」と称することがあるが、正確には「FISM ASIA」は組織名であるため、この大会は「ACM」と記載することが正しい。

以下に最新の審査基準と表彰区分を示す。

世界大会の審査基準

審査は、6つの観点からなる公平な審査基準によって厳格におこなわれ、レベルの高さを求められる。

審査は厳しく、演技中に失格となる場面も少なくない。

部門別表彰

(特別賞)

グランプリ表彰

過去に受賞したマジシャンは、グランプリに輝いた フレッド・カップス(オランダ)、リチャード・ロス(オランダ)、 ランス・バートン(アメリカ)、クロースアップ・マジックのダロー(アメリカ)、マイケル・アマー(アメリカ)など錚々たる顔ぶれである。中でも、フレッド・カップスは通算3大会でグランプリを受賞し、リチャード・ロスは第11、12回2大会連続グランプリ受賞という記録を打ち立てたが、その後、「過去にグランプリを受賞したものは、同じ演技で再びコンテストに参加することはできない」とルールに規定された。

FISMグランプリ受賞者

回年開 催 地 (国 名)部  門受 賞 者 (国 名)
第1回1948年ローザンヌ(スイス)Willane(イギリス)
第2回1949年アムステルダム(オランダ)Viggo Jahn(デンマーク)
第3回1950年バルセロナ(スペイン)Mystica(後にFred Kaps)(オランダ)
第4回1951年パリ(フランス)Geoffrey Buckingham(イギリス)
第5回1952年ジュネーブ(スイス)Moroso(イタリア)
第6回1955年アムステルダム(オランダ)Fred Kaps(オランダ)
第7回1958年ウィーン(オーストリア)Tonny Van Dommelen(オランダ)
第8回1961年リエージュ(ベルギー)Fred Kaps(オランダ)
第9回1964年バルセロナ(スペイン)Pierre Brahma(フランス)
Mr.Cox(西ドイツ)
第10回1967年バーデン=バーデン(西ドイツ)Di Sato (Harry Theiry)(オランダ)
第11回1970年アムステルダム(オランダ)Richard Ross(オランダ)
第12回1973年パリ(フランス)Richard Ross(オランダ)
第13回1976年ウィーン(オーストリア)Pierre Brahma(フランス)
第14回1979年ブルッセル(ベルギー)Ger Copper(オランダ)
Sultangali Shukurov &

Sara Kabigujina(ソ連)

第15回1982年ローザンヌ(スイス)Lance Burton(アメリカ)
第16回1985年マドリード(スペイン)Javier & Ana(スペイン)
第17回1988年ハーグ(オランダ)Johnny Ace Palmer(アメリカ)
第18回1991年ローザンヌ(スイス)Vladimir Danilin(ソ連)
第19回1994年横浜(日本)Franklin(ドイツ)
第20回1997年ドレスデン(ドイツ)Ivan Necheporenko(ロシア)
第21回2000年リスボン(ポルトガル)Scott the Magician &

Miss Muriel(オランダ)

第22回2003年ハーグ(オランダ)ステージNorbert Ferré(フランス)
クロースアップJason Latimer(アメリカ)
第23回2006年ストックホルム(スウェーデン)ステージPilou(フランス)
クロースアップRick Merrill(アメリカ)
第24回2009年北京(中国)ステージSoma(ハンガリー)
クロースアップShawn Farquhar(カナダ)
第25回2012年ブラックプール(イギリス)ステージユ・ホジン(韓国)
クロースアップYann Frisch(フランス)
第26回2015年リミニ(イタリア)ステージHector Mancha(スペイン)
クロースアップPierric(スイス)
第27回2018年釜山(韓国)ステージMiguel Munoz(スペイン)
クロースアップEric Chien(台湾)
第28回 2022年 ケベック(カナダ) ステージ Laurent Piron (ベルギー)
クロースアップ Simon Coronel (USA)
第29回 2025年 トリノ(イタリア) ステージ Francesco Della Bona(イタリア)
クロースアップ Ibuki(日本)

日本の参加

FISM横浜大会

日本の正式メンバー団体

日本人受賞者

回年開 催 地 (国 名)部  門賞受 賞 者
第14回1979年ブリュッセル(ベルギー)マニピュレーション第2位真田豊実
第15回1982年ローザンヌ (スイス)マニピュレーション特別賞真田豊実
第16回1985年マドリード(スペイン)マニピュレーション第2位マーカ・テンドー
ゼネラルマジック第2位深井洋正&キミカ
第17回1988年ハーグ(オランダ)ゼネラルマジック第3位YUKA
グランドイリュージョン第3位ナポレオンズ
ミクロマジック第3位斎川豊久
第18回1991年ローザンヌ(スイス)該当者なし
第19回1994年横浜(日本)マニピュレーション第2位内田貴光
グランドイリュージョン第3位安田悠二
カードマジック第3位和田裕治
第20回1997年ドレスデン(ドイツ)ゼネラルマジック第2位スガヤ幸一
第21回2000年リスボン(ポルトガル)マニピュレーション第1位峯村健二
ゼネラルマジック第2位ゆみ
第22回2003年ハーグ(オランダ)マニピュレーション第3位峯村健二
第23回2006年ストックホルム(スウェーデン)該当者なし
第24回2009年北京(中国)マニピュレーション第1位加藤陽
第25回2012年ブラックプール(イギリス)該当者なし
第26回2015年リミニ(イタリア)該当者なし
第27回2018年釜山(大韓民国)マニピュレーション第3位岩根佑樹
マニピュレーション第3位片山幸宏
パーラーマジック第3位高重翔
第28回 2022年 ケベック(カナダ) パーラーマジック 第1位 緒川集人(USA)
パーラーマジック 第3位 JONIO
第29回 2025年 トリノ(イタリア) クロースアップ グランプリ Ibuki
マイクロマジック 第1位 Ibuki
パーラーマジック 第3位 JONIO
クロースアップ インベンション 野島伸幸

脚注

[脚注の使い方]
  1. ↑ “JCMA”. 2013年8月30日閲覧。 - FISMの加盟団体であるJCMAのサイト
  2. ↑ “FISMの将来について”. 2013年10月10日閲覧。 - 中部奇術連合会のサイト
  3. ↑ “マジック五輪3位に躍進 滋賀の片山さん、技術力評価 : 京都新聞”. www.kyoto-np.co.jp. 2019年1月22日閲覧。
  4. ↑ “山口新聞/ニュース”. www.minato-yamaguchi.co.jp. 2019年1月22日閲覧。

外部リンク