コロンビア大学
コロンビア大学 (コロンビアだいがく、Columbia University、正式名称: Columbia University in the City of New York)は、ニューヨーク州 ニューヨーク 市に本部を置くアメリカ の私立大学 。各種大学ランキングで上位に位置する全米有数の名門校で、アイビーリーグ の1校に数えられている。イギリス植民地時代 の1754年 に国王ジョージ2世 の勅許により創立された全米で5番目に古い大学である。
大学名の「コロンビア Columbia」は、北米大陸を指す古い名称・雅語(コロンビア (擬人化) を参照)。
創設以来87名のノーベル賞 受賞者、100名を超すピューリッツァー賞 受賞者を輩出するなど、学術・人文分野でも米国の教育機関として重要な位置を占める。
2024年 時点の大学基金 総額は148億ドル(約2兆3000億円)にのぼり、全米第3位の規模である。
2024年時点の学部合格率は4%と全米最難関グループに属する。学部・大学院を合わせた学生登録数は約3万6000名。国際色が豊かなことで知られ、外国籍の学生比率は約40%、出身国は延べ149カ国に上る(2024年時点)。
1年間の学費は医学部をのぞく全学部平均で年間約7万4000ドル(約1,100万円)と発表されている。
2026年7月より、ロースクール教授だったジェニファー・ムヌーキン [英語版 ] が第21代学長を務める。
歴史・校風
イギリス王 ジョージ2世 の憲章勅許により、英国国教会 (イングランド国教会)の著名な牧師であったサミュエル・ジョンソン が、1754年 に「キングズ・カレッジ」 (King's College)として創立した。
設立当初のキングズ・カレッジのキャンパスはウォール街 付近のトリニティ教会 敷地内に置かれ、サミュエル・ジョンソン 教授1人と学生8人で開始した。アイビー・リーグ8校のうち、イギリス国王の勅許により設立されたのは、コロンビア大学のみである。
1784年州法により「コロンビア・カレッジ 」(Columbia College)と改称され、1896年に大学院の設置とともに「コロンビア大学 」(Columbia University)となった。
コロンビア大学が最初に大きな成果を挙げたのは理工学分野である。X線写真 ・FM放送 の実用化は工学部の研究成果で、アメリカ初の核分裂実験 に成功したのもコロンビア大学のキャンパスである。このほか核磁気共鳴(NMR) とそれにもとづくMRI診断 の技術、レーザー 技術も物理学科で開発されており、これらの成果によってノーベル物理学賞を受賞した教員らは創立以来29人にのぼる(2025年時点)。
医学教育の歴史も古く、アメリカ最初の医学博士号がメディカル・スクールで授与されているほか、看護学科も国内最初期に開校されたひとつである。
キャンパス中央に位置するロウ記念ホール (Low Library) 伝統的に地域研究に力を入れており、米国の対外政策にも大きな影響を及ぼしてきた。7つの地域研究所と12の研究センターを擁し、地域研究所の数としては全米最多である。アジア地域専門のウェザーヘッド東アジア研究所 、その上位機関の国際公共政策大学院 、ロシア研究拠点として米国最大規模のハリマン研究所 などには世界各地から研究者が集まっている。また、アメリカで唯一日本経済を専門とする日本経済経営研究所 がある。
人文学研究では、イディッシュ語 を中心とするユダヤ文化研究、映画理論 を中心とする表象文化 研究などの分野で世界的に著名な研究者を数多く擁する。また、1912年にジョーゼフ・ピューリツァー の寄付により設立されたジャーナリズム大学院 は、アイビー・リーグ 唯一のジャーナリズム大学院である。ピューリッツァー賞 の運営事務局も同校に置かれており、毎年5月上旬に同大学院からライブ配信で発表される。
大都市から離れた場所に位置することの多いアメリカの大規模校の中で、マンハッタン 中心部に位置するという立地条件も、しばしばコロンビア大学の大きな特徴に上げられる。一方で物価や生活費の高さもデメリットとして指摘される(後述「学生生活・卒業生像 」節参照)。
毎年9月には、ニューヨークで国連総会 が開催される時期に各国の大統領、首相、外相らをキャンパスに招待したシンポジウム (World Leaders Forum)が開催されている。日本からは橋本龍太郎 や安倍晋三 らがゲストとしてスピーチを行ったことがある。
