Spikes Asia(スパイクスアジア、正式名称: Spikes Asia Festival of Creativity)は、アジア太平洋地域を対象とした広告・クリエイティブコミュニケーションの国際フェスティバルである。1986年にAsian Advertising Awards(アジア広告賞)として創設され、アジア太平洋地域で最も歴史ある広告祭のひとつとして知られる。毎年シンガポールで開催され、セミナー、ワークショップ、ネットワーキングイベント、授賞式を含む約1週間のプログラムで構成される。
カンヌライオンズの地域版フェスティバルとして位置づけられ、ヨーロッパのEurobest(ユーロベスト)、中東のDubai Lynx(ドバイリンクス)と並ぶ姉妹イベントである。
Spikes Asiaの前身であるAsian Advertising Awards(アジア広告賞、通称「Spikes」)は、1986年に広告業界誌『Media』(現在の『Campaign Asia-Pacific』)によって創設された。22年以上にわたりアジア地域の広告クリエイティブの卓越性を評価する賞として運営され、開催地はバリ島(インドネシア)などアジア各地で移動しながら行われた。リローンチ前の3年間はバリ島で開催されていた。
2008年、カンヌライオンズを運営する国際広告協会(International Advertising Festival、IAF)と、『Media』誌の発行元であるヘイマーケット(Haymarket Media)が提携を発表。これにより、従来の授賞式中心のイベントから、セミナー・展示・ネットワーキングを含む本格的な広告フェスティバルへと大幅にリニューアルされた。
2009年9月16日 - 18日、Spikes Asia – The 1st Asian Advertising Festivalとしてシンガポールで初開催された。カンヌライオンズ会長のテリー・サヴェージ(Terry Savage)は「アジアに素晴らしいイベントを届けることにコミットしている」と述べた。若手クリエイター育成を目的としたYoung Tigers(現Young Spikes)コンペティションもこの年から導入された。
2004年にカンヌライオンズを買収したアセンシャル(Ascential、旧EMAP → Top Right Group)がSpikes Asiaの運営にも関与するようになった。2024年10月、インフォーマ(Informa plc)がアセンシャルを約16億ドルで買収し、現在はインフォーマ・フェスティバルズ(Informa Festivals)の傘下でカンヌライオンズ、Eurobest、Dubai Lynxとともに運営されている。
2020年はCOVID-19パンデミックの影響により開催が中止された。2021年はSpikes Asia X Campaignとして2月22日 - 25日にオンライン形式で開催され、3,200人以上のクリエイティブ・マーケティング専門家が参加した。2022年以降は対面開催に復帰し、2024年からは完全な物理イベントとして再開された。
リローンチ当初は毎年9月に開催されていたが、その後スケジュールの見直しが行われ、2021年以降は2月 - 3月に開催されるようになった。2026年は3月9日 - 12日にシンガポールのキャピトル・シアター(Capitol Theatre)で開催された。
2026年現在、25の審査部門(Spikes)が設けられている。
| 部門名 | 英語名 | 備考 |
|---|---|---|
| オーディオ&ラジオ | Audio & Radio | |
| ブランドエクスペリエンス&アクティベーション | Brand Experience & Activation | |
| クリエイティブB2B | Creative B2B | 2026年新設 |
| クリエイティブコマース | Creative Commerce | |
| クリエイティブデータ | Creative Data | |
| クリエイティブエフェクティブネス | Creative Effectiveness | |
| クリエイティブストラテジー | Creative Strategy | |
| デザイン | Design | |
| デジタルクラフト | Digital Craft | |
| ダイレクト | Direct | |
| エンターテインメント | Entertainment | |
| フィルム | Film | |
| フィルムクラフト | Film Craft | |
| ゲーミング | Gaming | |
| グラス:変革のための賞 | Glass: The Award for Change | ジェンダー不平等・差別の解消に貢献した作品 |
| ヘルスケア | Healthcare | |
| インダストリークラフト | Industry Craft | |
| イノベーション | Innovation | |
| インテグレーテッド | Integrated | |
| メディア | Media | |
| ミュージック | Music | |
| アウトドア | Outdoor | |
| PR | PR | |
| プリント&パブリッシング | Print & Publishing | |
| ソーシャル&クリエイター | Social & Creator |
各部門においてグランプリ(Grand Prix)、ゴールド、シルバー、ブロンズ、ショートリストの各段階で評価が行われる。また、部門横断の特別賞としてGrand Prix for Good(社会貢献作品に対するグランプリ)が設けられている。
部門賞に加え、以下の特別賞が授与される。
Young Spikes(旧称Young Tigers)は、30歳以下の若手クリエイターを対象としたコンペティションで、2009年のリローンチ時から実施されている。アジア太平洋地域各国の予選を勝ち抜いたチームがシンガポールの本戦に参加し、限られた時間内で課題に取り組む。デジタル、フィルム、メディア、PR、プリントなど複数のカテゴリで実施される。
