E-MU Proteus(イーミュー プロテウス)は、アメリカのE-MU Systemsが、1989年から製造・販売していたシンセサイザー(音源モジュール)である。
本項ではシリーズ各機と、「Proteus」の名称は持たないが同系列である各機種の概要を記載する。
Proteusシリーズは、1989年当時には最高レベルのスペックであったE-MU Emulator IIIサンプラーの「サンプリング周波数44.1kHz、量子化ビット数16ビット」というスペックをROMベースで実現したPCM音源モジュールである。プリセット音源としての性質をもちつつ、様々なモジュレーションソースをユーザーが任意のパラメータに接続できるデジタルモジュラーシステムによるシンセサイズと、最初からマルチティンバーでの使用を前提としていることを特徴とする。
初期のモデルにはフィルターが搭載されていなかったが、後年のモデルではE-MUの特許技術であるZ-Planeフィルターが搭載されて音づくりの幅を広げた。
なおE-MU Systemsは、2010年の「SHORT BOARD49/LONG BOARD61の発売を最後に、2016年10月現在は楽器を製造しておらず、ヘッドフォンやスピーカーのブランドとなっている。
Proteusシリーズは、1989年のProteus1から1998年のProteus2000、さらには2000年代のソフトウェア「Proteus X」に至るまで、ほぼ一貫したシステムをもつ。その概要を下記に記載する。
Proteusシリーズでは、シンセサイザーの要であるモジュレーションがモジュラーシンセサイザーのようにソースとデスティネーションを自由に選択して設定するようになっており、エディットモード内にそのための専用画面が用意されている。
例として、LFOで音量を変調するトレモロ効果を得る場合は次のように設定する。
1.LFO → AMPVol (LFO1から、アンプボリューム)
さらに、上のトレモロの深さをモジュレーションホイールで変更したい場合は、次のように設定する。
(1) 1. LFO → AMPVol (LFO1から、アンプボリューム)
(2) 2. MWhl → Crd1Amt (モジュレーションホイールから、コード1のアマウント)
1つの音色に設定できるモジュレーションの数や、どのくらい変調するかの設定方法は機種により異なる。
Proteusシリーズは廉価版の製品ラインを除くほとんどの機種でステレオアウトプットを3系統(メイン1、サブ2)備えており、パート毎に出力先を変更することができる。Proteus2000シリーズでは、1音色の中でレイヤー毎に出力先を指定することも可能。
サブアウトプット端子にはオーディオの入力も可能になっており、Yケーブルを使用することで外部エフェクターでプロセスした信号をProteusに戻し、メインアウトプットからまとめて出力することができる。エフェクターを搭載しない機種も多いProteusシリーズだが、アサイナブルアウトプットを活用して外部エフェクターを使用することなどが当初から想定されている。
Proteusシリーズは1Uのスペースと2行の液晶画面を基本としており、この制約の中で操作するために次のような操作系でほぼ統一されている。

以上の3モデルはハードウェアを含め多くの仕様が共通であり、純粋に搭載する音色によってジャンルが分けられたものと言ってよい。このコンセプトは後年のProteus2000シリーズにも継承された。以下に、主なスペックを示す。
初期モデルには以下のような派生モデルが存在する。名称に「XR」がつくものはRAM領域が従来の64音色から拡張され、音色番号0-255の256音色が上書き可能となっている。

「Proteus」の名称がつかないが同系列の機種を便宜上ここで取り扱う。