伝統的にリベラルな校風でも知られており、1968年 にキャンパスで起きた抗議活動(英語版 )は、全米で学園紛争が拡大するきっかけとなった。また2024年3月にも、イスラエルのガザ攻撃 などを批判して全米の大学で抗議活動が起きた際はその象徴的な存在として大きな注目を集めた(後述「キャンパスの出来事 」)。
大学のマスコットは獅子。ロゴはイギリスの国章に着想を得ており、1910年頃 から使われている。大学のロゴである王冠はキングズ・カレッジ時代から引き継がれた。
校訓は「汝の光によって我等は光を見る 」(In Thy light shall we see the light)。旧約聖書 ・詩編 36編9節の一節から取られている。
大学ランキング
ロウ記念ホールの内部 アメリカを代表する世界的な研究教育拠点のひとつであり、主要な大学ランキングにおいて、法科大学院や公共政策大学院などの専門職大学院教育でも世界トップクラスの評価を得てきた。ただし近年はデータ提出の不備などが理由で総合ランクは流動的になっている。(後述「批判・不祥事:ランキング不正 」節参照)
総合
ビジネススクール
フィナンシャル・タイムズ紙 : 第4位(2025年)
QSグローバルMBAランキング(米国内): 第6位(2025年)
USニュース紙:第9位(2025年)
ロースクール(法科大学院)
THE世界大学ランキング:第5位(2025年)
USニュース紙:第10位(2025年)
国際公共政策大学院(SIPA)
USニュース紙:第1位(2025年)
QS世界大学ランキング:第14位(2025年)
教育 (Teachers College)
公衆衛生 (Mailman Public Health School)
社会福祉 (Social Work)
財政
2023年の財政報告によると、上述の136億ドル(約2兆1000億円)の大学基金の投資運用によって4.7%のリターンを得た。
年間予算のうち31%が教員人件費および研究、24%が学生への財政支援に投じられている。また大学が所有する著作権の数は、2023年には世界第37位となった。
学部
コロンビア大学のロゴ コロンビア大学は、学士教育を行う3つのカレッジ と大学院教育を行う13のスクールから構成され、全学で114の学科を置く。
大学院
ジャーナリズム大学院
提携機関・関連病院など
ティーチャーズ・カレッジ
ティーチャーズ・カレッジ (Teachers College 、1886年創立) - 全米最古かつ最大の教育学大学院。入試事務などは独立して行っているが、多くの授業や図書館の利用などが共有されコロンビア大学の教育学部の役割を果たしている。国外からコロンビア大学へ着任した外国人研究員などの英語研修もここで行われる。
バーナード・カレッジ (Barnard College 、1889年創立) - 4年制女子大学。セブン・シスターズ 加盟校。ティーチャーズ・カレッジと同じく独立した組織として学務を行う一方でコロンビア大学の正式な学部及び大学院としての機能を持っており、ほとんどの学生はコロンビア大学の授業を聴講する。
ユニオン神学校 (Union Theological Seminary、1836年創立)
ユダヤ教神学院 (Jewish Theological Seminary、1886年創立)
ジュリアード音楽院 (The Julliard School、1905年創立)
研究機関
研究所(Research institute)ないし研究センターの名称をもつ研究組織を198個置く。このほか、大学に属する主な研究施設に以下の研究所がある。
キャンパス
マンハッタンヴィルに新設されたコロンビア・ビジネス・スクール(CBS)新館 主要キャンパス は以下3つで、すべてマンハッタン島内ハドソン川沿いにある。2024年に、イスラエルのガザ侵攻 に抗議する学生集会(英語版 ) などで学内が混乱した経緯から、キャンパスへの立ち入りにはすべて事前登録が必要となり学外者の来校はきわめて困難になっていたが、2026年9月から規制の限定的な緩和措置が発表された。
メインキャンパスの正門はブロードウェイ 116丁目に位置する。そこから東西にキャンパスを横切るカレッジ・ウォークと呼ばれる並木道があり、この道を挟んで左右にロウ記念ホールとバトラー図書館(総合図書館)がある。
新古典主義様式のロウ記念ホール (Low Memorial Library) はキャンパスのほぼ中央に位置する巨大なドームで、卒業式や入学生の歓迎イベントもこの前の広場で行われる。このホールの正面に、大学のシンボルの一つアルマ・マーテル像がある。
