ホンダ・HSV-010

HSV-010(エイチエスブイ-ゼロイチゼロ)は、本田技研工業がNSXの後継車種として開発していたスポーツカー。試作車のみで量産されず、発売に至らなかった。Honda Sports Velocityの頭文字を車名としている。

本項では、HSV-010をベースに開発されたレーシングカーのHSV-010 GTについても記述する。

HSV-010

初代NSXの後継車として、アキュラブランドで2010年の発売を予定して開発されていた。当初は次期アキュラブランドの頂点(フラグシップモデル)と位置付けられていた。HSCをベースに開発されていると一部で報道されたが、2005年7月にホンダの福井威夫社長(当時)は記者会見の席上で、NSX後継車を(HSCとは関係なく)新たに開発中とした。2007年1月に米国ミシガン州デトロイトで開催された北米国際オートショーで次世代スポーツカーのデザインコンセプト「Acura Advanced Sports Car Concept」として披露、2008年6月にニュルブルクリンクで走行テストが行われた。エンジンはV型10気筒を搭載する予定で、バンク角は90°、最高出力は405kW、燃費向上および排出ガス規制適合のために片バンクを休止する気筒休止機構(VCM)を採用していた。また、後輪駆動をベースとしたSH-AWDを採用していた。

しかし、2008年12月に世界的な景気悪化に伴い開発を白紙化することが発表され開発が中止。葬儀を行った後に試作車両はスクラップに処された。2009年に後述のSUPER GT用マシンが発表された際、そのベース車両としてHSV-010と名称が発表された。

HSV-010 GT

ホンダ・HSV-010 GT
ARTA HSV-010(2011 Rd.6 Fuji GT 250km)
ARTA HSV-010
(2011 Rd.6 Fuji GT 250km)
カテゴリー SUPER GT GT500
コンストラクター 本田技研工業
デザイナー 瀧敬之介(プロジェクトリーダー)
先代 NSX-GT
後継 NSX CONCEPT-GT
主要諸元
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン
全長 4,675 mm
全幅 2,000 mm
トレッド 1,640 mm
ホイールベース 2,700 mm
エンジン HR10EG型 3,397cc 90度 V8 DOHC FR
トランスミッション リカルド 6速 セミAT
重量 1,100 kg以上
タイヤ
主要成績
チーム
出走時期 2010年 - 2013年
チームタイトル 1(2010年)
ドライバーズタイトル 1(2010)
初戦 2010年鈴鹿サーキット戦 (Rd.1)
初勝利 2010年岡山国際サーキット戦 (Rd.2)
最終戦 2013年富士スプリントカップ
出走優勝表彰台ポールFラップ
351476
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NSX-GTの後継車種として、2010年から2013年までSUPER GTに参戦したレーシングカーである。日本自動車連盟(JAF)より「JAF-GT500基本車両資格登録」の承認を得ており、3.4L V8、FRレイアウトとし、2009年からのSUPER GT車両レギュレーションに準拠している。

エンジンは、ホンダがフォーミュラ・ニッポン用に供給しているHR10Eをベースに、GT向けにチューニングが施されたHR10EGが搭載される。排気管は8-4-2-1集合レイアウトを採用しており、フォーミュラカー的な甲高い音を出している。また、サイドシル内部に導風することによりわずかに空力性能を向上させていた。2013年仕様からは排気管レイアウトの変更により、従来の甲高い音から低めのエンジン音になった。

プロジェクトリーダーである瀧敬之介によると、HSV-010 GTはNSX-GTを超える究極のコーナリングマシンを目指したとのこと。操縦性についてレーシングドライバーのラルフ・ファーマンは、「アンダーステア、オーバーステアがゆっくりと出るので運転しやすい」と語っている。

ベース車両が市販されずに終わったマシンはGT300クラスでは複数例あるが、GT500ではHSV-010が唯一である。なお、当車のギヤボックス、クラッシャブルストラクチャー、リヤウィングなどはGT300で使われていたCR-Zにも流用されている。

