ホワイトハウス
歴史
コンペで当選したホーバン案(1793年)
ホーバン がモデルにしたアイルランド のレンスターハウス
戦争による焼失
1814年8月に勃発した1812年戦争 のブラーデンスバーグの戦い での敗北により、イギリス軍 による焼き討ち にあい、石積みの外壁を残して全てが灰になってしまった。第4代大統領ジェームズ・マディソン は設計者のジェームズ・ホーバンを監督に任じ、焼け残った外壁を使って焼失前とほぼ変わらない官邸を再建し、1817年 に完成した。この時焼け焦げた外壁を白く塗装したことから「ホワイトハウス」と呼称される。現在も焼けこげた壁の一部は保存され、トルーマン・バルコニーと北ポルティコ 付近で見ることができる。
焼き討ちから約200年経過した2018年、アメリカがカナダに対して国家安全保障 を理由とした関税措置 を発表して対立し、両首脳間で電話会談が行われた。ジャスティン・トルドー 首相は国家安全保障 を理由にすることはできないと説いたのに対して、ドナルド・トランプ 大統領は過去にカナダ(実際はイギリス軍)はホワイトハウスを焼き討ちしたとして反論している。
トルーマン時代の大改修工事(1950年)
現在
1902年には第26代大統領セオドア・ローズヴェルト がウエストウイング を増築し、それまで2階部分に入っていたスタッフのオフィスをここに移した。そして空いた2階を居住空間に全面改装したほか、1階部分にも若干の改修が施された。これを機にホワイトハウスは公式に「ワシントン・ホワイトハウス」(White House - Washington ) と命名された。
1942年には第二次世界大戦 中に第32代大統領フランクリン・ローズヴェルト が地下に防空壕 を備えたイーストウイングを増築した。この防空壕は現在、大統領危機管理センター になっており、2001年の9.11テロ事件 の際にも閣僚が避難している。
1948年に第33代大統領ハリー・トルーマン は、レジデンス2階の「イエローオーバルルーム」の外側にバルコニーの設置を試みたが、強度検査で老朽化による構造強度の劣化が判明し、全面的に解体改修工事を行われた。工事は再び石積みの外壁のみを残して内部を基礎部分を含めて全て創り直す大規模で、5年間かけた一大プロジェクトであった。そのため、ペンシルベニア通りを隔てて北側に位置する大統領の賓客用宿泊施設(迎賓館)ブレアハウス (Blair House) を仮の大統領府として一時的に機能させることになった。5年経った1952年 に工事は完了して「トルーマン・バルコニー」が新設された。
エグゼクティヴ・レジデンスの施設
南側(裏)から見たレジデンス
ホワイトハウス周辺
諸元
床面積:約5万5000 ft2 (5100 m2 )
部屋数:132
洗面所:35か所
階数:地上3階地下3階
扉:412枚
窓:147か所
暖炉:28か所
階段:8か所
エレベーター:3基
シェフ:5人
地階
地階見取り図
グラウンドフロア (Ground Floor)
センターホール(Center Hall、地階 1 )
中央ホール。レジデンス地階の中心を東西に貫く幅約5m、全長約49mのホールで形状は廊下。天井はアーチ状 になっている。ホールの東端はイーストウイングの来訪者ロビーに通じ、西端はウエストウィング柱廊の一部を成すパームルーム (Palm Room) につながる。
ディプロマティック レセプションルーム(Diplomatic Reception Room、地階 2 )
外交官応接室。南庭からの入り口で、信任状捧呈式に臨む各国大使の到着口として使用される。フランクリン・ルーズベルト大統領は、この部屋の暖炉の前から「炉辺雑談 (Fireside chats )」と称する定期的なラジオ談話を行った。
マップルーム(Map Room、地階 3 )
第28代大統領ウィルソン や第30代大統領クーリッジ の頃は、ビリヤード 台が置かれた娯楽室だったが、第二次世界大戦 中、フランクリン・ルーズベルト大統領はこれを戦況報告室として使用し、各戦線 の状況を表示させる地図を掲示させてマップルームと称される。現在は大統領やファーストレディの個人的なミーティングに使用されている。
チャイナルーム(China Room、地階 4 )
迎賓ディナーなどに用いるボーンチャイナ の磁器 食器を保管する食器室である。ウィルソン大統領のイーディス夫人 が歴代大統領の磁器食器コレクション を展示したことからチャイナルームと称される。全体に赤い色調が特徴的な内装で、歴代大統領時代の磁器が年代順に展示されている。
バーメイルルーム(Vermeil Room、地階 5 )
1956年 にマーガレット・トンプソン・ビドル夫人が残したバーメイル (英語版 ) (金 めっき した銀 )のコレクションを展示したことから称される。黄色を基調とした装飾から「ゴールデンルーム (The Gold Room)』と呼ばれることもある。エレノア・ルーズベルト 、ジャクリーン・ケネディ 、レディーバード・ジョンソン 、パトリシア・ニクソン 、ナンシー・レーガン の各ファーストレディ の肖像画が展示されている。現在は式典などで女性の控え室として使用されている。
キッチン(Kitchen、地階 6 )