メインキャンパスから通りをはさんで、ティーチャーズ・カレッジ(教育学部 )とバーナード・カレッジが隣接する。大学所有の建物は70を超え、教職員、大学院生及びその家族用に所有するアパートの数は7,800戸に上る。
地下鉄で116丁目駅から1駅の位置にあるマンハッタンヴィル (Manhattanville) は2022年に工事が完了した新しいキャンパスで、主にビジネススクールやアートスクールの教育・研究棟が置かれている。
近隣にはグラント将軍の墓や、ゴシック様式 のカテドラル としては世界最大規模である聖ヨハネ大聖堂、さらには、世界最大のカリヨン (組み鐘)で知られるリバーサイド教会 などがある。
歴史的建築物・モニュメント
1900〜1910年頃、図書館として使われていたときのロウ記念ホール内部
1895年完成。元学長セス・ロウ (Seth Low) を記念し、図書館として建てられた。現在はビジターセンターや要人訪問の際の式典会場としてのみ使われており図書館としての機能はないが、今でもキャンパスでは「ロウ・ライブラリー (Low Library)」と呼ばれている。総大理石造りのドームとして米国最大規模で、合衆国史跡に指定されている
1927年に竣工した建物で物理学科と天文学科が設置されている。1939年1月25日エンリコ・フェルミ が米国初のウラニウム 核分裂実験に成功し、その後のマンハッタン計画 関連施設として1965年にアメリカ合衆国国定歴史建造物 に、さらに翌年にアメリカ合衆国国家歴史登録財 に指定された。ここで行われた研究などでこれまで10人がノーベル物理学賞を受賞している。
1903年完成。台座を除く像の高さは2.5メートル。リンカーン記念館 のリンカーン 像やハーバード大学 のジョン・ハーバード像も手がけたダニエル・チェスター・フレンチ の制作で、ローマ神話 の知恵と工芸を司るミネルヴァ 神を模している。フレンチは多くの作品に「フクロウ」を隠したことでも知られており、この像でも衣の裏にフクロウのレリーフ が隠されている。入学式で最初にこのフクロウを見つけた者がその学年の卒業生総代(Valedictorian)になるとの言い伝えがある。
ロウ記念ホールの西側に位置するチャペル。1907年に完成、1966年にニューヨーク市歴史建造物 に指定されている。結婚式やミニコンサートにも使用されている。
1924年完成。700人収容のコンサート・ホールで、学生主催の各種イベント、学外音楽家のコンサートなどに使用される。米国内外で活躍する最先端の作曲家・演奏家を紹介する演奏会シリーズ「コンポーザー・ポートレイト 」が大きな注目を集める。
1910年完成。当初はロー・スクールの建物として使われていた。のち東アジア地域研究の拠点となり、現在は米国有数の東アジア専門図書館である「C・V・スター東アジア図書館 」が入っている。日本文学研究のドナルド・キーン やエドワード・サイデンステッカー もここで研究に従事し、図書館閲覧室には二人のパネルが飾られている。シェマーホーン・ホール
現代遺伝子科学の基礎となる研究でノーベル医学賞 (1933年)を受賞したトーマス・ハント・モーガン の研究室(「蝿の部屋 Fly Room」として有名)がある。彼の弟子および孫弟子のうち7人が後にノーベル医学賞を受賞している。また、ここは、フランツ・ボアズ により米国初の人類学科 が1899年に設けられた場所でもある。
化学学科の建物で、ここで行われた研究により、これまで7人の教授がノーベル化学賞 を受賞している。この中の309番教室は「大講義室 (Grand Lecture Hall)」と呼ばれる木造の階段教室(330席)で、多くの映画のシーンに登場している。
第二次大戦前にムッソリーニ 政権による対外発信拠点として設けられた建物。ファシズムとの関係が批判され長く閉鎖されていたが、建築物としての美しさから1991年にイタリア 政府が再購入契約を結び、大幅リフォームのうえ1996年に「イタリアン・アカデミー 」の拠点として再オープンした。これもニューヨーク市歴史的建造物に指定されている。イタリアン・アカデミーは常勤の研究者を置かず、毎年20名程度の人文系研究者を各国から受け入れ、自由な研究の場を提供する活動を行っている。
1897年完成。当初はスクール・オブ・ジェネラル・スタディーズやコロンビア大学出版会のオフィスとして使われていた。1977年以降はフランス政府の文化交流機関であるメゾン・フランセーズ の主オフィスで、大学キャンパス 内のフランス 文化施設としては米国最古である。哲学科前に置かれたロダンの「考える人」像
