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数学における well-defined(ウェル・ディファインド)は、「定義によって一意の解釈または値が割り当てられる」ことを言う。
ある定義が well-defined であるのは次の二命題が示されたときである。
つまり定めた対象が一意に存在しているとき、well-defined であるという。
写像と定義域上の同値関係に対して、次のように数式を用いて記述することもできる。 集合 X 上の同値関係 ≡ と写像 f: X → Y に対して
が任意の x, x′ ∈ X に対して成立するとき、写像 f は関係 ≡ に関して well-defined であると言う。
1. 円周率 π の定義「円の直径に対する円周の比」を考える。この定義に現われる円は具体的な中心や半径が指定されていないが、直径は零でないのでまず比を取ることはどの円に対してもできる。さらにすべての円は互いに相似であるから、直径に対する円周の比は途中で経由する具体的な円の選び方に依存しない。したがって、この円周率の定義は well-defined である。
2. 実数 a > 0 の x 乗の定義を考える。 x が有理数の場合に良く定義されているとして、x が実数の場合に定義を拡張したいとする。 このとき x に収束する有理数列 {xn} を用いて
と定義する場合、well-defined 性が問題になる。 実際は、そのような {xn} を取ることができるし、右辺の極限は収束して極限値は {xn} の取り方によらずに一意に定まる (特に x が有理数のとき、もともとの定義と一致する)。 したがってこの定義は well-defined である。
3. 論理学における束縛変数の扱いを考える。述語論理やラムダ計算などの体系において、論理式や関数の意味は、束縛変数にどのような名前(文字)を割り当てるかという中途の表式に依存しない(アルファ等価性)。このように、便宜的な変数名の付け方によらずに最終的な意味や結論が不変であるため、これらの体系における意味論や操作は well-defined であると言える。
4. 計算機科学やプログラミング言語における式の評価を考える。特定の言語において、演算子の結合則や優先順位が厳密に定められていれば、与えられた文字列(ソースコード)から一意の構文木が構成され、その評価結果やプログラムの振る舞いも一意に定まる。このように解釈の曖昧さが完全に排除されている状態、あるいはプログラムの等価性が適切に定義されている状態を「構文(あるいは意味論)が well-defined である」と表現する。