『D.P.S.』(ディー・ピー・エス)は、日本のゲームブランド・アリスソフトより発売されたアダルトゲームおよびそのシリーズである。第1作『D.P.S.』は美少女ゲーム黎明期の1989年に発売され、以降1992年にかけて5作品がリリースされた。1995年にはそれらをまとめて収録した『D.P.S. 全部』が発売されている。
本シリーズはオムニバス形式で構成されたコマンド選択式のアドベンチャーゲームであり、各タイトルには3本の短編が収録され、ストーリーごとに2種類の設定あるいは2択の分岐を設けたゲームシステムとなっている。
| 1989 | D.P.S. |
|---|---|
| 1990 | D.P.S. SG |
| 1991 | D.P.S. SG set2 |
| D.P.S. SG set3 | |
| 1992 | Super D.P.S. |
| 1993 | |
| 1994 | |
| 1995 | D.P.S. 全部 |
ゲームブランドのアリスソフトは1989年4月に創設され、同年7月にデビュー作として『Rance -光をもとめて-』および『Intruder〜桜屋敷の探索〜』を発表した。その後、8月の『クレセントムーンがぁる』、10月の『あぶない天狗伝説』に続けて12月にリリースさせたのが本シリーズ第1作の『D.P.S』である。シリーズのタイトルは『D.P.S』・『D.P.S. SG』・『D.P.S. SG set2』・『D.P.S. SG set3』・『Super D.P.S.』と1989年から1992年にかけて発売され、これらの作品に収録された物語をまとめた『D.P.S. 全部』が1995年にリリースされている。なお、以上の作品はいずれもアリスソフトの配布フリー宣言の対象に指定されており、インターネット上での配布が許可されている。
本シリーズのゲームディスクはシステムディスクとシナリオディスクを分けた状態で販売された。このシステムディスクはハードウェアのように扱うことが可能で、システムが他のシリーズ作品との互換性を有している。一方で、廉価版としてシステムディスクの付属しないバージョンも販売された。
『D.P.S.』シリーズは「夢の中で自分のやりたいことを」というコンセプトをもつ、オムニバス形式のアドベンチャーゲームである。タイトルの「D.P.S.」は "Dream Program System" の略であり、物語が収録されたカートリッジを挿入することによって好きな夢を見ることができるゲーム機という設定になっていた。第1作『D.P.S』は美少女ゲーム黎明期に発表された作品の1つであるが、上記のようなオムニバス形式のゲームはフェアリーテールが1987年にリリースさせた『あぶない女性心理学入門』や、エルフによる1989年の『ぴんきぃ・ぽんきぃ』など、主要なアダルトゲームメーカーが『D.P.S.』とほぼ同時期に発表している。
本シリーズはゲーム1作品につき3つの短編が収録され、それぞれの短編には2つのバージョンが存在するため、実質的には6種類のシナリオが収録された。バージョン分けの方法はストーリーによって異なり、短編「家庭教師はステキなお仕事」(『D.P.S. SG』に収録)のようにキャラクターの立ち位置によってバージョン分けがされているものや、「ANTIQUE HOUSE」(『D.P.S. SG set2』に収録)のように、登場人物の性格によってバージョン分けされている場合もある。
| ジャンル | アドベンチャーゲーム |
|---|---|
| 対応機種 | PC-8801/PC-9801/X68000/MSX2/FM TOWNS |
| 発売元 | アリスソフト |
| キャラクターデザイン | MIN-NARAKEN |
| 発売日 | 1989年12月15日 |
| レイティング | 18禁 |
『D.P.S』は、アリスソフトから1989年12月に発売されたアダルトゲームである。シリーズ第1作である同作は、3本の短編(「プリンセス・ファンタジー」・「なんてったって芸能人」・「いけない!! 内科検診」)が収録されたアドベンチャーゲームである。アリスソフトの様々なタイトルを手掛けたMIN-NARAKENが原画家として参加している。