数学科の建物で、応用数学に関する世界的な専門図書館が入っている。アンドレイ・オクーロフ など5人がここでフィールズ賞 を受賞した(このうち日本人は広中平祐 と森重文 の二人)。建物が立っているのは1776年のハーレム・ハイツの戦いでジョージ・ワシントン 率いる連帯がイギリス軍に勝利した場所でもあり、その記念碑がブロード・ウェイに面した建物の側面に埋め込まれている。
1910年完成。当初は電子工学研究所があり、ここでエドウィン・アームストロング がFM放送の技術を開発したため合衆国史跡に指定されている。その後は哲学科・文学科の拠点となり、ジョン・デューイ やエドワード・サイード 、ガヤトリ・C・スピヴァク といった世界的な思想家・文学研究者がここで教壇に立っている。建物の前の中庭にオーギュスト・ロダン の銅像「考える人」が設置されている。
関連施設
ベーカー・アスレチックス・コンプレックス (Baker Athletics Complex ) :マンハッタン最北部にある複合スポーツ施設。ウィーン競技場(1万7000席)・サッカースタジアム(3,500席)のほかテニスコート、ボート・ハウスをもつ
リード・ホール (Reid Hall ):フランス・パリのモンパルナス地区に置かれた分校。人文科学を中心とする研究拠点・渡欧する学生の滞在拠点として使われている。
アーデン・ハウス (Arden House ):ニューヨーク州ハリマンにある国際会議場。主にビジネススクールの研修施設として使用されている。1966年に合衆国史跡に指定された。
図書館
バトラー図書館外観。 図書館群全体の規模は米国有数で、22の図書館に1,344万冊、640万枚のマイクロフィルム、2,600万冊の原稿、10万本以上のビデオ やDVD 、20万件近い公文書 などを有している。そのうち50万冊は館内閲覧のみの稀少本として所蔵されている。利用者数は年間300万人。
総合図書館であるバトラー図書館には200万冊超の蔵書をおさめ、館内に設置された書棚の幅は総延長280kmを超す。近年バトラー図書館は急速に電子化が進められ、キャンパス内外からアクセスできる「クリオ (Clio) 」という極めて強力な統合データベースを通じて約700万タイトルの電子書籍と、主要な学術誌の大半をダウンロードできるほか、電子化されていない書籍などはスタッフが電子化・送付するサービス(Scan&Deliver)を行っている。
2006年にノーベル文学賞を受賞したオルハン・パムク は、代表作の一つ『黒い本』をバトラー図書館の閲覧室で執筆している。
またエイヴリー建築芸術図書館 [英語版 ] は、蔵書数30万冊と同分野では米国最大の規模をもつ。ロー・スクール図書室は149言語の44万タイトルを所蔵、日本語の文献所蔵数では米国内の大学で最多である。C・V・スター東アジア図書館 は東アジア 関係専門の図書館としてはプリンストン大学 図書館などと並んで米国最大規模。
他に生物学図書館、化学図書館、地質学図書館(Lamont–Doherty Earth Observatory )、物理学天文学図書館、数学科学図書館、リーマン社会科学図書館(コロンビア大学国際公共政策大学院 )、ワトソン経済経営学図書館(コロンビア・ビジネス・スクール )などがある。
学生生活・卒業生像
バトラー図書館のメイン閲覧室。試験期間中は24時間開放され、深夜から早朝まで試験準備の学生らで埋めつくされる。 米国でも入学が最難関の大学のひとつで、カレッジでは、2022年は6万374人の志願者に対して合格者2,255人、合格率は3.74%だった。
2024年時点の学費は、医学部をのぞく全学部平均で年間約7万4000ドル(約1090万円)。これに加えてニューヨーク市の中心部に位置することから生活費は国内の多くの大学と比べてもきわめて高く、家賃・教材購入など諸経費を合わせた1年間の支出総額は約9万3000ドル(約1370万円)前後とされている。
こうした学費高騰を背景に、優秀・多様な学生を確保するため学費補助・奨学金などの支援制度が充実している。入学希望者は経済的条件を確認する書類の提出が不要とされるほか、入学者の56%が学費補助を受けており、その多くは学費のほぼ全額が奨学金などでカバーされている。入学者の出身地は全米50州に散らばっており、16%は外国籍、また17%は家族の中で初めて大学に入学する生徒だった。
フルタイムの教職員数は4700名で、教員一人当たりの学生数は約6人。授業への参加学生数は平均して約20人を維持している。1919年から「コア・カリキュラム 」と呼ばれる教養課程を全学生必修としていることが特徴で、文学史・美術史・世界史・自然科学の徹底した講義が行われるほか一部に楽器実習も取り入れられている。