厨房。大統領と家族の食事の他、ホワイトハウス公式晩餐会 の料理も調理しており、ホワイトハウス・エグゼクティブシェフ (英語版 ) が責任者である。常勤料理人 5名(うちパティシエ (ホワイトハウス・エグゼクティブパティスリーシェフ (英語版 ) )1名)と約20名のパートタイムのスタッフが働いている。軽食からフルコースのディナー まで作り、ディナー140人分、オードブル なら1000名分以上を提供することができる。
ホワイトハウス キューレーターズ オフィス(White House Curator’s Office、地階 7 )
ホワイトハウス学芸員室。第35代大統領夫人ジャクリーン・ケネディ が、1961年 ホワイトハウスを歴史博物館 とすることを訴えたことで設置された。ホワイトハウス学芸員は、ホワイトハウスが所蔵する1万4000件以上の歴史的価値のある調度品や美術品を管理・修復している。
ライブラリー(Library、地階 8 )
書斎。洗濯部屋として使われたこの部屋は、セオドア・ルーズベルト大統領による改修でポーカー ルームに改装され、フランクリン・ルーズベルトは書斎に改装した。1973年 3月に主要国首脳会議 の起こりとなった「ライブラリー・グループ」4か国(アメリカ合衆国・イギリス ・西ドイツ ・フランス )が最初に会合した。第39代大統領カーター は、ルーズベルトの「炉辺雑談」をならいラジオ談話を毎週この部屋から行った。
クリニック(Clinic、地階 9 )
医務室。大統領とその家族やホワイトハウス職員のための診療所 で、医療設備を完備した診察室と検査室からなる。
ドクターズオフィス(Doctor’s Office、地階 10 )
常勤医師である大統領専属医 (英語版 ) 、ホワイトハウス・メディカルユニット (英語版 ) などのオフィス。
ディプロマティック レセプションルーム地階 2
マップルーム地階 3
バーメイルルーム 地階 5
ライブラリー地階 8
1階
1階見取り図
ステートフロア (State Floor)
クロスホール(Cross Hall、1階 1 )
横断ホール。形状は廊下。
ブルールーム(Blue Room、1階 2 )
レッドルーム(Red Room、1階 3 )
グリーンルーム(Green Room、1階 4 )
イーストルームに隣接する食堂として設計され、壁が緑色であることからグリーンルームと呼ばれている。第3代大統領ジェファーソン は食堂として使用していたが、それ以降は多目的に使用されている。マディソンはここを執務室とし、閣議もここで行った。第5代大統領モンロー は、トランプ を楽しむためのカードールームとして使用した。グリーンルームの目的と装飾が現在のものに定着するのはセオドア・ルーズベルトのときからである。
イーストルーム(East Room、1階 5 )
ホワイトハウス創設当時より「公式謁見室」として使用されており、現在でも大統領の記者会見のうち特に重要なもの、条約や重要法案の署名式典、晩餐会やレセプションなど、大がかりな行事はこのイーストルームで行われる。暗殺された第16代大統領リンカーン やケネディの遺体が教会での葬儀や連邦議会 での正式安置に先立って、一時的にこの部屋に置かれたこともある。ジョージ・ワシントンの全身肖像画がある部屋としても有名。
ステートダイニングルーム(State Dining Room、1階 6 )
“大食堂”。国賓 を迎えた際の公式晩餐会 はここで行われる。
ファミリーダイニングルーム(Family Dining Room、夕食会の間、1階 7 )
ファミリー(家族)はステート(国家)と対比しており、実際は国賓のための大規模な公式晩餐会以外の、小規模な公式・非公式の夕食会に使用される。大統領の家族が日常使用する家族用のダイニングは2階にある。
エントランスホール(Entrance Hall、1階 8 )
正面玄関ホール。
サウスポーティコウ(South Portico、1階 9 )
南ポーチ。
クロスホール1階 1
ブルールーム1階 2
レッドルーム1階 3
グリーンルーム1階 4
イーストルーム1階 5
ステート ダイニングルーム1階 6
ファミリー ダイニングルーム1階 7
2階
2階見取り図
セカンドフロア (Second Floor)
セントラルホール(Central Hall、2階 1 )
中央広間。形状は廊下。
イエローオーバルルーム(Yellow Oval Room、2階 2 )
応接間。「オーバル」の名から大統領執務室と混同される。執務室の「オーバルルーム」はウエストウイング に位置する。
リビングルーム(Living Room、2階 3 )
居間。
トリーティールーム(Treaty Room、2階 4 )
条約調印の間。主に書斎として使用。
リンカーンベッドルーム(Lincoln Bedroom、2階 5 )
寝室。
リンカーンシッティングルーム(Lincoln Sitting Room、2階 6 )
寝室兼居間。
マスターベッドルーム(Maser Bedroom、2階 7 )
主寝室。
マスタードレッシングルーム(Master Dressing Room、2階 8 )
主更衣室。
ウエストシッティングホール(West Sitting Hall、2階 9 )
