| 機能的磁気共鳴画像法 (fMRI) | |
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| 医学的診断 | |
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統制条件と比較して活動が増加している領域を黄色で示すfMRI画像 | |
| 目的 | 血流の変化を検出して脳活動を測定する。 |



fMRI (英語:functional magnetic resonance imaging、機能的磁気共鳴画像法、または機能的MRI) はMRI(核磁気共鳴も参照)を利用して、ヒトおよび動物の脳や脊髄の活動に関連した血流動態反応を視覚化し、脳活動を測定する方法の一つである。
fMRIの主要な形式は、1990年に小川誠二とその同僚によって発見された血中酸素濃度依存(BOLD)コントラストを使用する。これは特殊な脳および身体のスキャンの一種であり、神経細胞のエネルギー使用に関連する血流の変化(血流力学応答)を画像化することにより、ヒトや他の動物の脳または脊髄における神経活動をマッピングする。1990年代初頭以来、fMRIは脳機能マッピング研究の主流となってきた。fMRIは非侵襲的であり、通常は注射や手術を必要とせず、ポジトロン断層法(PET)のように放射性トレーサーなどの物質を摂取する必要もないという特徴がある。しかし、fMRIを使用して取得されたデータは、さまざまなノイズを含むため、基礎となる信号を抽出するために統計的手順が使用される。結果として得られる脳の活性化は、脳全体または研究対象の特定の領域全体の活性化の強度を色分けすることによってグラフィカルに表現できる。この手法は、空間分解能としては脳の活動の範囲をミリメートル単位以内の精度を持つが、時間分解能としては数秒のよりも優れたものは得られない。コントラストを得る他の方法として、動脈スピンラベル法や拡散MRIがある。拡散MRIはBOLD fMRIに似ているが、脳内の水分子の拡散の大きさにマッピングされたコントラストを提供する。
課題や刺激による活動からのBOLD応答を検出することに加えて、fMRIは安静状態、または負の課題状態を測定することもでき、被験者のベースラインのBOLD変動を示す。1998年頃から、機能的に接続された神経ネットワークである「安静時の脳状態」であるデフォルトモードネットワークの存在と特性を示す研究が行われている。
fMRIは研究に用いられ、より少ない程度で臨床業務にも用いられる。脳波(EEG)や近赤外線分光法(NIRS)など、他の脳生理学の測定を補完することができる。空間分解能と時間分解能の両方を向上させる新しい手法が研究されており、これらは主にBOLD信号以外のバイオマーカーを使用している。一部の企業はfMRI技術に基づく嘘発見器などの商用製品を開発しているが、その研究は広く商用利用されるほど十分に開発されているとは考えられていない。
fMRIは、以前のMRIスキャン技術の開発と酸素を豊富に含む血液の特性に基づいている。MRI脳スキャンは、強力で均一な静磁場を使用して、研究対象の脳領域内の原子核のスピンを整列させる。次に、均一なものではなく勾配の強さを持つ別の磁場を与えて、異なる原子核を空間的に区別する。最後に、高周波(RF)パルスを適用して原子核のスピンを反転させるが、勾配磁場のため、その影響は原子核が配置されている場所に依存する。高周波(RF)パルスの後、原子核は元の平衡状態のスピン集団に戻り、放出されたエネルギーがコイルで測定される。勾配磁場を使用することで、原子核の位置を特定できる。したがって、MRIは脳物質の静的な構造ビューを提供する。fMRIの中心的な推進力は、MRIを拡張して神経活動によって引き起こされる脳内の機能的変化を捉えることであった。動脈血と静脈血の磁気特性の違いが、この機能的変化を明確にしている。

1890年代以降、脳内の血流と血液の酸素化の変化が神経活動と密接に関連していることが明らかになった。ニューロンが活動すると、それらの脳領域への局所的な血流が増加し、約2秒後に酸素を豊富に含む酸素を多く含む血液が、酸素が枯渇した血液に取って代わる。これは4〜6秒かけてピークに達し、その後元のレベルに戻る(そして通常はわずかにアンダーシュートする)。酸素は、赤血球内のヘモグロビン分子によって運ばれる。デオキシヘモグロビン(dHb)は、磁気に耐性のある(反磁性)酸素化ヘモグロビン(Hb)よりも磁性が強い(常磁性)特徴がある。反磁性の血液は磁気MR信号への干渉が少ないため、この違いにより磁気MR信号の差が見られる。この差をマッピングすることで、一度にどのニューロンが活動しているかを示すことができる。