| ジャンル | アドベンチャーゲーム |
|---|---|
| 対応機種 | PC-9801/PC-8801/PC-88VA/X68000/MSX2/FM TOWNS |
| 発売元 | アリスソフト |
| キャラクターデザイン | むつみまさと |
| 発売日 | 1990年8月 |
| レイティング | 18禁 |
| メディア | フロッピーディスク |
『D.P.S. SG』は、アリスソフトから1990年8月に発売されたアダルトゲームである。『D.P.S.』シリーズ2作目で、フロッピーディスクにて販売された。本作は「家庭教師はステキなお仕事」と「Fahnen Fliegen」、「信長の淫謀」の3本の短編が収録されたアドベンチャーゲームとなっている。
| 対応機種 | PC-88VA/PC-9801/X68000/MSX2/FM TOWNS |
|---|---|
| 発売元 | アリスソフト |
| 発売日 | 1991年4月 |
| レイティング | 18禁 |
『D.P.S. SG set2』は、アリスソフトから1991年4月に発売されたアダルトゲームであり、『D.P.S.』シリーズ3作目に当たる。同作には「ANTIQUE HOUSE」と「朱い夜」、「いけない内科検診 再び」の3本の短編が収録されている。シナリオの全文字数は約16万字となっており、本作以前のアリスソフト製品の中では最多となっていた。
| 対応機種 | PC-9801/PC-88VA/X68000/MSX2/FM TOWNS |
|---|---|
| 発売元 | アリスソフト |
| 発売日 | 1991年12月 |
| レイティング | 18禁 |
『D.P.S. SG set3』は、アリスソフトから1991年12月に発売されたアダルトゲームであり、『D.P.S.』シリーズ4作目に当たる。同作には「しんこんさんものがたり」・「卒業」・「Rabbit〜P4P〜」の3本の短編が収録されている。従来のシリーズ通り、2種類の設定からプレイヤーが選択するゲームシステムとなっているストーリーは「しんこんさんものがたり」に限られ、その他2本のストーリーは分岐形式での収録となった。
| 対応機種 | PC-9801/X68000/FM TOWNS |
|---|---|
| 発売元 | アリスソフト |
| 発売日 | 1992年9月 |
| レイティング | 18禁 |
| 回想モード | あり |
『Super D.P.S.』は、アリスソフトから1992年9月に発売されたアダルトゲームであり、『D.P.S.』シリーズ5作目に当たる。同作には3本の短編「マリアとカンパン」・「遠野の森」・「うれしたのし海賊稼業」が収録されている。
前作までと同様16色のCGを収録しているが、本作では256色のCGも収録され、PC-98シリーズではアダルトゲーム業界初の256色表示対応作品となった。そのほか、シリーズを通じて初めてCGの回想モードが実装され、前作までと比較してシナリオ構成やCGイラストの枚数も強化されている。
| 対応機種 | PC-9801VM/FM TOWNS/Windows |
|---|---|
| 発売元 | アリスソフト |
| 発売日 | 1995年11月 |
| レイティング | 18禁 |
『D.P.S. 全部』は、アリスソフトから1995年11月に発売されたアダルトゲームである。1枚のハイブリッドCD-ROMに『初代 D.P.S.』から『Super D.P.S.』まで、上記の『D.P.S.』シリーズ全作品に収録されたすべての短編に加え、新作ストーリー「めぐみちゃん物語」が収録された。
前述のように、『D.P.S.』シリーズはプレイヤーがコマンドを選択することで物語が進行するアドベンチャーゲームに分類される。アリスソフトの初期タイトルの中でもヒット作に位置づけられ、1作に複数の短編を詰め込んだゲーム構成は、オムニバス形式で展開するアドベンチャーゲームの先駆けになったという意見や、発売当時には「お買い得感が強かった」とする意見もある。また、同じストーリーでも複数の設定が用意されている点に関しては、雑誌『PC Angel』のライター・伊織舞也によれば、ユーザーの要望を汲んだものが多数収録されていると評価されている。一方、雑誌『美少女ゲーム最前線』ではどの作品のシナリオにおいてもグラフィックの使いまわしがあると指摘されているが、設定ごとに異なる状況を当てはめることに成功したと評されている。
