Swift Playgrounds

Swift Playgrounds(プレイグラウンドとも呼ばれる)は、Appleが開発したSwiftの開発環境。

Playgroundsの最初のmacOSバージョンは、2014年6月2日のWWDC 2014Xcodeの一部として発表された。2016年9月、Swiftを習い始める若い学生をターゲットにしたSwift PlaygroundsのiPad版がローンチされた。

概要

Playgroundsは、コードをリアルタイムでレンダリングするテスト環境を提供する。これには、ユーザーの入力したコードが実行された際にその結果を評価付きで表示し、迅速なフィードバックを提供する機能が含まれる。このタイプの開発環境はREPL (Read–Eval–Print–Loop) と呼ばれることが多く、学習、実験、および高速プロトタイピングに役立つとされる 。Swift Playgroundsでは、AppleによってSwiftのチュートリアルや、REPLの利点を説明するガイド付きツアーが用意されている 。

Swift PlaygroundsのiPad版は、2016年6月13日のWWDC 2016内で、Swiftを学ぶ人のためのiPad専用アプリとして発表された。開発者向けのバージョンが同日にリリースされ、翌月にはパブリックベータも公開された。アプリでは学生向けの教育ツールとして、タッチディスプレイ用に設計されたインタラクティブ環境(対話型環境)を使用したコーディングのコアコンセプトが紹介された。アプリは2016年9月に(一般ユーザー向けに)リリースされた。Appleは、このアプリを中学生以上に推奨するとするSwift Playgroundsカリキュラムを公開している。

macOS用のSwift Playgroundsのスタンドアロン版は、2020年2月11日にMac App Storeでリリースされた。これはXcodeから完全に切り離されているものとなり、iPadOS版をmacOS用に移植したものとなる。

特徴

Swift PlaygroundsのiPad版は、開発環境と教育教材を組み合わせたものとなっている。このアプリでは、各教材を受講前にダウンロードし、以降はオフラインで利用できる。但し、ステージをiCloud Driveに保存する場合には、ネットワーク接続が必要となる。

Swift PlaygroundsのiPad版の初期レッスンでは、Byte、Blu、Hopperの3つのキャラクターが紹介されている。それぞれの課題において、プレイヤーは、いくつかのコードを組み合わせてキャラクターを操作し、定められた目標を達成する事を求められる。ステージが進行するにつれて目標はより困難になり、それらを解決するためにより複雑なアルゴリズムが必要となる。Swift Playgroundsではいくつかのステージをクリアすると、新しいコードが利用できるようになる。Swift Playgroundsの上級レッスンでは、Apple Bluetooth APIやApple Augmented Reality開発プラットフォーム(ARKit)のといった複雑な機能が利用できるようになる。

2018年1月、AppleはSwift Playgroundsにサブスクリプションを導入した。これにより、ユーザーはサードパーティの作成したPlaygroundをプレイでき、コンテンツプロバイダーはPlaygroundを販売できるようになった。

開発とリリース

Swift PlaygroundsはAppleのDeveloper Tools部門によって開発された。Swift Programming Languageの発明者であり、Developer Tools Departmentのシニアディレクター兼アーキテクトであるChris Lattnerによると、Playgroundsは「ブレット・ビクターのアイディア、ライト・テーブル、その他多くの対話型システムから大きな影響を受けている」(原文意訳)という。Swift Playgroundsは、2014年6月2日のWWDC 2014でXcode 6の一部として発表され、同年9月にリリースされた。

Swift PlaygroundsのiPad版は2016年9月13日にリリースされた。Chris Lattnerは構想、設計、実装、反復など、Swift PlaygroundsのiPad版を牽引した数少ない中核的人物の1人でもあった。Appleはリリースと同時に、iBook Storeで同アプリケーションの操作方法や使用方法をユーザーに教えるガイドブックを公開した。この発表は、公立学校にプログラミング教育の実施を求めるシリコンバレーの大規模なキャンペーンと時を同じくして行われた。Appleは、子供たちがプログラミングを学ぶのを助けるためにコンピュータサイエンスのカリキュラムを提供する、「Everyone Can Code」プログラムを発表した 。Swift Playgroundsはこのプログラムに含まれており、Appleは教師がSwiftを教えるための詳細なガイドを提供している。さらに、AppleはSwiftソフトウェア開発を教えるための一年間のカリキュラム「Swiftを使ったアプリ開発」を公開し、その後、学生のコーディングスキルを検証/認証するSwift認定プログラムを導入した。

2017年1月、AppleはRNIB(王立盲人研究所)と提携し、Swift Playgroundsの点字バージョンを提供した。2018年、Appleは米国のろう学校全体に「Everyone Can Code」プログラムを拡大すると発表した。

2020年2月、macOS Catalina向けにSwift Playgroundsのスタンドアロン版がローンチされた。このバージョンはXcodeから切り離されており、iPadバージョンのSwift Playgroundsの移植となっている。

2021年6月7日、WWDC21基調講演において、iPadOS 15でiPhoneとiPad用のアプリケーションを構築しApp Storeへ、iPad上から直接リリースできるようになることが発表された。2021年12月15日からiPadOS 15.2以降を対象にその機能を搭載したSwift Playgrounds 4が配付されている。

バージョン履歴

評価

リリースと同時に、Swift PlaygroundsのiPad版は、約100カ国の無料iPad教育アプリのランキングで第一位になった。同アプリは、ユーザー(App Storeでの評価は5段階のうちおよそ4となっている)や報道機関から概ね好意的な評価を受けた 。また、このアプリはSwiftの学習を若い学生でも行いやすくするのに加え、Swiftに過度に焦点を当てているのではなく、良いコーディング方法を教えることに焦点を当てているとされ、称賛された 。Common Sense Mediaは、Swift Playgroundsのスコアを5段階中の5としている。

脚注

外部リンク

Uses material from the Wikipedia article Swift Playgrounds, released under the CC BY-SA 4.0 license.