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| 開発元 | 日立製作所(2001年)、日立ソリューションズ |
|---|---|
| 初版 | 2001年4月2日 |
| 種別 | トラック運行管理ASPサービス(車両動態管理・テレマティクス) |
| 公式サイト |
www |
e-trasus(イートラサス)は、日立グループが提供するトラック向けの運行管理ASPサービスである。日立製作所が2001年4月に運送業向けのサービスとして開始し、その後は旧・株式会社日立システムアンドサービス(日立システム)の商品として案内され、2010年の合併後は日立ソリューションズが提供している。車両に搭載した端末がGPSで取得した位置などの情報を通信網経由でセンターに集め、事務所のパソコンから地図上で車両の位置を確認したり、運転日報を自動作成したりする仕組みで、名称は「E-Transport Support System」に由来する。2011年からはスマートフォンやタブレット端末を車載端末とするクラウド型の「スマートe-trasus」も提供された。
e-trasusは、トラックなどの業務用車両の位置や走行状況をセンターに集約し、運送会社の事務所に置いたパソコンからインターネット経由で利用するASP型の運行管理サービスである。サーバー・回線・ソフトウェアを利用者間で共同利用する形態のため、利用企業は自社で運行管理システムを構築・保守する必要がなく、初期投資を抑えられることが特徴として説明されている。日立評論の解説記事(2002年)は、運送事業者の大部分が中小企業で新しいシステムの導入が進んでいなかったことを背景に、日立製作所が「安価で簡単に利用できるサービス」として開始したものだとしている。
サービスの提供主体は変遷している。開始時の運営は日立製作所の流通システム事業部で、専用サイトの問い合わせ先は2005年4月時点でも同社であったが、2007年1月時点では日立システムアンドサービスに変わり、同年には同社の商品として案内されていた。2002年の日立評論の執筆者紹介には、日立システムアンドサービスの担当者がe-trasusの企画・開発・拡販に従事していると記されている。2010年10月1日に日立システムアンドサービスが合併して日立ソリューションズが発足した後は、同社が運行管理のシステム全体を管理するサービスとして提供しており、2026年9月時点では日立製作所のクラウドサービス紹介サイト「日立のクラウド」にも掲載されている。
日立製作所は2001年2月15日、新規に開発した車載端末を利用する運送業向けトラック運行管理ASP「e-trasus」を発表し、第一フェーズとして車両の位置情報を提供する車両動態管理サービスを同年4月2日から開始した。発表時のサービスは、車載端末がGPSで取得した位置情報をパケット交換網経由でASPセンターへ定期的に送信する「車輌位置情報送信サービス」と、事務所のパソコンに地図とともに車両位置を表示する「パソコン車輌位置表示サービス」の2つで、システムは日立グループのインターネットデータセンター「湘南センタ」で運用するとされた。同社は受注目標を3年間で5万車両とし、車載端末と月額サービスを2か月間無料とする試用キャンペーンも実施した。
2002年4月にはメッセージ送信サービスが加わり、車両動態管理・車両運行管理・メッセージ送信の3つのサービスメニューで構成されるようになった。専用サイトでは、GPS携帯電話を利用した動態管理サービスの追加も告知されていた。日立評論は2002年、当初は自社トラックの位置情報を確認するサービスにとどまっていたものに、日報の自動出力や運転状況の確認、交通情報の提供などの機能が加えられたと述べ、車両から集めた走行データをVICS情報と組み合わせて交通情報を提供する構想や、損害保険会社向けの安全運転診断サービスの構想を紹介している。e-trasusを対象に、トラックの位置データから求めた旅行時間情報を用いて目的地への所要時間を予測する業務向け交通情報サービスの開発が、2003年の交通工学研究発表会で日立製作所の担当者から報告されている。2005年の日立評論では、同社のテレマティクスシステムの一例として「商用車向けテレマティクスシステム」と位置付けられ、車両動態管理・車両運行管理・運行実績管理・メッセージ送信の各サービスを備えるとされている。
2007年には日立システムアンドサービスがe-trasusを「トラック運行管理ASPサービス」として自社の商品ページで案内し、運行管理のシステムは全て同社が管理するASPサービスであると案内していた。2010年7月には、横浜ゴムのトラック・バス用タイヤ空気圧モニタリングシステム「HiTES」と京セラコミュニケーションシステムのGPS端末「イチしるべ」をe-trasusと連携させ、車両の動態管理・運行管理に加えてタイヤの空気圧とタイヤ内の空気温度を一元的に管理するASPサービスが3社共同で開始された。同年10月1日、日立システムアンドサービスが合併して日立ソリューションズが発足し、e-trasusは同社の商品として引き続き案内された。