19世紀後半、アンジェロ・モッソは「人間の循環バランス」を考案した。これは、感情的および知的活動中の血液の再分布を非侵襲的に測定するというものであった。アンジェロ・モッソは、「信号対雑音比」、実験パラダイムの適切な選択、異なる生理学的パラメータの同時記録の必要性など、現代のニューロイメージングに依然として関連するいくつかの重要な変数を先駆けて調査した。モッソの考案は、認知による脳血流の変化を実際に測定できたという直接的な証拠はなかったが。しかし、David T Fieldによって再現実験により現代の信号処理技術を使用して、このタイプの天秤装置が認知に関連する脳血液量の変化を検出できることを実証している。
1890年、チャールズ・ロイとチャールズ・シェリントンは、ケンブリッジ大学で初めて脳機能と血流を実験的に結び付けた。次に、1936年にライナス・ポーリングとチャールズ・コリエルが、酸素を豊富に含む血液は磁場に弱く反発する一方、酸素が枯渇した血液は磁場に引き付けられることを発見した。
これらの生理学的および磁気的な発見を背景に、1990年、ベル研究所(AT&T Bell labs)の小川誠二は、脳の活動領域における血中酸素状態の違いがMRI信号に変化をもたらすことに着目し、BOLDコントラストを発見した。小川と同僚は、Thulbornらによる初期の研究に基づく画期的な研究で、齧歯動物を強力な磁場(7.0 T)MRIでスキャンし、動物が呼吸する酸素の割合を低下させると、脳内の血流のマップがMRIで見られたことを発見した。彼らはまた、T2*減衰と呼ばれる磁化の喪失の一形態に依存するグラディエントエコー画像が最良の画像を作成した。これらの血流の変化が機能的な脳活動に関連していることを示すために、ラットが呼吸する空気の組成を変更し、EEGで脳活動を監視しながらラットをスキャンした。
ハーバード大学のBelliveauと同僚は、静脈内注射後に血流に残る常磁性物質である造影剤マグネビストを使用して、局所的な脳活動を検出を試みた。しかし、この方法は造影剤の注射の不便さと、薬剤が短時間しか血液中に留まらない性質のため、ヒトのへの応用は普及しなかった。
1992年には、このBOLDコントラストを初めてヒトに応用する3つの重要な研究が相次いで発表された。ケネス・クォンらはヒトの視覚野の明確な活性化を示した。小川とウグルビルらは、ミネソタ大学のUgurbilの研究所で、より強力な磁場を用いて灰白質の高解像度画像を作成してT2*減衰への依存性を確認した。バンデッティーニらは随意運動を制御する回路の最終段階にある脳領域である一次運動野の活性化を発見した。これらの初期研究で用いられた磁場強度やパルスシーケンス、BOLDメカニズムといった基本技術は現在のfMRI研究にもそのまま引き継がれており、今日ではより広範囲のデータ収集と高度な統計処理を加えることで、脳機能の解明に不可欠な技術として発展している。
脳は主要なエネルギー源であるグルコースを大量には貯蔵できない。ニューロンが活動するとき、それらを元の極性化された状態に戻すには、ニューロンの細胞膜を越えて両方向にイオンを能動的に送り出す必要があり、それらのイオンポンプを動かすエネルギーは、主にグルコースから生成される。そのため、多くのグルコースと、酸素を多く含むヘモグロビンを運ぶ必要がある。そのため、血流速度の上昇と血管の拡張の両方が起こる。血流の変化は、神経活動がある場所から2〜3 mm以内に局在する。通常、持ち込まれる酸素はグルコースの燃焼で消費される酸素よりも多く、これにより、その脳領域の血管内のデオキシヘモグロビン(dHb)の減少が引き起こされる。これにより血液の磁気特性が変化し、MRIプロセスによって誘発される磁化とその最終的な減衰への干渉が少なくなる。
脳血流(CBF)は、脳領域によって消費されるグルコースに異なる形で対応する。初期の結果では、扁桃体、大脳基底核、視床、帯状皮質など、迅速な応答のために動員される領域では、グルコースの消費よりも流入の方が多いことが示されている。外側前頭葉や外側頭頂葉など、より熟考を行う領域では、流入する血流は消費よりも少ないと思われる。これはBOLDの感度に影響を与える。