マンハッタンの中心部に位置するため文化・スポーツ施設などへのアクセスが容易なことは、コロンビア大学の大きな特徴である。コロンビア大学の学生・教職員はメトロポリタン美術館 やニューヨーク近代美術館(MOMA) など市内主要ミュージアムへ無料で入館できるほか、国連本部や各種報道機関・様々な企業と提携したインターンシップも約1000件を超す。
ジュリアード音楽院 など学位交換の提携関係にある機関が国内に多数あるほか、カレッジの3年生を対象としたオックスフォード大学、ケンブリッジ大学への交換留学制度、語学研修を中心とした世界54カ国200機関との海外留学プログラムなどが設けられている。
地方・外国から入学した学部生の多くは大学側が周辺に提供する住宅(Columbia Housing ) で暮らす。大学側が運営する食堂(Columbia Dining ) があるほか、多くの図書館・ホールにカフェ(Blue Java Coffee など) が入る。学用品や教科書の購入には、キャンパス内でバーンズ&ノーブル の公式ブックストア (Columbia Official Bookstore ) や、提携する近隣書店 (Book Culture ) が利用されている。
卒業生像
卒業生のうち保有資産が3000万ドル(約46億円)を超える富裕層は、2022年の時点で約5500人で、国内の大学としては第4位。世界で最も富裕な400人をリストアップしたフォーブズ誌の「Forbes 400」ランキングには、コロンビアの卒業生が2022年の時点で7人含まれ、米国内の大学としては第7位タイだった。
出来事・批判・不祥事
トランプ政権との関わり
2025年1月に第二次トランプ政権 が発足すると、アメリカ国内の名門校に政府からさまざまな圧力が加わるようになった。前年にイスラエルに対する抗議活動の中心地となったコロンビア大学がまず対象となり、トランプ政権は「ユダヤ人学生への嫌がらせに大学側が対応していない」と主張して、合計約4億ドルにのぼる助成金や大学との契約などを取り消すと発表。さらに中東研究などの学部を監督する担当者を置くことなど9項目の要求を出した。
大学執行部は大筋でこれに応じ、中東関連の教育研究内容の見直しなどをすすめる幹部の設置や、キャンパス内でのデモ参加者を排除・拘束できる権限を警備員に与えることなどを発表した。この対応は、政権側の要求を拒否して直ちに提訴したハーバード大学 などと比べて、「政権に屈服した」と受け止められ、内外から批判が高まった。しかし大学側は姿勢を変えず、2025年3月以降、大学の寮へ移民当局が捜索に立ち入ったり、図書館内での抗議活動に警察が出動し約80人が逮捕される事態も起きている。
以前は近隣住民などが散歩などで自由に出入りしていたキャンパスは、抗議活動の活発化以後は身元確認が徹底され事前申請が必要になっていたが、大学側が政権の要求を受け入れて以降は、申請が認められないことも増えたという。
同年7月には、大学が政権側に約2億2000万ドル(約320億円)の罰金支払いを行うことで一連の紛争を解決すると発表した。政権側は歓迎する声明を出したが、一部の教員はこの措置に反発して講義予定を中止した。
2023年パレスチナ・イスラエル戦争抗議活動
コロンビア大学へのブロードウェイ側入り口(2024年10月)。大規模抗議ののちキャンパス内への一般の立ち入りは長期にわたって厳しく制限された 。しかし2026年9月には、来訪者の規制を緩和する限定的な措置が発表された 。
2024年4月、イスラエルによるガザ地区攻撃 に抗議して学生らが構内でテントを設置、学部長室があるハミルトンホールを占拠して大学側にイスラエル軍関連企業との解消などを求めた。大学側は要求をしりぞけ、テントの設置開始から14日後に武装したニューヨーク市警 らによる構内突入を許可した。この突入によってテント設置や学生らの籠城は解散させられたが、結果的に100数十名の逮捕者が出る事態となった。またこの間すべての授業がリモートで行われた。当時のネマト・シャフィク 学長は「コロンビア大学とは無関係の人物がキャンパスで、自分たちの目的を追求している」とデモ参加者を批判した。
