Amazon Prime Air

Amazon Prime Air
種類
子会社
業種 宅配便
設立 2016年
親会社 Amazon.com
ウェブサイト amazon.com/primeair
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Amazon Prime AirとはAmazon.com社によるドローン宅配便サービスである。2022年にサービスを開始し、アメリカとイギリスの一部都市でサービスが展開されている。

計画ではドローン宅配便を利用して注文から30分以内に荷物を注文者へ輸送するものと説明されている。30分以内の配達の対象となるのは重さが5ポンド以下かつ専用の貨物ボックスに収まるサイズの荷物で、配送場所が配送センターから半径10マイル以内に位置する場合のみである。

歴史

計画の構想

2013年、AmazonのCEOであるジェフ・ベゾスは60 MinutesのインタビューでAmazon Prime Airの計画について語った。Amazon Prime Airチームは、Amazonの新しい航空交通管理システムを用いて、NASAとシングル・ヨーロピアン・スカイ・ATM・リサーチ(英語版)の協力のもと、試験を開始した。安全のため、ドローンは400フィート (120 m)未満の低高度を飛行する予定となっている。ドローンによる配送では道路や決められたルートが存在しないため、A地点からB地点までの経路が自在に設定でき、車による配送とは大きく異なる。Amazonは、自社の交通管理システムについてインターネットを介して接続するため、同じ空域を複数のオペレーターが利用しやすいと述べた。

2013年12月1日に発表された当初予定では、自動化された無人航空機を利用して2015年からの運用開始を予定していた。

Prime Airとしてマルチコプターによる配送と有人輸送機による運搬の2計画を有している。Prime Airでは顧客が注文した商品を30分以内に届けることを目標としており、商品を入れた専用ボックスがドローンにセットされてから顧客の家の前にそれを置いて戻るまでがすべて自動で行われることを構想している。その際、各配送エリアの気象条件に応じて、もっとも適した配送モデルが採用されるよう、複数の輸送モデルの組み合わせを構想している。

規制緩和とテスト

2012年、アメリカ議会はFAAの近代化および改革法において、議会は連邦航空局(FAA)に2015年9月30日の期限を設け、「民間の無人航空機システムを国の空域システムに安全に統合する(safe integration of civil unmanned aircraft systems into the national airspace system)」ことを承認した。2016年8月、アメリカ議会はUAVの商用利用を認可した。

2015年3月、FAAはAmazonに対してドローンのテストを行うことを許可した。Amazonはテストが許可されたドローンは時代遅れのものであると述べた。2015年4月、Amazonは現行モデルのドローンによるテストをカナダで開始した。

アメリカの規制では、ドローンは400フィート (120 m)以下の高度を100マイル毎時 (160 km/h)以下の速度、かつ操縦者が視認できている状態で飛行することとなっている。Amazonは200 - 500フィート (61 - 152 m)の高度を飛行させる予定だと公表している。計画では、配送センターの半径10マイル以内の地点に重さ55ポンドのドローンを用いて、5ポンド以下の荷物を50マイル毎時 (80 km/h)で輸送する。

準備

Amazonはドローンを収容するための蜂の巣の用な形状の建物の特許を取得している。Amazonが公開した動画によれば、ドローンの宅配用に設計された新たなフルフィルメントセンターが必要となる。

最初の配達

2016年12月7日、Amazonはイギリスのケンブリッジにドローンを用いて、初めての宅配を行った。2016年12月14日、Amazonは公式YouTube上にて宅配の様子を公開した。

商用運用への移行と拡大

2020年8月、Prime Airはアメリカの14 CFR Part 119航空運送事業者証明のもとで標準Part 135事業者としてオレゴン州ペンドルトンで商用運航を開始し、55ポンド(約25キログラム)を超えるドローンをこの枠組みで運用した最初の事業者となった。

一般顧客向けの配送は2022年12月にテキサス州カレッジステーションとカリフォルニア州ロックフォードで始まり、最大5ポンド(約2.3キログラム)の家庭用品などが対象となり、2023年10月にはカレッジステーションで500種類を超える一般的な処方薬を注文後1時間以内に届ける配送も開始された。

2024年5月、カレッジステーションでのPart 135運航について、飛行経路上の目視監視員を外し、操縦者の目視範囲外(BVLOS)で運航することが認められた。この承認は同地の配送区域をより人口の多い地域へ広げるために用いられ、同年にはロックフォード拠点の閉鎖とアリゾナ州トレソンへの新拠点開設も発表された。

新型機MK30は従来機より小型・軽量で、飛行距離を2倍とし、小雨やより広い温度範囲での飛行に対応する設計で、一部の当日配送拠点からも運用する方針が示された。

MK30の運航では、飛行前に運用区域の高精度モデルから建物、橋、送電線など既知の障害物を避ける経路を生成し、飛行中は機上の検知・回避システムによって他の航空機や予期しない障害物を認識する。配送地点では地上約12 - 13フィート(約3.7 - 4.0メートル)まで降下し、人、動物、車両などが配送区域にないことを確認したうえで荷物を投下する。この検知・回避機能は、Prime Airが目視外飛行を日常的に行うための運用要素としてFAAの統合プログラムでも扱われている。

2026年にはMK30を用いる運航計画の環境審査が複数地域で進み、テキサス州内22拠点、フロリダ州内6拠点、カンザスシティ地域2拠点、デトロイト地域4拠点について最終環境評価または決定が公表された。テキサス州、フロリダ州、カンザスシティ地域、デトロイト地域の計画では、既存のAmazon倉庫に隣接する配送センターを発着点とし、1拠点当たり最大1日1,000便、年間約36万5,000便を運航する想定が示された。