ヘモグロビンは、結合した酸素分子を持っているかどうかによって、磁場に対する応答の仕方が異なる。dHb分子は磁場に引き付けられやすい。したがって、MRIスキャナーによって誘導される周囲の磁場を歪め、そこにある原子核がT2*減衰を介してより速く磁化を失う原因となる。したがって、T2*に敏感なMRパルスシーケンスは、血液が高度に酸素化されている場所ではより多くのMR信号を示し、そうでない場所ではより少ないMR信号を示す。この効果は、磁場の強さの2乗とともに増加する。したがって、fMRI信号は、強力な磁場(1.5 T以上)と、T2*コントラストに敏感なEPIなどのパルスシーケンスの両方を必要とする。
生理学的な血流応答は、BOLD fMRIにおいて、ニューロンがいつ活動しているかをどれだけ正確に測定できるかという時間感度を大きく決定する。基本的な時間分解能パラメータ(サンプリング時間)はTRと呼ばれる。TRは、特定の脳スライスが励起され、磁化を失うことが許可される頻度を決定する。TRは、非常に短い(500 ms)ものから非常に長い(3 s)ものまでさまざまである。特にfMRIの場合、血流力学応答は10秒以上続き、乗数的に(つまり現在の値の割合として)上昇し、4〜6秒でピークに達し、その後乗数的に下降する。血流システムである血管系の変化は、神経活動への応答を時間の経過とともに統合する。この応答は滑らかな連続関数であるため、TRをさらに速くしてサンプリングしても効果はない。単に、とにかく単純な線形補間によって得られる応答曲線上のポイントを増やすだけである。さまざまな試行で刺激が提示されるタイミングをずらすなどの実験パラダイムは、時間分解能を向上させることができるが、取得される有効なデータポイントの数を減らすことになる。
一般に、高磁場のもの程、高い空間分解能を持つ。例えばミネソタ大学(米国)の7テスラの磁気の装置を使ったデータでは、脳組織の信号よりも、表在静脈の信号が強く検出されることが示されている。理化学研究所の脳科学総合研究センターから、4テスラの装置を使った1mm未満の空間分解能の可能性を指摘する活脳図の報告もある。
時間分解能については、神経活動が開始した後、明瞭な信号の時間変化が始まるまでに1〜3秒程度かかることが報告されている。これは、fMRIが神経細胞の電気的な活動を直接見ているのではなく、血液が毛細血管通過時間をすぎて静脈相の信号変化を検出しているためである。神経活動とほぼ同時におこる酸素交換反応を高い時間分解能で得るのは難しいとされている。
長年、fMRI研究においてサンプル数は 20〜30程度とされ実験が行われていたが、統計的検出力に問題があり、研究結果の再現性が非常に低いことが指摘されている。大規模データセットを用いたシミュレーションによると、サンプル数を100程度まで増やした場合でも完璧な再現性には届かないケースが多く、「何人集めれば十分」という一律の経験則は通用しないと結論付けられている。信頼性の高い脳活動検出を行うためには、実験前に必要なサンプル数の解析をすることに加え、オープンデータや国際的な大規模共同研究(コンソーシアム)を活用することが推奨されている。
T2*強調画像法によって計測することで、毛細血管と静脈のように血管径の大きさによって、信号が異なった変化をすることが、シミュレーションによっても、実計測によっても明らかになっている。毛細血管からの信号が静脈信号よりも小さいことは、1993年小川誠二らベル研究所とミネソタ大学の共同研究で報告されている。
また、時系列情報を持ったT2*強調画像法(A)では一般的にdistortionが生じやすく、他の画像法を用いた形態画像(B)との位置合わせのずれが指摘されているが、(A)自体に形態情報が存在している。しかし、(A)の画像が荒いため、他の画像法と位置合わせをして研究発表などに用いることが多い。
ベースライン条件が最大の活動状態に近すぎる場合、特定のプロセスが適切に表されない可能性がある。実験計画に対するもう1つの制限は頭部の動きであり、これがfMRI信号の人工的な強度の変化を引き起こす可能性がある。
fMRIの実験手法である「ブロックデザイン」は、特定の課題を数十秒間連続して行うブロックと、何もしない安静ブロックを交互に繰り返す手法である。これらは共通して、課題時と安静時の血流(BOLD信号)の差を引き算して特定の脳活動を抽出する「減算パラダイム」に基づいている。ブロックデザインは、連続する刺激によって血流反応が足し合わされるため、脳活動をはっきりと検出しやすい(統計的検出力が高い)というメリットがある。一方で、同じ刺激が連続するため参加者が次の展開を予測しやすくなってしまう点や、基準となる安静状態の設定ミスや頭の動きによるノイズの影響を強く受けやすいといった欠点を抱えている。