これに対してデモ主催者側は、大半の参加者がコロンビア学生であり、平穏に行われていた抗議活動を学長が警察の武力で解散させたと強く非難した。また同大学の教職員ら数百人も、学内といっさい協議せず警察の突入を許した学長の対応をきびしく批判し、米国大学教授会として学長を含むコロンビア大学執行部に対して不信任投票を発議した。また理事会メンバーの数人が抗議活動を行う学生らを中傷するメールを理事会に送っていたことが報道され、激しい批判を浴びて辞任している。
こうした混乱の責任を取る形で、シャフィク学長は同年8月14日に退任を発表した。
ランキング不正疑惑
上述のとおりコロンビア大学は世界の主要な大学ランキングにおいてつねに上位を占めてきたが、2022年、コロンビア大学数学科のマイケル・テデウス教授が、学生と教職員数の割合などについて大学側が不正確なデータを提出し意図的にランキングを操作していると告発した。
大学の首脳陣は大筋でこれを認め、この年は米誌USニューズ&ワールド・レポート へ情報を提出しないと表明していたが、同誌はこれを受け入れず、コロンビア大学の学部課程ランキング順位を前年の総合2位から18位に転落させた。
このデータ不正について、発覚当時コロンビア大学の副学長だったメアリー・ボイス(Mary C. Boyce)は、「事前の報告に不備があったことを深く反省している」と述べた。一方、コロンビア大学のある教授は「そもそも大学を順位付けすることに無理がある」と問題提起している。ランキングを過度に重視するアメリカの大学の風潮については、近年疑問視する声が国内で上がるようになってきたが(英語版 ) 、この事件は名門大学によるデータ操作が疑われたケースとして社会的な注目を集めた。
一方で、これらの報道がひとつの契機となって、コロンビアのロー・スクールは2023年に大学ランキングの扱いを再検討し、USニューズ誌のランキングそのものへの参加を見送ると発表した。他の大学もこれに同調し、同年にはロースクール上位5校のうち4校が大学ランキングに参加しないと表明した(イェール、スタンフォード、ハーバード)。またメディカル・スクールでもデューク大学やジョンズ・ホプキンス大学などトップ13校が撤退を表明している。
2025年10月時点では、これらメディカル・スクールのランキング参加拒否は継続しているが、ロー・スクール各校は再びランキングに参加している。
セクハラ訴訟
2017年、歴史専攻の博士課程に所属する女性が、同専攻の70代教授から執拗なセクシャルハラスメント を受けたとして大学側と教授を相手取って訴訟を起こした。女性側の弁護士によると、女性は大学窓口へ繰りかえし被害を申し立てたが、大学側は対策を取らず放置していた。訴訟が地元紙などで大きく報道されたのち、大学は教授を解雇した。
強制わいせつ事件
附属病院の婦人科に勤務するロバート・ハッデン医師が、長期にわたって患者の女性にわいせつ行為を行っていたことが発覚して2020年に逮捕・起訴された。被害者として訴訟を起こした女性の中に、大統領候補として出馬したアンドリュー・ヤン の妻など著名人が含まれていたことなどから大きな注目を集める事件となった。さらに裁判の過程で被害を訴える女性の数は膨れ上がり、最終的にコロンビア大学側が150人の被害者女性に対して支払った損害賠償額は1億6500万ドルに上った。ハッデンは2023年に20年の懲役刑を言い渡されている。
課外活動
バトラー図書館の閉架書庫内。閉架だが一部に設けられた閲覧席は一般学生の学習用としても使われる。
スポーツ
ウィーン競技場(Lawrence A.Wien Stadium) 正規チーム数(31)・同好会チーム数(30)。正規チームはすべて「コロンビア・ライオンズ 」の名称を冠する。2006年度に年間のアイビー・リーグ 優勝数としては最多記録の5種目を達成した。(フェンシング男女、テニス男子、サッカー女子、ゴルフ女子)
ボート部:1878年に英国以外の大学として最初にヘンリー・ロイヤル・レガッタで優勝した。
レスリング部:米国初の大学レスリング部。
アメリカン・フットボール部:米国で3番目に大学間試合に参加、最初の対戦相手は、ラトガース大学 。1934年のローズ・ボウルではスタンフォード大学 に勝って優勝している。アメリカ・フットボール殿堂メンバーを何人も輩出したが近年は低迷している。伝統的にコーネル大学 とライバル関係にあり、同校との対戦は「エンパイア・ステート・ボウル 」と呼ばれて両校関係者の注目を集める。ホームグラウンドはマンハッタン最北部にあるウィーン競技場 。
フェンシング部:全米クラスのチームを有する。NCAA 優勝(26回、44種目)、Ivy League優勝(リーグ最多の男子32回、女子7回)
サッカー部:アイビー・リーグ戦で優勝(男子はリーグ3位の9回)
ルー・ゲーリッグ 著名なスポーツ選手
