シアーズ

Sears, Roebuck and Co.
種類
子会社
業種 小売
設立 イリノイ州シカゴ(1893年)
創業者
本社 、
拠点数
5(2025年12月)
事業地域
アメリカ合衆国
製品 衣料品、履物、寝具、家具、ジュエリー、美容製品、電化製品、家庭用品、工具、電子機器、事務用品、文具
売上高 減少 US$13.8 billion(2016年)
営業利益
減少 −US$1.448 billion(2016年)
親会社
ウェブサイト www.sears.com ウィキデータを編集
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創業者リチャード・ウォーレン・シアーズ

シアーズ(Sears)は、アメリカ合衆国イリノイ州ホフマンエステイツに本部を置く百貨店チェーン。衣料など日用生活品以外にも工具、自動車用品などDIY用品のプライベートブランドを持つ。

かつてはシアーズ、ローバック・アンド・カンパニー(Sears, Roebuck and Company)が経営し、カタログによる通信販売を展開していた。2005年に同業のKmartと合併し、シアーズ・ホールディングス傘下となったが、2019年の倒産後は投資家のエディー・ランパート(英語版)が率いるTransformco所有になった。

概要

全米で百貨店「シアーズ」とディスカウントストア「Kマート」を運営している。傘下にはランズエンドなどの通信販売やその他の専門店も所有する。またシアーズで販売する商品のため多くのプライベートブランドを展開する。

英語の department store は百貨店と訳されるが、ブルーミングデールズ、ニーマン・マーカス、ノードストローム、サックス・フィフス・アベニューなどの高級店と違ってシアーズは廉価量販を旨とし、店舗も郊外にあることが多い。いわゆる総合スーパー(GMS)であり、日本でいうイオンやイトーヨーカドーなどに近い。アメリカ国内での競合相手はJ.C.ペニーである。

1973年に本社ビルとして建てられたイリノイ州シカゴのシアーズ・タワー(現ウィリス・タワー)は、1994年に売却されたものの、建物名は売却後10年以上もそのままであった。同ビルは2013年に1 ワールドトレードセンターにその座を明け渡すまで全米で最も高い超高層ビルであり、また長らく世界一でもあった。

歴史

本社ビル
シアーズ・カタログセンター(メンフィス)
シアーズ・タワー(現ウィリス・タワー)

1863年、ミネソタ州スチュワートビル(英語版)の裕福な家庭に生まれたリチャード・ウォーレン・シアーズ(英語版)は長じてミネソタ州レッドウッド・フォールズ(英語版)で駅員を務めるようになった。1886年、シカゴの時計製造業者からレッドウッド・フォールズの宝石商に腕時計が送られてきたが、これは宝石商が発注したものではなかった。当時、卸売業者が小売業者に一方的に商品を送りつけて取引を持ちかけるという詐欺が横行していたため、宝石商は腕時計の受け取りを拒否した。これに目をつけたシアーズは自ら腕時計を1つ12ドルで買い取り、他の駅員に14ドルで販売した。鉄道の発展に伴って正確な時間を知る需要が生まれていたことを背景に、シアーズは6か月で5,000ドルの利益を上げた。これで自信をつけたシアーズはミネアポリスで「R.W. Sears Watch Company」を設立し、通信販売に乗り出した。翌1887年、シアーズはシカゴに拠点を移し、また時計修理工であったアルヴァー・カーティス・ローバック(英語版)を雇用して1人目の従業員とした。シアーズの事業は成功し、1889年には100,000ドル(2021年の物価換算で3億ドル相当)を売り上げた。1893年、シカゴに「シアーズ、ローバック・アンド・カンパニー」を設立した。

19世紀末から20世紀初頭のアメリカは農業が中心で、広大な国土に多くの農民が生活していたが、交通手段は主に鉄道や馬・馬車であり、消費者は手間をかけて都市まで行くか、個人商店、行商人から高い値段で商品を買うしかなかった。ここに着目したシアーズは、カタログを郵送して、一括仕入れで安価に商品を提供するダイレクトマーケティングを推し進めた。

初期のカタログにはやや誇大な宣伝文句とともに「満足していただけなければ返金いたします」といった良心的で誠実な保証がついており、この「満足保証」は後年まで続いた。シアーズのカタログは「消費者の聖書」と呼ばれ、大量に頒布されるカタログは農村で子どもの絵本や学習帳代わりになり、最後にはトイレットペーパーの代わりに使われるほど身近に親しまれた。また1908年から1940年の間に組立式住宅「シアーズ・モダン・ホーム」を販売、10万棟以上が出荷され、庶民に近代的な住宅を提供した。1908年から1912年には自社ブランドの自動車もカタログ販売した。シアーズの自動車は他社のコピーではなく、操作が簡単であることを売りにしていた。そのほとんどは2人乗りの軽快な自動車だった。自動車本体の販売撤退後もパーツやアクセサリーの販売はもちろん、メンテナンス・サービス業務を引き続きおこなった。