これに対し「事象関連(イベント関連)デザイン」は、刺激を連続させるのではなく、1回1回の刺激をランダムな順序やタイミングでバラバラに提示する手法である。参加者が次に何が来るかを予測できないため、より現実世界に近い自然な状態での脳の反応をテストできるのが最大の利点である。しかし、単一の刺激に対する血流の信号変化は非常に小さいため、ブロックデザインと比較すると脳の活動を検出する力(統計的検出力)が本質的に弱くなってしまうというデメリットがある。
ブロックデザインと事象関連デザインはどちらも、特定の認知プロセスをさまざまな条件で選択的に追加できると想定する減算パラダイムに基づいている。これら2つの条件間の血流(BOLD信号)の違いは、異なる認知プロセスを反映していると想定される。さらに、このモデルは、アクティブな認知プロセスのセットに、それらに影響を与えることなく、認知プロセスを選択的に追加できることを前提としている。
fMRIにおける重複信号は、認知神経科学の研究、特に複数の刺激やタスクが時間的に接近して提示される場合に、大きな課題となる。BOLD応答は、認知イベントの急速な連続と比較して、時間分解能が遅い。これにより、さまざまな脳プロセスからの信号が重複し、特定の刺激やタスクに関連する神経活動を区別することが困難になる。この重複により、事象関連fMRI分析の精度が低下し、脳機能の解釈が複雑になる。
ブロックや事象関連デザインなどの従来のfMRIデザインは、特に非ランダム化された交互のデザインによる研究において、この信号の重複を管理することに制限があり、同じタスクや刺激が繰り返し、間隔を置いて現れる可能性がある。その結果、あるイベントからのfMRI信号が次のイベントの信号と十分に区別されることを確実にするために、刺激のタイミングが重要な要素となる。
これらの課題に対処するために、研究者は重複するBOLD応答を数学的に分離するデコンボリューション(逆折りたたみ)などの技術を採用している。2023年、Dasらは、互いに接近しているイベントによって呼び起こされる信号の畳み込みを最小限に抑えるように、個々のイベント間のタイミングを最適化するさまざまな方法を実証した。これらの方法は、全体の信号に対する各神経イベントの寄与を推定することを試み、脳活動のより正確な解釈を可能にする。実験計画を最適化するための専用ツールなどの分析方法の進歩は、信号の重複の影響を軽減し、fMRI研究の信頼性を向上させるために不可欠である。
脳が完全に休止状態になることはない。当人が生きている限り、脳は機能を停止して神経信号を発射したり、酸素を使用したりするのを止めることはない。実際、StarkとSquireによる2001年の研究「ゼロがゼロでないとき:fMRIにおけるあいまいなベースライン条件の問題(When zero is not zero: The problem of ambiguous baseline conditions in fMRI)」では、安静時の内側側頭葉(および他の脳領域)の活動は、いくつかの代替ベースライン条件よりも実質的に高かった。安静時のこの活動の高まりの影響は、記憶機能に関連するタスク条件中の活動を低下、排除、またはその符号を逆転させることであった。これらの結果は、安静期間が有意な認知活動と関連しており、したがって認知タスクの最適なベースラインではないことを示している。ベースラインと活性化状態を識別するためには、多くの情報を解釈する必要がある。これには、呼吸のような単純な状況も含まれる。人が5秒に1回の定期的なペースで呼吸し、ブロックが10秒ごとに発生する場合、定期的なブロックによって他の分散と同一のデータが生じ、データが損なわれる可能性がある。
fMRIやMRIなどの神経画像法は、スキャンを行っている間の認知タスクに応答した特定の脳領域の場所を明らかにする。これにより、認知神経科学者は認知機能における特定の脳領域の役割に関する情報を得ることができる。しかし、過去の別の研究で特定の認知タスクに関わるとされた脳領域が反応したからといって、それだけで、この実験においてもその認知タスクが起きていると、研究者が主張してしまうと、問題が生じる。
Poldrackは、この問題を明確に説明している。