「西の居間」。寝室兼居間にもなるホール。
イーストシッティングホール(East Sitting Hall、2階 10 )
「東の居間」。寝室兼居間にもなるホール。
クイーンズベッドルーム(Queen’s Bedroom、2階 11 )
寝室。
クイーンズシッティングルーム(Queen’s Sitting Room、2階 12 )
寝室兼居間。
イーストベッドルーム(East Bedroom、2階 13 )
東寝室。
ウエストベッドルーム(West Bedrom、2階 14 )
西寝室。
プライベートダイニングルーム(Private Dining Room、2階 15 )
大統領一家のための食堂。
ファミリーキッチン(Family Kitchen、2階 16 )
大統領一家の台所 。
ビューティーサロン(Beauty Salon、2階 17 )
美容室・理容室。
トルーマンバルコニー(Truman Balcony、2階 18 )
1952年に新設された区域。トルーマン大統領が設置した。
イエローオーバルルーム2階 2
プライベート ダイニングルーム2階 15
トルーマンバルコニー2階 18
3階
サードフロア (Third Floor)
センターホール (Central Hall)
中央ホール。
ミュージックルーム (Music Room)
音楽室。
ゲームルーム (Game Room)
娯楽室。
ワークアウトルーム (Workout Room)
トレーニングジム 。
サンルーム (Sun Room)
その他
テニスコート
ボウリング場
映画館
ジョギング専用路
プール
逸話
「国旗常時掲揚」を表したホワイトハウス紋章
国旗 を掲揚する時間は日の出から日の入りまでが、国際的な規定である。星条旗 に強い愛着を抱くアメリカ人の多くは、ホワイトハウスの国旗に関する慣習は広く認識され、夜間に国旗を掲げたままにしておくことは良好な慣習ではないと考えている。リチャード・ニクソン は1970年9月4日に発令したアメリカ合衆国大統領告示第4000号で、「今後ホワイトハウスには悪天候などの不可避な条件が無い限り、アメリカ合衆国国旗は常時掲揚する」と表明した。実際に夜間掲揚が始まると4000号告示のことを知らない人物から「ホワイトハウスは国旗の掲げ方も知らないのか」と電話が入ることがあった。
以前はその内部見学ツアーが有名で観光名所であった。隣接する「見学センター」で簡略的に事務手続きすると、誰でもいつでも構内を見学可能で、大統領 側近、ファーストレディ 、大統領らと出会う機会があった。現在は10人以上の団体で6か月前までに予約し、連邦議会議員の経由でバック・グラウンド・チェックに同意する必要がある。
戦前 の大日本帝国 では「白堊館 」(白亜館、「はくあかん」または「ホワイトハウス」と読む)と表記された。
外壁色は「クリーム・ホワイト」で淡黄を帯びた白である。純白であると、太陽光線の作用により褪色して色調が変化するが、クリーム・ホワイトの外壁の場合、色調が変化する心配がない。感光式のカメラでは、純白の塗装面を晴天下でカラー撮影すると、レンズに空の色が入り込み青色変色する現象が誘発されるが、クリーム・ホワイトは予防する効果がある。
構内は全館禁煙。第42代クリントン 大統領時代、当時、ファーストレディであったヒラリー・クリントン により導入された。
敷地構内には菜園が存在する。第44代オバマ 大統領時代の2009年、大統領夫人のミシェル・オバマ の提案により、オーガニック 野菜を栽培するため、菜園が創設された。それ以前には、エレノア・ルーズヴェルト アメリカ合衆国大統領夫人による「勝利農園」と呼称される農園が営まれた例が存在する。
「ホワイトハウス・ハニー・エール 」と呼称されるビール 醸造所が存在する。「ライト」と「ダーク」の2種類で蜂蜜 風味である。2012年9月にビール愛好家が情報公開請求して、ホワイトハウス・ハニー・エールで製造されるビールのレシピが公開された。
ファーストファミリーの私的な経費は全て自己負担である。各々の飲食費、クリーニング代、大統領就任式、ホリデーシーズンパーティーの飲食と装飾と人件費、ジョン・F・ケネディ 以降、ジョージ・H・W・ブッシュ を除くほぼ全てのファーストファミリーの懸案は飲食費の倹約であった。
大統領が利用するホワイトハウス、別荘、専用機などは、内装のデザインテーマを共通している。
脚注
注釈
↑ 但し、ヒラリー・クリントン 大統領夫人は、例外的にウエストウイングにオフィスを構えていた。
↑ ブッシュ 大統領はこのときフロリダ州に滞在中だった。
↑ 但し、チェイニー副大統領は例外的にウエストウイングにオフィスを構えていた。
↑ ただしこれには異説があり、現存する“White House”の初出は1811年のものであるという。
1 2 一般に英語で "ground floor" は「地上階」すなわち「1階」を意味するが、ホワイトハウスでは地下のことをこう呼んでいる。
↑ 通常の記者会見はウエストウイングの定例記者会見室 を使用することが多い。
出典
外部リンク
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