ガイノイド

愛・地球博(愛知万博)でのアクトロイド(2005年)

ガイノイド(英: gynoid)とは、人間の女性に似せて作られたヒューマノイドで、女性の人造人間(アンドロイド)を意味する。古代ギリシア語の女性を意味するγυνή(ギュネー)に由来する。

かばん語でfembot(フェムボット、英: female robot)も同様に使用される。

形態

人間の女性の外観を模した精巧な物から表面が金属で覆われている物まで幅広く存在する。

実現性

2005年日本国際博覧会(愛知万博、愛・地球博)でアクトロイドが展示されコンパニオンとして活用されたり、HRP-4Cが産業技術総合研究所で開発されたりしており、徐々に実現に近づいているといえる。用途としては受付や案内、介護、接客等ヒューマンインターフェースとしての用途が想定される。

フィクションにおいて

「ガイノイド」の語の最初の用例はアイザック・アシモフが自身の編集する雑誌アシモフズ・サイエンス・フィクションのエッセイ「名前について」(The Vocabulary of SF)で1979年に述べたもので、アンドロイドの"andro-"が"男性"という意味を持つことから、女性型の人工デバイスは「女性を意味するギリシャ語の"gynos"から取って"ガイノイド"と呼ばれるべきだが」、「この語が人間型の人工デバイスに用いられた例は全く無い」としている。ただし実際には「andro-」には英語の「man」同様「人類」と「男性」の両方の意味がある。1984年にはイギリスの女性作家ギネス・ジョーンズが長篇小説『聖なる堅忍』でこの語を用いている。巽孝之によればガイノイドは、「人間もどき」を意味するアンドロイドが語源的に「男性もどき」でもあるという家父長作用にたいする、疑問やアンチテーゼとしての意義をもつ。

SFでは女性のロボットはしばしば映画「ウエストワールド」や1995年のポール・J・マコーリイの小説『フェアリイ・ランド(Fairyland)』、1938年のレスター・デル・レイの短編『愛しのヘレン(Helen O'Loy)』 、士郎正宗の『攻殻機動隊』に見られるように使用人や性的奴隷として扱われる。『To Heart』のマルチなど、アニメ作品やパソコンゲーム、アダルトゲーム、成人向け漫画、ジュブナイルポルノ、アダルトアニメなどの成人向けのおたく関係のコンテンツに数多く登場する。この他、コメディ映画『オースティン・パワーズシリーズ』においては世界征服を狙う悪人Dr.イーブルの組織が開発した、胸にガス噴射器やマシンガンを内蔵した美女型ロボットとしてフェムボットが登場するが、シリーズ3作全てにおいて主人公オースティン・パワーズによって頭が爆発して破壊される恒例の「やられ役」になっている。イラストレーターの空山基は、女性的なフォルムと金属的質感を併せ持つ「セクシーロボット」のイラストシリーズを発表している。

フェミニストによる比喩

ガイノイドはフェミニストの談話に比喩として女性の身体的強さと再生への期待からの自由を表すことに使用される。巽孝之は、エレイン・ショウォーター(英語版)の女性文化批評(英: Gynocriticism)やアリス・ジャーディン(英語版)のガイネーシス (英: gynesis) との繋がりを指摘している。

fembotは時々フェミニストの女性への侮辱的な表現として使用される。

脚注

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注釈

  1. ↑ 『Asimov on Science Fiction』収録。邦訳:アイザック アシモフ (著), 安田 均 (翻訳) (1983/2/1). DR.アシモフのSFおしゃべりジャーナル. 講談社. ISBN 978-4062001717

出典

  1. ↑ “Essays by Isaac Asimov about science fiction” (英語). Asimov Online. 2026年1月7日閲覧。
  2. 1 2 3 “gynoid”. Historical Dictionary of Science Fiction. 2021年5月18日閲覧。
  3. ↑ “Henry George Liddell, Robert Scott, A Greek-English Lexicon, ἀνήρ”. www.perseus.tufts.edu. 2025年12月25日閲覧。
  4. ↑ 巽 1992, p. 224
  5. 1 2 3 巽孝之. “立ち読み『人造美女は可能か?』はじめに”. 慶應義塾大学出版会. 2021年1月15日閲覧。
  6. ↑ 巽 1992, p. 213
  7. ↑ Dinello, Daniel (2005). Technophobia!: Science Fiction Visions of Posthuman Technology. University of Texas Press. p. 77. ISBN 9780292709867
  8. ↑ 巽 1992, p. 214

参考文献

関連項目