逆推論は、ある特定の結果が特定の発生によってのみ生み出される場合によってこの論理が支持される可能性はあるものの、自分が見つけたばかりのものを肯定するという論理的誤謬を示している。脳と脳機能に関して、特定の脳領域が1つの認知プロセスによってのみ活性化されることはめったにない。逆推論を正当化するためには、「その感情の時にしか反応しない、より正確な脳の場所をターゲットにする」「そもそも実験の状況自体を、その感情が起きるに決まっているような状況にしておく」という方法がある。しかし、Poldrackは、逆推論は結果を解釈するための直接的な手段として用いるべきでなく、さらなる調査を導くための単なるガイドとして使用されるべきだと主張している。
順推論は、脳の活性化パターンを見ることで、対立する認知理論を判定するデータ駆動型の方法である。順推論という手法は心理学でいう「パターンの違いから、仕組みの違いを証明する方法(解離)」や、論理学でいう「原因からスタートして結果を確認する順当な考え方(前向き連鎖)」と同じような性質を持っている。
例えば、Hensonは、再認記憶に関する「単一プロセス理論と二重プロセス理論」の議論に対する順推論の貢献について論じている。順推論は、「思い出すことと知っていることの判断」を区別するときに、質的に異なる2つの脳の活性化パターンが存在することを示すことにより、二重プロセス理論を支持している。順推論の主な問題は、それが相関的手法であるということである。したがって、認知プロセス中に活性化される脳領域が、それらのプロセスの実行に完全に必要であると完全に確信することはできない。実際、それを証明する多くの既知のケースがある。たとえば、海馬は古典的条件づけ中に活性化されることが示されているが、病変の研究により、古典的条件づけは海馬がなくても発生する可能性があることが示されている。
fMRI研究の参加者にとって最も一般的なリスクは閉所恐怖症であり、妊婦がスキャンプロセスを経ることによるリスクも報告されている。スキャンセッションでは、参加者は、強力な静磁場の急速なスイッチング電流によって勾配コイルに誘導されるローレンツ力からの甲高い騒音にさらされる。勾配スイッチングはまた、体内に電流を誘導し、神経のうずきを引き起こす可能性がある。ペースメーカーなどの埋め込み型医療機器は、これらの電流のために誤動作する可能性がある。励起コイルの無線周波数場は体を温める可能性があり、発熱している人、糖尿病の人、および循環器系の問題がある人には、これをより注意深く監視する必要がある。金属製のネックレスやその他の宝飾品による局所的な火傷もリスクである。
強力な静磁場は、近くの重金属の物体を引き寄せて発射体に変えることで損傷を引き起こす可能性がある。
非常に強力な静磁場でさえ、生物学的な危害のリスクは証明されていない。ただし、MRIスキャンの遺伝毒性(つまり発がん性の可能性)効果がin vivoおよびin vitroで実証されており、最近のレビューでは「予防原則に従って、不要な検査を避けるために、さらなる研究と慎重な使用が必要である」と推奨されている。MRIの遺伝毒性効果とCTスキャンのそれを比較した場合、Knuutiらは、MRI後に検出されたDNA損傷は電離放射線を使用したスキャン(低線量冠動脈CT血管造影、核画像、X線血管造影)によって生成されたものと同等のレベルであったが、この損傷が発生するメカニズムの違いは、MRIの癌リスクがあるとしても不明であることを示唆していると報告した。
最初のfMRI研究は、タスクと相関していることが他の技術から知られている脳活動に対して技術を検証した。2000年代初頭までに、fMRI研究は新しい相関関係を発見し始めた。それでも、それらの技術的な欠点が、臨床研究と学術研究の両方の力を高めるためのより高度な方法を試すよう研究者を駆り立てている。
MRIは一般に、EEGやMEGよりも空間分解能が優れているが、単一ユニット電極などの侵襲的処置ほど分解能は良くない。7Tの高磁場スキャナーや外部造影剤を用いることで、数十マイクロメートル単位の超高分解能化を図る手法である。また、複数のコイルを並列に使用するパラレルイメージング技術により、空間分解能をさらに向上させることができる。ただし、人体への安全な応用や海馬などの脳深部構造の計測には、まだ技術的な課題が残されている。