これまでに、45人(2012年現在)がオリンピックに出場(うち23人がフェンシング)、うち13人が26個のメダルを獲得(フェンシング5・水泳14・ボート2・陸上3・体操1・スケート1)。プロスポーツでは、NFL=アメリカン・フットボール33人、MLB=野球21人、NBA=バスケットボール6人を輩出。
ジェニー・トンプソン (水泳選手として4回連続オリンピック出場、女子最多の金メダル8個、銀メダル3個、銅メダル1個獲得)
クリスティナ・トイシャー (College卒、2000年):水泳(自由形)選手として、2回連続オリンピック出場。金メダル(1996年)と銅メダル(2000年)を獲得。全米で最も優れた大学女子スポーツ選手に与えられるHonda-Broderick Cupをアイビーリーグ で初めて受賞(2000年)
カリン・デイビーズ (女子ボート選手として、2012年ロンドン(金)、2008年北京(金)、2004年アテネ(銀)を獲得)
マーカス・ハーリー (1904年セントルイスオリンピック で、自転車競技5種目で金4個、銅1個を獲得、バスケチームのキャプテンとしても全米大学選手権で優勝を果した)
トレント・ダイマス (GS卒):男子体操選手として、1992年に鞍馬で金メダル獲得。
ステフェン・マクノウスキー(男子カヌー選手として、1948年のロンドン大会で、金と銀メダル獲得)
ベンジャミン・スポック (医学部を首席で卒業、1929年):ボート選手として、1924年のパリ大会で金メダル獲得。
ジャック・メディカ (1936年ベルリンオリンピック で競泳選手として金1個、銀2個を獲得)
マキシー・ロング (1900年のパリ大会で、陸上男子400メートル競走で金メダル獲得)
アレン・スタック (男子水泳で金メダル獲得)
ハリー・バブコック (ストックホルム大会、棒高跳びで金メダル獲得)
ジェイ・グールド2世 (ロンドン大会、テニスで金メダル獲得)
ティモシー・ゲーブル (2002年ソルトレイクシティオリンピック 男子シングル銅メダリスト。1998年、史上初めて4回転サルコウ に成功した。)
アメリカ野球殿堂
伝統行事
ファーストイヤー・マーチ (First Year March)
新入生のオリエンテーション期間中の行事の一つで、学生会館 (Lerner Hall) の裏口から一旦キャンパスの外に出てブロードウェイ 116丁目の正門から再びキャンパスに入ることにより、「正式」にコロンビア生となる儀式。
毎年10月、運動部のイニシエーション儀式に一般学生が参加して「獅子よ吠えろ (Roar Lion Roar )」という運動部の応援歌を歌いながら裸でキャンパスを一周する行事。
冬季に点灯されたキャンパス中心部の並木
プライマル・スクリーム (Primal Scream)
各学期の期末試験中の日曜日の夜中12時にストレス発散で学生が寮の窓からキャンパスに向かって大声で叫び声を上げる伝統行事。同様の伝統は、ハーバード大学 、コーネル大学 、スタンフォード大学 などにもある。
独立戦争前から始まったとされる伝統儀式で、クリスマスシーズンに軍服を着た学生の一群がキャンパス中央の日時計からジョン・ジェイ・ホール のラウンジ内の暖炉まで薪を運び、クリスマスキャロルの歌声の中で、薪に火をつける。その際、カレッジ卒業生であるクレメント・クラーク・ムーア の詩が朗読される。
有機化学(Organic Chemistry)の試験の前日の夜、総合図書館 (Butler Library) で真面目に試験勉強をしている学生の邪魔をする目的で、30分間、大学マーチング・バンドが騒音を立てたり、大声で大学関連のジョークを披露する。その後バンドは学部生寮に向かい、最後にバーナード・カレッジの寮の下で、紙くずや水の入った風船の雨を浴びる。
ジョイス・キルマー記念「最悪の詩人」コンテスト (Joyce Kilmer Memorial Annual Bad Poetry Contest)
1908年卒の詩人ジョイス・キルマーに因んで、詩歌文芸クラブ(The Philolexian Society)が主催する詩の朗読コンテスト。最もウィットに溢れかつ最悪の詩の作者に対して桂冠詩人の称号が与えられる。
カレッジ・ウォーク点灯式 (Tree-Lighting Ceremony)
1998年から始まった新しい行事で、12月初旬、期末試験が始まる直前の週に、キャンパス中央の並木道(カレッジ・ウォーク)に飾られたデコレーションライトを点灯する儀式。キャンパス中央の日時計に学生が集まり、複数のアカペラ ・コーラス・グループのパフォーマンスと学長や来賓のスピーチを聞く。ココアが無料で振る舞われる。ライトは2月28日まで点灯される。
