多角形

いくつか異なる種類の多角形: 開多角形 (境界は含まない), 境界多角形 (内部は含まない), 閉多角形 (内部も境界も含む), 自己交叉多角形

幾何学において多角形(たかっけい、英: polygon; [ˈpɒlɪɡɒn])とは、広義には、有限個の点 A1, A2, …, An を結ぶ線分 A1A2, …, An−1An, AnA1 の組が定める閉じた折れ線

を指す。このとき点 A1, A2, …, An を多角形の頂点(vertex, corner)、線分 A1A2, …, An−1An, AnA1 を多角形の辺(edge, side)という。多角形の頂点が相異なり、かつ同一平面上にあり、相異なる辺が交わらないとき、多角形は平面を空でない有界な領域と非有界な領域の二つに分ける(ジョルダン閉曲線定理)。このとき有界な領域の閉包を単に多角形ということもある(単純平面多角形)。さらに狭義には、平面にある空でない有限集合の凸包、言い換えると有限個の半平面の共通部分として表せる空でない有界集合を多角形ということも少なくない(凸平面多角形)。このように多角形は文脈に応じてわずかに異なる定義がいくつもなされ、その意味について必ずしも共通した一定の了解があるわけではない(#一般化も参照のこと)。

n 個の辺を持つ多角形は n-角形 (n-gon) あるいは n-辺形 (n-lateral) と呼ぶ。例えば三角形は三辺形である。多角形は、より一般の任意次元における超多面体の二次元の例になっている。

多角形 (poly­gon) の語は、「多い」を意味する希: πολύς (ラテン転写: polús) と「角」(カド)を意味する希: γωνία (ラテン転写: gōnía, cōnía) に由来する。二つの相隣る (adjacent) 辺とそれらの交点としての頂点の成す幾何学的対象が角(カク、平面角)で、その大きさを測る数値(測度)を角度(角の測度)と呼ぶ。

なお、図形に関してはしばしば、その周辺の枠だけについて議論しているのか、面としてその内側と外側を区別しているのか曖昧なことがあるが、多角形についても同様であり、たとえば後者について議論していることを明確にするために「面分」(「線分」からの類推)などといった語が使われることなどがある。

面についての考慮をともなわない、「点と辺からなる対象」としては、(グラフ理論の意味の)「グラフ」の一種とみなすことができ、(多角形に限らないが)図形やグラフの特徴などについて、しばしば相互の用語などを使って説明などがなされることがある(一例として、多面体グラフの記事を参照のこと)。

歴史

Historical image of polygons (1699)

多角形は古代より知られており、特に正多角形は古代ギリシアにおいて既に知られている。

また五芒星のような非凸正多角形(星型多角形)も早くも紀元前7世紀ごろ、アリストノトスのクラテール(カエレ(英語版)において発見され、現在カピトリーノ美術館に収蔵されている)に描かれている。

一般の非凸多角形の系統的研究として最初に知られたものは、14世紀にトーマス・ブラドワーディン(英語版)によって為された。

1952年にジェフリー・コリン・シェファード(英語版)は多角形の概念を複素平面C2 上に一般化(各実次元に虚次元を一つずつ追加)したものとして複素多角形(英語版)の概念を導入した。

用語

多角形の

分類

いくつか異なる種類の多角形

辺の数

多角形は第一義的にその辺の数で分類できる。n 個の辺を持つ多角形は n-角形あるいは n-辺形と呼ぶ。

凸性・凹性

多角形をその凸性あるいは凹性によって特徴付けることができる:

等値性・対称性

その他

色々な正多角形

多角形の内角の和/外角の和

n 角形の内角の総和は、多角形の形状に関わらず(凸であれ凹であれ)  である。これはどのような多角形でも、対角線で適当に区切ることで (n-2) 個の三角形に分割できることから導かれる。正 n 角形の内角は全て等しいので、正 n 角形の内角は である。 n 角形の外角の総和は、nの値によらず、常に360度(ラジアン角では2π)である。

面積公式

多角形の面積は、頂点の位置ベクトルから外積を用いて計算することができる。 多角形の頂点を反時計回りに並べて、それらの位置ベクトルを とすると、その面積は

という式になる。ただし、 とする。

この式を使うと凹多角形でも問題なく計算できるが、自己交差を持つなどの特殊な場合には適用できないので注意が必要である。時計回りのときは負になるだけなので、どちら回りかよく分からないときには全体の絶対値をとればよい。

合同条件

辺の数が同数の二つの多角形 P , P' があるとする。この二つの多角形に対し合同関係が定義できるが、次の条件を満たすとき、二つの多角形は合同である。

また、辺の数に関係なく、二つの多角形の面積が等しければ、適当に分割することによって、二つの多角形を合同にすることができる。(ボヤイの定理)

相似条件

辺の数が同数の二つの多角形 P , P' があるとする。この二つの多角形に対し相似関係が定義できるが、次の条件を満たすとき、二つの多角形は相似である。

コンピュータグラフィック

直線のみから成る多角形は、コンピュータグラフィックで多用される射影変換に対して閉じている(元が多角形であれば、変換先も曲線になったりせず多角形になる、ということ)ことから、サーフェスモデルのプリミティブなどとして多用されている。詳細はポリゴンの記事を参照のこと。

一般化

多角形の概念はいくつかの観点から一般化される。重要なものをいくつか挙げる:

注

  1. ↑ 多辺形(たへんけい、英: polylateral)ともいう。
  2. ↑ 多角形の頂点が共面的であるとき平面多角形(plane polygon)、そうでないとき、ねじれ多角形(skew polygon)という。
  3. ↑ 凸平面多角形は端点(extremal point)の凸包であり、また支持直線(supporting line)が定める半平面の共通部分でもある。

参考文献

  1. ↑ Craig, John (1849). A new universal etymological technological, and pronouncing dictionary of the English language. Oxford University. p. 404 Extract of page 404
  2. ↑ Heath, Sir Thomas Little (1981), A History of Greek Mathematics, Volume 1, Courier Dover Publications, p. 162, ISBN 9780486240732. (1921年の原著の再版誤植修正版); Heath はこの壺絵職人の名を "Aristonophus" と綴っている.
  3. ↑ Coxeter, H.S.M.; Regular Polytopes, 3rd Edn, Dover (pbk), 1973, p.114
  4. ↑ Shephard, G.C.; "Regular complex polytopes", Proc. London Math. Soc. Series 3 Volume 2, 1952, pp 82-97

関連項目

外部リンク