fMRIの時間分解能は次のような制約がある。(1) 血流を上昇させるフィードバックメカニズムの動作が遅いこと。(2) 正味磁化が回復するまで待ってからスライスを再度サンプリングする必要があること。(3) 脳全体または関心領域をカバーするために複数のスライスを取得する必要があること。データ取得の高速化と時間的制約の克服するために、複数コイルの使用や重要でないデータを意図的に間引くこと手法がある。さらに、勾配コイルを制御してk空間をスパイラル状などに走査することで、より迅速な画像取得を実現している。ただし、これらの高速化技術を適用するには複雑な数学的変換処理が必要となる。
BOLDコントラストは血流に依存しており、血流は刺激への反応が鈍く、ノイズの影響を受けやすい。従来の血流に依存する手法に代わり、脳活動に伴う温度、pH、カルシウム濃度などを外部造影剤を用いて測定する新たなマーカーの開発が進んでいる。中でも脳血液量の変化を測るVASO(Vascular-space occupancy)法は、静脈からの信号を排除して神経活動を正確に特定できる高い空間特異性を持つ。一方で、全体的に感度や信号対雑音比が低いという欠点も抱えている。
画像の歪みを抑えるbSSFP(Balanced Steady-State Free Precession)や、複数のエコーを同時取得して最適なコントラストを得るSAGEなど、研究目的に応じた次世代の撮像シーケンスが開発されている。また、特殊な技術で検査中の騒音を約98%削減するサイレントfMRIも開発されている。これにより、聴覚タスクの測定や音に敏感な被験者への検査がより適切に行えるようになっている。

医師はfMRIを使用して、脳手術や同様の侵襲的治療が患者にとってどの程度危険であるかを評価し、正常な脳、病気の脳、または負傷した脳がどのように機能しているかを知る。話す、動く、感知する、計画するなど、重要な機能に関連する領域を特定するために、fMRIで脳をマッピングする。これは、脳の手術や放射線療法の計画に役立つ。

fMRIの臨床使用は、依然として研究での使用に遅れをとっている。脳の病状を持つ患者は、典型的な研究被験者集団である若くて健康なボランティアよりも、fMRIでのスキャンが困難である。腫瘍や病変は神経活動とは無関係に血流を変化させ、神経系のHRを隠す可能性がある。抗ヒスタミン薬やカフェインなどの薬物はHRに影響を与える可能性がある。一部の患者は強迫的虚言などの障害を持っている可能性があり、これにより特定の手法が不可能になる。臨床上の問題を抱える患者が長時間じっとしていることはより困難である。頭部の拘束具やバイトバーを使用すると、スキャナー内で発作を起こすてんかん患者を傷つける可能性がある。バイトバーは、歯科補綴物を装着している人に不快感を与える可能性もある。
これらの困難にもかかわらず、fMRIは機能領域のマッピング、言語と記憶の領域における左右の半球の非対称性の確認、発作の神経相関の確認、脳が脳卒中から部分的にどのように回復するかの研究、および薬物や行動療法の有効性のテストに臨床的に使用されてきた。機能領域のマッピングと、言語と記憶の側性化の理解は、外科医が手術して脳組織を切除しなければならない場合に、重要な脳領域の切除を避けるのに役立つ。これは、腫瘍の切除や難治性の側頭葉てんかんの患者において特に重要である。腫瘍の病変には、機能的に有用な組織が不必要に切除されないようにするための術前計画が必要である。回復したうつ病患者は小脳のfMRI活動の変化を示しており、これは再発の傾向を示している可能性がある。薬物投与後の脳活動を分析する薬理学的fMRIは、薬物が血液脳関門をどの程度透過するかを調べ、薬物の用量と効果の関係を調べるために使用できる。
研究は主にアカゲザルなどの非ヒト霊長類で行われている。これらの研究は、人間の結果を確認または予測するため、およびfMRI技術自体を検証するための両方に使用できる。しかし、動物に静かにしているように動機付けるのは難しく、ジュースなどの典型的な誘因は動物がそれを飲み込む際に頭の動きを引き起こすため、研究は困難である。マカクのような大型動物のコロニーを維持するのにも費用がかかる。
行動経済学では合理的経済人と実際の人間の乖離を様々な実験的手法により取り扱うが、神経科学的に人間の意思決定プロセスを定量的に扱う神経経済学的手法に fMRI がしばしば用いられている。