スペック

シャーシ
エンジン

年表

 
ウイダー HSV-010

戦績

年No.マシンエントラントドライバーRd.1Rd.2Rd.3Rd.4Rd.5Rd.6Rd.7Rd.8ポイントランキング
2010 8 ARTA HSV-010 B AUTOBACS RACING TEAM AGURI アイルランドの旗 ラルフ・ファーマン
日本の旗 井出有治
日本の旗 小林崇志(Rd.6)
Ret 6th 11th 11th 12th 1st 中止 7th 29 11th
17 KEIHIN HSV-010 B KEIHIN REAL RACING 日本の旗 金石年弘
日本の旗 塚越広大
7th 7th 5th 12th 1st 4th 3rd 53 3rd
18 ウイダー HSV-010 B ウイダー ホンダ レーシング 日本の旗 小暮卓史
フランスの旗 ロイック・デュバル
Ret 1st 7th 3rd 2nd 9th 2nd 67 1st
32 EPSON HSV-010 D NAKAJIMA RACING 日本の旗 道上龍
日本の旗 中山友貴
10th 11th 9th Ret 11th 7th 9th 9 14th
100 RAYBRIG HSV-010 B TEAM KUNIMITSU 日本の旗 伊沢拓也
日本の旗 山本尚貴
3rd 8th 10th 5th 8th 3rd 6th 40 8th
2011 1 ウイダー HSV-010 B ウイダー ホンダ レーシング 日本の旗 小暮卓史
フランスの旗 ロイック・デュバル
7th 13th 1st Ret 1st 4th 11th 6th 57 3rd
8 ARTA HSV-010 B AUTOBACS RACING TEAM AGURI 日本の旗 武藤英紀
日本の旗 小林崇志
12th 9th 9th 10th 9th 14th 12th 13th 7 15th
17 KEIHIN HSV-010 B KEIHIN REAL RACING 日本の旗 金石年弘
日本の旗 塚越広大
3rd 8th 3rd 6th 12th 3rd 6th 7th 50 4th
32 EPSON HSV-010 D NAKAJIMA RACING 日本の旗 道上龍
日本の旗 中山友貴
10th 15th 12th 3rd 13th 12th 8th 5th 21 12th
100 RAYBRIG HSV-010 B TEAM KUNIMITSU 日本の旗 伊沢拓也
日本の旗 山本尚貴
2nd 12th 7th 7th Ret 5th 14th 4th 37 9th
2012 8 ARTA HSV-010 B AUTOBACS RACING TEAM AGURI アイルランドの旗 ラルフ・ファーマン
日本の旗 小林崇志
6th Ret 12th Ret 7th 9th 11th 13th 12 16th
17 KEIHIN HSV-010 B KEIHIN REAL RACING 日本の旗 金石年弘
日本の旗 塚越広大
3rd 6th 7th 9th 10th 5th 14th Ret 30 12th
18 ウイダー HSV-010 B ウイダー ホンダ レーシング 日本の旗 小暮卓史
オランダの旗 カルロ・ヴァン・ダム
7th 9th 1st 7th 8th Ret 9th 7th 40 6th
32 EPSON HSV-010 D NAKAJIMA RACING 日本の旗 道上龍
日本の旗 中山友貴
Ret 11th 11th 11th Ret 14th 2nd 3rd 26 14th
100 RAYBRIG HSV-010 B TEAM KUNIMITSU 日本の旗 伊沢拓也
日本の旗 山本尚貴
2nd 2nd 6th 8th 11th 12th 8th 9th 43 5th
2013 8 ARTA HSV-010 B AUTOBACS RACING TEAM AGURI アイルランドの旗 ラルフ・ファーマン
日本の旗 松浦孝亮
9th 8th 8th 1st 12th 8th 14th 15th 31 11th
17 KEIHIN HSV-010 B KEIHIN REAL RACING 日本の旗 塚越広大
日本の旗 金石年弘
2nd Ret 5th Ret 7th 2nd 3rd 2nd 67 2nd
18 ウイダー モデューロ HSV-010 M ウイダー モデューロ 童夢 レーシング 日本の旗 山本尚貴
フランスの旗 フレデリック・マコヴィッキィ
5th 10th 4th 13th 1st 5th 5th 7th 56 4th
32 EPSON HSV-010 D NAKAJIMA RACING 日本の旗 道上龍
日本の旗 中嶋大祐
11th 13th 12th 8th 13th Ret 10th 11th 4 15th
100 RAYBRIG HSV-010 B TEAM KUNIMITSU 日本の旗 伊沢拓也
日本の旗 小暮卓史
1st 7th 3rd 12th 10th Ret 12th 12th 37 7th

タイヤ= B :ブリヂストン/D :ダンロップ/M :ミシュラン

保存状況

モビリティリゾートもてぎ併設のホンダコレクションホールにて、2010年型の18号車(ウィダー)、2013年型の100号車(RAYBRIG)が収蔵されており、不定期に展示されている。

ギャラリー

脚注

  1. ↑ 本田技研工業:2010年SUPER GTシリーズGT500クラスにHSV-010 GTで参戦、2009年12月22日
  2. ↑ HSV-010はレース屋ホンダ、最後の魂!-All About 2010年01月31日記事
  3. ↑ 本田技研工業:2005年 年末記者会見 福井社長スピーチ骨子、2005年12月20日
  4. ↑ “ホンダ NSX 後継の価格は…!!”. Response. 2005年7月20日.
  5. ↑ 本田技研工業:2005年 年央記者会見 福井社長スピーチ骨子、2005年7月20日
  6. 1 2 3 本田技研工業:2007年北米国際自動車ショーで「Acura Advanced Sports Car Concept」を発表、2007年1月9日
  7. ↑ AUTO MOTOR UND SPORT:Erwischt Honda NSX(ドイツ語) 2008年6月17日
  8. ↑ AUTO MOTOR UND SPORT:Erlkönig Honda NSX(ドイツ語)
  9. 1 2 https://global.honda/jp/news/2008/c081217a.html 2008年 年末社長会見 骨子 2008年12月17日HONDAプレスリリース
  10. ↑ Honda R&D Technical Review Vol.22 No.2『V10 500馬力エンジンの開発 -高出力と環境性能の両立技術-』2010年9月1日発行(閲覧には登録が必要)
  11. 1 2 3 “NSX後継のホンダGT500車両の名は『HSV-010』!?”. AUTO SPORTS. 2009年11月11日.
  12. ↑ “Hondaはなぜレースをするのか?”. Honda Racing. 2024年12月7日閲覧。
  13. ↑ 本田技研工業:HSV-010 SPEC&STYLING、2010年1月18日
  14. ↑ 2009年は、前年までと同様にミッドシップのNSXで参戦しており、駆動方式などがレギュレーションに合致していなかったため、いくつかの性能調節を受け参戦していた。
  15. ↑ HSV-010 GT 2013年マシン解説
  16. ↑ 『スーパーGT 20周年記念特集』株式会社三栄〈auto sport 2026年2月号〉、058頁。
  17. ↑ 二玄社 CAR GRAPHIC 2010年3月号『ホンダの新世代スーパーGTカーがデビュー』より
  18. ↑ “歴代シビックとNSXレースカーが大集結! もてぎのホンダコレクションホールで10月7日から企画展開催”. オートスポーツ. 2023年9月23日.
  19. ↑ “「ホンダコレクションホール開館20周年記念展示」の会場から”. WebCG. 2018年3月22日.

関連項目

外部リンク