学部主催の卒業生の同窓会で卒業後5年ごとに開かれる。その際アメフトの試合を観るのが慣例となっており、通常、対戦相手はプリンストン・タイガース である。コロンビア大学マーチング・バンドは、ライオンズがタッチダウンする度に運動部の応援歌「獅子よ吠えろ (Roar, Lion, Roar )」を演奏する。ハーフタイムでは卒業生が全員起立して校歌「憂いはなし (Sans Souci )」を斉唱する
エピソード
卒業生・教員
1923年、電気素量の計測と光電効果の研究によりノーベル物理学賞を受賞したロバート・ミリカン (1895年コロンビア大学で博士号取得)は、カリフォルニア工科大学の創設に貢献し、同校初代学長を務めた。
日本関連
そのほか
トリヴィア (Trivia)という言葉は、1960年代、カレッジの学生(Ed GoodgoldとDan Carlinsky)が大学対抗クイズ・コンテスト(College Bowls)を創設した際に使用した言葉が一般化したものである。
モーニングサイド・キャンパスの地下に各建物をむすぶトンネル網が張巡らされており、1960年代、学園紛争がさかんだった時代には警備の目をのがれて物資を運び込む通路としてさかんに使われていた。現在では封鎖されている。
ジョージ・ワシントン (アメリカ合衆国初代大統領)は、1789年5月16日、コロンビア大学卒業式に来賓としてジョン・アダムス 副大統領、上下両院議会代表者とともに参列、アメリカ大統領として初めて名誉博士号を受けた。
創立200周年を記念して1954年に発行された切手 コロンビア大学の前身キングス・カレッジは、植民地時代、全米で英国国王の勅許によって設立された二つの大学の一つである。もう一校は、バージニア州 のウィリアム・アンド・メアリー大学 (1693年創立)である。
1973年ノーベル平和賞 を受賞したヘンリー・キッシンジャー は、1977年、フォード 政権の退陣と共に国務長官を退任した。その際、コロンビア大学への教授就任が発表されたが、大学内外から激しい反対運動を受け、就任計画は挫折した。
『異邦人 』(1942年)や『ペスト 』(1947年)などの代表作で1957年ノーベル文学賞を受賞したアルベール・カミュ は、1946年に訪米してコロンビア大学で講演を行い、第二次大戦後の人心の退廃と物質崇拝に警鐘を鳴らすメッセージとして世界的な注目を集めた。
「野球の神様」とも称された伝説的メジャーリーガーベーブ・ルース は、1921年打撃に関する研究のためコロンビア大学に招かれた。その結果、最も強打できるコースは外角膝上の高さで、完璧な打撃をしたときのスイングスピードは秒速34メートル、飛距離は140~150メートルであることがわかった。その他、根気を調べる臨床試験では、被験者500人中最高位を示し、光に対する目の反応速度も平均より20ミリ秒速いなど何れも超人的な計測結果を記録した。
米国初のスポーツ試合のテレビ中継は、1939年5月17日にNBC テレビによりコロンビア大学キャンパスで行われた対プリンストン戦の野球試合であった。ブロードウェイ116丁目に位置する地下鉄1番線の最寄り駅
毎年5月、コロンビア大学の卒業式を記念して、当日の夜、エンパイア・ステート・ビルディング がスクールカラーのコロンビアブルーと白にライトアップされる。
アラスカ州 のコロンビア氷河とコロラド州のマウントコロンビアは、コロンビア大学の名称から命名された。
大衆文化とコロンビア大学
コロンビア大学はニューヨーク中心部に位置するという利便性と、敷地内にアイビーリーグらしい重厚な建物が点在するという特徴から、しばしばキャンパス内で映画やTV番組の撮影が行われている。世界的な知名度の高さから、登場人物がコロンビア大学の学生、教員という設定の作品も多い。
キャンパスで撮影が行われた映画・TV番組
実在するコロンビア関係者を描いた作品
登場人物がコロンビア大学に関係する作品
そのほか、キャンパスで撮影された映画の例:
映画「私がクマにキレた理由 」のロケ中のスカーレット・ヨハンソン
脚注
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関連項目
各種ランキングでコロンビア大学の各大学院と同様に評価が高いとされる大学院。
外部リンク
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