例として、FKF Applied Researchは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のAhmanson Lovelace Brain Mapping Centerの協力により、2006年と2007年のスーパーボウルにおける、広告効果を測定するために、fMRIを使用し視聴者の脳の活動を測定した。2007年のスーパーボウルにおいて、人々の脳に前向きな感情を引き出した最高のコマーシャルはコカ・コーラで、最低のコマーシャルはGM「Robot」だと結論付けた。
サミュエル・M・マクルーアはfMRIを使用して、人々がラベルのないコーラを飲んだときよりも、意識してコカ・コーラを飲んだときの方が、背外側前頭前野、海馬、中脳がより活発であることを示した。他の研究では、男性のスポーツカーの好みを特徴づける脳の活動や、9/11テロの画像を含む選挙キャンペーンのコマーシャルに対する反応における民主党員と共和党員の違いさえも示されている。ニューロマーケティング企業は、従来のアンケート調査手法よりもユーザーの好みを調査するためのより優れたツールとして、これらの研究を利用している。そのような企業の1つはBrightHouseであったが、現在は閉鎖されている。もう1つは英国オックスフォードに本拠を置くNeurosenseであり、マーケティングビジネス活動の一環としてfMRIをどのように使用できる可能性があるかをクライアントにアドバイスしている。3番目はカリフォルニアのSales Brainである。
ニューロマーケティング企業は、消費者の嗜好を探る上で、従来のアンケート調査を凌ぐ有効なツールとしてこうした研究を活用している。その代表例としてBrightHouse社(現在は閉鎖)があった。また、英国オックスフォードに拠点を置くNeurosense社は、マーケティング活動におけるfMRIの活用法についてクライアントに助言を行っており、カリフォルニア州のSales Brain社もこうした企業のひとつである。No Lie MRIとCephos Corporationは、嘘発見にfMRIを使用している。これらの企業は、嘘をつくことを考えている人では前頭前野がより活発になることを示唆する、ハーバード大学のジョシュア・グリーンによる研究などの元にしている。
しかし、これらの手法が信頼性が高いかどうかについては、依然としてかなりの論争がある。いくつかの研究では、全体的に正の相関関係がある一方で、結果間に大きなばらつきがあり、場合によっては結果を再現するのが難しいことを示されている。テネシー州の連邦治安判事は、科学的証拠の法的基準に達していないという理由で、被告が真実を語っているという主張を裏付けるための証拠としてfMRIを禁止した。ほとんどの研究者は、実際の生活環境で嘘を検出するfMRIの能力が確立されていないことに同意している。
fMRIの使用は、その歴史を通じて法的論争から除外されてきた。fMRIを支持する証拠に穴があるため、この技術の使用は許可されていない。第一に、fMRIの精度を裏付けるほとんどの証拠は、確かな事実を伴う制御された状況下での研究室で行われたものである。この種のテストは現実生活には当てはまらない。現実のシナリオは、他の多くの影響要因を伴うはるかに複雑なものになる可能性がある。典型的な嘘以外にも、BOLDに影響を与える他の多くの要因があることが示されている。薬物使用が脳の血流を変化させ、BOLD検査の結果に劇的な影響を与えることを示すテストが行われている。さらに、統合失調症や強迫的虚言などの病気や障害を持つ個人も、異常な結果をもたらす可能性がある。最後に、fMRIスキャンに関連する倫理的な問題がある。BOLD検査は、fMRIがプライバシーの侵害であるかどうかについての論争もある。人々が何を考えているかをスキャンして解釈できることは不道徳であると考えられており、論争は今も続いている。
fMRIのBOLD信号のパターンのみを根拠として、被験者の感情の変化や認知プロセスの遷移を論じている例が見られる。サリー・サテル博士はタイム誌で、fMRIには科学的価値がある一方で、報道で一般的に使用されている「逆推論」による議論は適切でない結論を導き出す可能性が非常に高いと警告している。
脳活動データから直接的に内的な心理状態を復号しようとするアプローチは魅力的に映るが、観測された脳活動の意味づけを行うためには、脳以外の指標による独立した証拠による強力な裏付けが不可欠である。例えば、ニューロエコノミクスにおける不確実性下の意思決定や社会的信頼ゲームにおいて、脳活動の変化だけを捉えて「被験者のリスク許容度が変化した」と主張することはできない。必ず、被験者の実際の選択行動、反応時間、自律神経系の反応(皮膚電気活動や瞳孔径の変化など)、あるいは主観的評価といった行動的・生理学的データを同時に取得し、脳活動パターンとこれらの行動指標との間に厳密な対応関係を示す必要がある。感情や認知の変化を論じる際、fMRIデータは行動指標から導かれる仮説を補強し、その神経メカニズムを説明するための相補的な手段として位置づけられるべきであり、決して行動指標を代替するものではない。