米国外では、2026年2月からイングランド北東部のダーリントンでMK30による顧客向け配送が行われ、Prime Airとして初めてアメリカ国外の顧客が利用できる拠点となり、商品を注文後60分以内に届ける運用が開始された。

2026年8月時点でPrime Airは米国内11都市圏でサービスを提供し、同年に入って数十万件の荷物をドローンで配送しており、Amazonは同年末までにシカゴ、アトランタ、クリーブランド、シラキュース、ボイシなどを含む約500の市町村へ対象地域を拡大する計画を公表している。

インターネットへの接続と情報の保存

Amazon Prime Airのドローンは制御や通信のためにインターネットへ接続する必要がある 。ブルッキングス研究所は、ドローンが収集した情報がどのように使用されるかは不明であると述べた。Pittsburgh Journal of Technology Law & Policy(英語版)は、自動的な障害物検出システムやGPS、ギガピクセル・カメラ、高解像度の画像などによって情報収集が行われていると報告した。

脚注

  1. 1 2 “Amazon Unveils Futuristic Plan: Delivery by Drone”. CBS News. 1 December 2013. 2014年5月6日閲覧.
  2. ↑ “Another new frontier for Prime Air” (英語). US Day One Blog (2019年1月18日). 2019年1月25日閲覧。
  3. 1 2 “Amazon、ドローンでの配送サービス「Prime Air」構想を発表”. ITmedia ニュース (2013年12月2日). 2016年12月6日閲覧。
  4. ↑ “Amazonが自社専用輸送機「PRIME AIR」を公開”. HARBOR BUSINESS Online (2016年8月7日). 2016年12月6日閲覧。
  5. ↑ “注文から30分でドローン配送の詳細…Amazon Prime Airの現状判明”. gizmodo.jp (2013年12月2日). 2016年12月6日閲覧。
  6. ↑ “FAA Modernization and Reform Act of 2012”. FAA.gov (2012年2月14日). 2014年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年5月6日閲覧。
  7. ↑ “FAA's new drone laws go into effect Monday, allowing US companies to innovate”. CNBC.com (2016年8月29日). 2017年7月23日閲覧。
  8. 1 2 Lavars, Nick (April 12, 2015). “Amazon to begin testing new delivery drones in the US”. Gizmag. 2015年4月12日閲覧.
  9. ↑ Sam Levin (26 June 2016). “Amazon patents beehive-like structure to house delivery drones in cities”. The Guardian. 2017年7月23日閲覧.
  10. 1 2 amazon (2016-12-14), Amazon Prime Air's First Customer Delivery 2016年12月15日閲覧。
  11. ↑ “Package Delivery by Drone (Part 135)” (英語). Federal Aviation Administration. 2026年8月21日閲覧。
  12. ↑ “How Amazon is building its drone delivery system” (英語). Amazon (2022年8月9日). 2026年8月21日閲覧。
  13. ↑ “Amazon will start testing drones that will drop prescriptions on your doorstep, literally”. Associated Press (英語). 2023年10月18日. 2026年8月21日閲覧.
  14. ↑ “Get medications faster with drone delivery from Amazon Pharmacy” (英語). Amazon (2023年10月18日). 2026年8月21日閲覧。
  15. ↑ “FAA General Statements” (英語). Federal Aviation Administration. 2026年8月21日閲覧。
  16. ↑ “Amazon gets FAA approval allowing it to expand drone deliveries for online orders”. Associated Press (英語). 2024年5月30日. 2026年8月21日閲覧.
  17. ↑ “Amazonがイタリアとイギリス、および米国内3か所目となる地域でのドローン配送の開始を発表”. Amazon. 2026年8月21日閲覧。
  18. 1 2 “How Amazon proved its new delivery drone is safe for takeoff” (英語). Amazon (2025年2月27日). 2026年8月21日閲覧。
  19. ↑ “Integration Partnership Agreement (IPA) Program” (英語). Federal Aviation Administration. 2026年8月21日閲覧。
  20. 1 2 “Public Involvement and Environmental Review for Drone Operations” (英語). Federal Aviation Administration. 2026年8月21日閲覧。
  21. ↑ “Inside Amazon's first-ever drone delivery site in the UK” (英語). Amazon. 2026年8月21日閲覧。
  22. ↑ “The Huge Things Happening Across Tees Valley In 2026” (英語). Tees Valley Combined Authority (2026年1月5日). 2026年8月21日閲覧。
  23. ↑ “Amazon set to expand drone delivery of lightweight packages to 500 US cities”. Associated Press (英語). 2026年8月20日. 2026年8月21日閲覧.
  24. ↑ “Amazon to Expand Drone Delivery Service to Nearly 500 Locales”. The Wall Street Journal (英語). 2026年8月19日. 2026年8月21日閲覧.
  25. ↑ Mac, Ryan (28 July 2015). “Amazon Proposes Drone Highway As It Readies For Flying Package Delivery”. Forbes.
  26. ↑ Singer, Peter W. (2013年3月8日). “The Predator Comes Home: A Primer on Domestic Drones, their Huge Business Opportunities, and their Deep Political, Moral, and Legal Challenges”. Brookings. 2016年12月15日閲覧。
  27. ↑ Schlag, Chris (30 May 2013). “The New Privacy Battle: How the Expanding Use of Drones Continues to Erode Our Concept of Privacy and Privacy Rights”. Pittsburgh Journal of Technology Law and Policy 13 (2). doi:10.5195/tlp.2013.123.

関連項目

外部リンク