システムとシナリオを別々のディスクに分けてリリースさせた点に関しては、「ツールの都合だったのかもしれないが、だいぶ先進的な発想」と評価する者や、システムディスクが併用可能であるため、シナリオディスク単体で販売されたことはプレイヤー側にとっても経済的だったと言及する者もいる。グラフィックについては、作品を重ねるごとに美麗なイラストへと進化したと伊織が述べており、『PC Angel』誌では3作目の『D.P.S. SG set2』以降、作品中に一部含まれるアニメーションにウェイトが置かれたと特筆されている。
1作目『D.P.S.』に対し、書籍『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』においてレビュアーを担当したごうすとは、作品のストーリーは「当時を感じさせ、多少の理不尽さを感じたりする」と言及している。『コンプティーク』誌は「簡素かつ実用性たっぷり」とした一方、『PC Angel』誌の考察では、それぞれのシナリオでプレイヤーの心を引きつける設定になっている点が評価されている。

シリーズ2作目『D.P.S. SG』のグラフィックに関しては以下のような評価がなされている。まず『PC Angel』誌ではシリーズ1作目に比べて「大幅にCGがキレイになった」と述べられており、パソコンゲーム誌の編集者・前田尋之は性に溺れた女性キャラクターの表情を褒め称えている。また、『美少女ゲーム最前線』誌に掲載された紹介記事では露骨な絵柄はあまりないものの、グラフィックが丹念に描かれている点や、Hシーンの情景描写に熱が入っている点が評価されている。一方、物語に関しては、書籍『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』に寄稿したライター・くれあ☆ばいぶるが展開の理不尽さを指摘しており、リリース当時の時代を感じる内容になっていると述べたうえ、森蘭丸を女体化した初めてのゲーム作品ではないかという論考を加えている。それに対し、『PC Angel』誌ではナチスの武装親衛隊から家庭教師といった設定の振れ幅が大きいと指摘し、エンターテイメント性がある作品と評している。
3作目『D.P.S. SG set2』に収録された「いけない内科検診 再び」はシリーズを通して唯一となる続編となった。本シナリオに登場する由美子について、『D.P.S.』と比較してキャラクターデザインが改良されたとする意見がある。また、『D.P.S.』に登場する「かつみ」に加え、その甥である「かつき」に対してもだまされた格好となった由美子について、「2度とだまされるなんてわけがない。おそらくかつみと不毛な関係を続けるよりも、よく似た性格容姿のかつきに好意をもってだまされたふりをしたのではないかと思われる」と考察を行った者もいる。
4作目『D.P.S. SG set3』に関しては、『PC Angel』の誌面にて「しんこんさんものがたり」に登場するヒロイン・ゆうがプレイヤーの中では「熱烈なファンが多いらしい」キャラクターだと言及されている。また、同誌のライター・伊織は「卒業」に登場するヒロイン・沙夜子について、怪獣を前にした状況の中で自身の悩みを優先して踏みとどまろうとする点を優柔不断な性格だと指摘した。PC98シリーズでは初めて256色に対応したアダルトゲームとなった5作目『Super D.P.S.』について伊織は、発売当時はプレイヤーにアリスソフト作品のためだけに256色対応ボードの購入を強いたかもしれないと言及しているが、とりわけ「遠野の森」に登場するクマの絵の精緻さを取り上げるなど、収録されたグラフィックについては評価している。一方、『PC Angel』誌では、ゲームに登場するおバカなキャラクターを選出する企画「KING OF BAKA」が行われた際、「遠野の森」に登場する青少年・鷹雪が選出されている。