さらに根本的な問題として、2025年に科学誌『Nature Neuroscience』で発表された研究では、fMRIの測定のベースとなっているBOLD信号が、実際の神経活動の変化と常に連動しているわけではないことが判明。これらの発見は、fMRIが脳科学において依然として強力なツールである一方で、その結果(特に個人レベルのデータや血流と神経活動の結びつき)を解釈する際には、極めて慎重な姿勢が求められることを示していまする。
2020年、fMRI研究の先駆者の1人であるデューク大学のアーマッド・ハリリ教授は、過去に発表された56の心理学研究を再現する大規模な実験を行った。 その結果、fMRIは人間の一般的な思考パターン(集団としての傾向)を捉える上では非常に優れているものの、特定の「個人」の脳活動を正確に測定・評価する目的においては、信頼性が低いことが明らかになった。つまり、大勢の平均的な脳の働きを調べるのには向いているが、一人ひとりの脳の個別の診断などに使うには限界があるということを意味している
2018年にTurnerらは、サンプルサイズが小さいとタスクベースのfMRI研究の再現性に影響を与えると示唆し、100人以上の参加者がいるデータセットであっても結果が十分に再現されない可能性があると批判している。
この統計的脆弱性が最も劇的な形で露呈したのが、Vulら(2009)による「社会的認知神経科学におけるヴードゥー相関」の告発である。彼らは、性格特性や感情のスコアと特定の脳領域の活動との間に、r > 0.8 あるいは 0.9 を超えるような極めて高く、統計的信頼性の観点から「あり得ない」相関を報告するfMRI論文が多数存在することを指摘した。fMRIの計測ノイズや心理テストの信頼性係数の限界を考慮すれば、このような完璧に近い相関は理論上発生し得ない。この異常な高相関の背後にあったのが、循環分析と二重取りと呼ばれる非独立なデータ分析手法の蔓延である。Kriegeskorteらも指摘するように、この誤謬は以下のプロセスで発生する。
この手順は、そもそも相関が高い部分だけを意図的に切り出してから、その部分の相関の平均を求めているため、完全にランダムなノイズデータに対して適用したとしても、見かけ上極めて高い相関を生み出してしまう。
仮説を支持する統計的に有意な結果が得られた研究のみが優先的にジャーナルに出版されるという出版バイアスという問題もある。fMRI研究において、出版バイアスはメタ分析(特に座標ベースのメタ分析:CBMA)の結果を著しく歪める。メタ分析は複数の研究を統合して真の脳活動領域を特定しようとする試みだが、文献データベース上に存在する「有意なクラスター」の座標のみを集めてしまうと、ネガティブデータが欠落しているため、特定の脳領域の関与が実際よりもはるかに強固なものであると誤認される。推計によれば、報告された100のfMRI実験に対して、最大で30もの未発表の無効実験が存在する可能性が指摘されている。このバイアスを評価するため、Fail-safe N(メタ分析の有意性を覆すのに必要な未発表のノイズ論文の数)を算出し、結果の頑健性を検証する手続きが不可欠となっている。
スーパーマーケットで売っている死んだタイセイヨウサケに、さまざまな感情状態の人間の写真を見せ、fMRI実験を行ったところ、2つの異なる一般的に使用される統計テストに従って、サケの脳の領域において意味のある活動を示唆する結果を得ることができた。この風刺的な実験では、fMRIスキャンにおけるボクセルの数が多く、多重比較問題があり、fMRI研究においてより慎重な統計分析が必要であることを強調するために行われた。
2015年には、fMRIの計算に統計的なバグが見つかり、2015年以前の少なくとも40,000件のfMRI研究に不備があることが発見されている。研究者はバグ修正前の結果は信頼できないと示唆している。さらに、ソフトウェアのパラメーターをどのように設定するかが偽陽性率を決定することが示されている。またこれは、研究結果はソフトウェアパラメータを変更することによって決定できるということを意味している。