| 年 | 部門 | 作品名 | ブランド/クライアント | エージェンシー | 国 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2014 | Film / Digital / Outdoor / Promo & Activation(4冠) | Sound of Honda / Ayrton Senna 1989 | Honda | Dentsu Tokyo | |
| 2018 | Design / Direct / Integrated / Media / PR(5冠) | Palau Pledge | Palau | Host / Havas Sydney | |
| 2019 | Film / Film Craft(2冠) | 愛の停止線(10 Sec Drama: The Stop Line of Love) | JMS | Hakuhodo Kettle / Hakuhodo Tokyo | |
| 2022 | Creative Data | TUNA SCOPE 2021 | Sojitz Corporation | Dentsu Inc. Tokyo | |
| 2022 | Digital Craft | YAKUSHIMA TREASURE ANOTHER LIVE from YAKUSHIMA | YAKUSHIMA TREASURE | Dentsu Creative X / Dentsu Craft Tokyo | |
| 2022 | Social & Influencer | #PrideHair | Procter & Gamble(Pantene) | Grey Tokyo | |
| 2023 | Design | Suntory Tennensui Endless Dawn | Suntory | Dentsu Craft Tokyo | |
| 2023 | Film Craft | Kaguya by Gucci | Gucci | Tsuzuku / Dentsu Inc. Tokyo | |
| 2023 | Glass(3冠) | Knock Knock | 韓国警察庁 | Cheil Worldwide Seoul | |
| 2024 | Digital Craft / Direct / Industry Craft(3冠) | My Japan Railway | JRグループ | Dentsu Inc. Tokyo | |
| 2024 | Entertainment | PERFECT DAYS | PERFECT DAYS | Mount / Dentsu Inc. Tokyo | |
| 2024 | Innovation | ShellMet | Koushi Chemical | TBWA\HAKUHODO Tokyo | |
| 2025 | Entertainment | No Smiles(スマイルあげない) | McDonald's Japan | TBWA\HAKUHODO Tokyo | |
| 2025 | Digital Craft | HERITAGE DATABANK | — | Dentsu Inc. Tokyo | |
| 2025 | Grand Prix for Good | Visiongram | — | Dentsu Inc. Tokyo | |
| 2026 | Design | BEST AFTER 2055 | 高松市 | Shiseido Creative Tokyo | |
| 2026 | Creative Effectiveness | No Smiles(スマイルあげない) | McDonald's Japan | TBWA\HAKUHODO Tokyo | |
| 2026 | Creative Strategy | The Missing Verse: Completing the Bento Symphony | Zespri International Japan | Dentsu Inc. Tokyo | |
| 2026 | Industry Craft | Craftman.Ships | Ships | Hakuhodo Gravity / Hakuhodo Cabin Tokyo | |
| 2026 | Innovation | Smart Eye Camera | OUI Inc | TBWA\HAKUHODO / OUI Tokyo | |
| 2026 | Music | Project: Memory Card | PlayStation | Six Inc / Hakuhodo Tokyo |
| 年 | Network of the Year | Asia-Pacific Agency of the Year |
|---|---|---|
| 2018 | BBDO Worldwide | Host / Havas Sydney |
| 2019 | BBDO Worldwide | — |
| 2022 | DDB | DDB Mudra(Mumbai) |
| 2023 | Leo Burnett | Leo Burnett Mumbai |
| 2024 | Dentsu | Dentsu Inc. Tokyo |
| 2025 | Ogilvy | Colenso BBDO(Auckland) |
| 2026 | Leo | Leo Mumbai |
日本は電通、博報堂、TBWA\HAKUHODOを中心に、Spikes Asiaで継続的に高い実績を上げている。
Spikes Asiaはカンヌライオンズのアジア太平洋版として機能しており、審査基準や部門構成はカンヌライオンズと連動している。カンヌライオンズで好成績を収めた作品がSpikes Asiaでも受賞するケースが多く、またその逆も見られる。両フェスティバルは現在、インフォーマ傘下のインフォーマ・フェスティバルズが統括運営している。
カンヌライオンズが世界規模の広告祭であるのに対し、Spikes Asiaはアジア太平洋地域に特化しており、エントリー資格もアジア太平洋地域で展開された作品に限定される。