2011年9月27日、日立ソリューションズと日立オートモティブシステムズは、日立オートモティブシステムズのスマートデバイス向けナビゲーションアプリケーション「NS-100A」を利用する商用車向け動態管理サービス「スマートe-trasus」を発表した。同年10月3日に販売を開始し、12月1日からクラウドで提供された。日経クロステックは、車載機にAndroid端末を採用し、業務システムとの連携を想定している点を特徴として報じた。日立ソリューションズは発表時、国内の商用車向け動態管理の市場を約20万台と説明し、スマートe-trasus全体で2015年度までに売上80億円、サービス提供車両数6万台を目指すとともに、中国・アジア・北米へも順次展開する予定を示した。同サービスは同年10月のCEATEC JAPAN 2011の日立ブースに出展された。
2011年12月には、セールスフォース・ドットコムの「Salesforce Sales Cloud」で管理する顧客情報を車載端末の地図上に表示する「スマートe-trasus CRM/SFAデータ連携サービス」が発表され、2012年2月1日から提供された。日立評論は2012年、スマートe-trasusがCRMなどの営業支援業務向けのサービスをラインアップに加え、対象を配送業だけでなく営業車や保守サービスカーを利用する業務にも広げるとしている。2012年10月には、日立ソリューションズがフィールドサービス業務向けソフトウェアの日本語版を発売するにあたり、地理情報システム「GeoMation」やスマートe-trasusとの連携を図る方針が報じられた。2013年10月には、日立キャピタルオートリースがスマートe-trasusを基に開発したテレマティクスサービス「B-FitMobile」を、日立ソリューションズと共同で同年11月1日から提供すると発表した。
e-trasusは、車両に搭載する通信機能付きの小型車載端末、無線パケット通信網、日立が運用するASPセンター(e-trasusセンター)、および運送会社の事務所に置くパソコンで構成される。開始時の車載端末は日立製作所が製品化した「ACCESS-CUBE(アクセスキューブ)」で、GPSで測位した位置を通常15分周期でセンターへ送信し、液晶モニタ、作業や走行状況を入力する操作パネル、貨物追跡システムと連携するためのハンディターミナル、車速センサや温度センサなどを用途に応じて接続できるとされた。事務所側では地図ソフトをパソコンに導入し、インターネット経由でセンターに接続して車両位置を表示する。車両とセンター間の通信費は月額のサービス料金に含まれていた。
サービスメニューは次のとおりである。
2001年の発表時の価格は、車載端末セット(通信機器を含む)が1車両あたり80,000円から、車輌位置情報送信サービスが1車両あたり月額5,000円から(通信費込み)、パソコン車輌位置表示サービスが1台あたり月額50,000円からであった。2002年時点の専用サイトでは、このほかに車輌運行管理情報送信サービスが1車両あたり月額1,500円、パソコン日報出力サービスとパソコン運行実績管理サービスが各1台あたり月額10,000円、車輌メッセージ送信サービスが1車両あたり月額1,000円(いずれも税別)と案内されていた。日立評論の解説記事は、導入企業の評価として、荷主からの急な注文に対応しやすくなって配車効率が向上したこと、運転者の日報作成時間を50%程度短縮できたこと、日報を活用した安全運転指導によって燃費が向上したことを挙げている。
2011年に発表されたスマートe-trasusは、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスを車載端末として用い、日立オートモティブシステムズのナビゲーションアプリケーション「NS-100A」と組み合わせてクラウドで提供する動態管理サービスである。利用企業が登録した独自の地点情報(通行できない経路など)に基づいてセンターから走行ルートを指示する機能、端末内に地図データを保持してオフラインでもナビゲーションを使える機能、CRMやSFAなどのクラウドサービスとの連携が特徴として説明され、サービスメニューには車両管理(動態管理・ルート配信・メッセージング)、地図情報更新、交通情報提供が用意された。日立評論は、月額制のSaaS型クラウドサービスであること、差分更新による最新地図とプローブ情報を使った交通情報提供、スマートデバイスのナビゲーションを端末とすることで業務アプリケーションをクラウドから随時ダウンロードして利用できることの3点を特長として挙げている。発表時の価格は、ナビサービス(月額1,785円)を含む月額使用料が1台あたり2,625円から(税込)で、通信費や管理者用ライセンス料などは含まれなかった。