1925年以降、シアーズ、ローバック・アンド・カンパニーは人口の都市への流入とモータリゼーションの到来を予見して、都市の郊外に広い駐車場を備えたデパートを開店させた。第二次世界大戦以降はショッピングセンターの中心店舗として全米の都市に出店した。また自社の顧客を対象とした保険業、金融業、不動産業などに進出。1931年には自動車保険業「オールステート」を開始。オールステートブランドは自動車アクセサリー販売チェーンとなり、また自動車販売にも利用された。1951年に自動車販売を復活させ、1952年モデルとしてカイザー=フレーザー製ヘンリーJをオールステートブランドで販売した。しかしこれも1953年モデルで終了している。1985年にディスカバー・クレジットカードを開始した。

シアーズは1980年代初頭まで全米第1位の小売業者であった。しかし企業の巨大化は組織の硬直化、社内の官僚主義の蔓延といった弊害となって現れ始めた。シアーズの「毎日安売り」(エブリデイ・ロープライス)戦略は、定期的に在庫一掃を行わないメリハリのなさが顧客離れにつながった。1973年、シカゴに本社ビル「シアーズ・タワー」を建設したが、シカゴの中心部という立地条件が流通業の本部として使いにくく、その後の経営不振もあってビルを手放し、約10年で元の郊外に再び本部を移している。

1990年代、当時の会長アーサー・マルティネスの下でシアーズ、ローバック・アンド・カンパニーは経営の再建を進め、長年親しまれた通信販売事業を縮小し、最終的に2000年に全廃した。その役割は1998年に設立されたインターネット上のショッピングサイト「シアーズ・ドットコム」に引き継がれている。

Kmartとの合併

Kmartは1899年、ミシガン州デトロイトでセバスチャン・S・クレスゲによって創業された老舗のチェーンストアであるが、陳腐化した店舗の更新に失敗するなどの原因で2002年に倒産した。

会社更生手続によって生まれた新会社Kマートホールディングス(K mart Holdings Corporation)はエディ・ランバートの下で積極策をとり、2004年、同業のシアーズ、ローバック・アンド・カンパニーに対して買収の意向を表明。業界10位のKmartが5位のシアーズを買収する形となった。

2005年、両社は合併し、持株会社の名称をシアーズ・ホールディングスとした(NASDAQ: SHLD)。これにより、ウォルマート、ホームデポに次ぐ全米第3位の小売業者が誕生し、Kmartとシアーズ、ローバック・アンド・カンパニーは事業子会社となった。買収した側のKマートがシアーズを名乗るようになったのは、名門シアーズのブランドイメージを利用したい意図があり、実際に2006年からKmart店がシアーズ店へ衣替えする動きがあった。

経営破綻

2010年ごろよりアマゾン・ドット・コムなどネット通販の台頭で来店客数が減少し、業績が悪化した。店舗閉鎖や人員削減を進めたが、2017年度まで7年連続で最終赤字を計上していた。

2018年10月15日、連邦倒産法第11章の適用を申請した。

倒産後にシアーズ・ホールディングスの資産を取得するために設立されたTransformcoの下でリストラが推し進められ、最盛期の2011年に営業していた2,705店舗から、2025年には5店舗まで減少している。

シアーズ、ローバック・アンド・カンパニー年表

Kマート-シアーズ・ホールディングス年表

カタログ

所有専門店

エピソード

北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)が毎年クリスマス前後に行うサンタクロースの追跡は、シアーズが子ども向けにサンタクロースのホットラインサービスを開設した際、広告に載せた電話番号に誤植があり、NORADの前身であるCONADの司令長官席につながるようになってしまったことがきっかけである。

脚注

  1. ↑ Levinson, Ava (2025年12月8日). “Just 5 Stores Remain From This Once-Dominant Retail Chain as Holiday Season Arrives”. Inc.. 2026年1月1日閲覧。
  2. 1 2 Sears Holdings Corporation (2016). 2016 Form 10-K, Sears Holding Corporation (PDF) (Report) (英語). United States Securities and Exchange Commission. p. 41. 2017年12月12日時点のオリジナル (pdf)よりアーカイブ. 2017年11月4日閲覧.
  3. ↑ “ESL Investments Completes Acquisition of Sears Holdings' Assets”. Business Wire (Press release) (英語). 2019年2月11日. 2021年2月8日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2019年2月12日閲覧.
  4. ↑ “米小売り大手シアーズ、破産法申請 事業継続探る(写真=ロイター)”. 日本経済新聞 電子版. 2018年10月16日閲覧.
  5. ↑ “Sears Holdings Reports Fourth Quarter and Full Year 2011 Results | Transformco” (英語). www.searsholdings.com. 2024年9月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年10月6日閲覧。
  6. ↑ Levinson, Ava (2025年12月8日). “Just 5 Stores Remain From This Once-Dominant Retail Chain as Holiday Season Arrives” (英語). Inc.. 2026年1月1日閲覧。
  7. ↑ “Official NORAD Santa Tracker”. North American Aerospace Defense Command. 2020年12月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月20日閲覧。

関連項目

外部リンク