京 (スーパーコンピュータ)

「京」の外観
「京」の1筐体の内部
「京」で使用されていたマイクロプロセッサ(大阪市立科学館にて撮影)

京(けい、英: K computer)は、兵庫県神戸市の理化学研究所計算科学研究機構に設置、運用されていたスーパーコンピュータの名称(愛称)である。従来は「次世代スーパーコンピュータ」、「汎用京速計算機」、「京速」などと呼ばれていた。文部科学省の次世代スーパーコンピュータ計画の一環として、理化学研究所と富士通が共同開発した。「京」は、浮動小数点数演算を1秒あたり1京回おこなう処理能力(10ペタフロップス)に由来する。(富士通の)開発責任者は井上愛一郎。

総開発費1,120億円を投じ、2012年6月に完成、同年9月に共用稼働を開始。

TOP500で、2011年6月および2011年11月に1位になるが、完成直前の翌2012年6月には2位に、同年11月には3位に後退。この年1位の米タイタンは開発費が9,700万US$(約76.5億円)で17.59ペタフロップス。2013年6月に4位、2015年7月に4位となった。また2011年、2012年、2013年、2014年にHPCチャレンジ賞クラス1、2013年に日本初となるHPCチャレンジ賞クラス2を受賞。2011年、2012年にゴードン・ベル賞を受賞。2014年、2015年7月、11月、2016年7月、11月、2017年6月、11月、2018年6月、11月、2019年6月にGraph500で9期連続1位(通算10期)を獲得した。

概要

「京」が設置された理化学研究所計算科学研究機構(神戸市)

次世代スーパーコンピュータプロジェクトは、2005年に文部科学省と理化学研究所で開始され、2006年に国家プロジェクトとなった。プロジェクトの目的は、過去に世界最高性能を記録した数値風洞、CP-PACS、地球シミュレータに続くナショナル・リーダーシップ・スーパーコンピュータ(NLS)の構築、およびプロジェクトを通じた計算科学・計算機科学分野の人材育成である。今後5-10年の計算需要に基づき、性能目標のひとつとしてLINPACKベンチマークでの10ペタフロップス達成を掲げた。

「京」は特定分野に特化した専用機ではなく、幅広い用途に応用できる汎用計算機として設計された。当初はベクトル機とスカラ機からなる「複合型」を計画・開発していたが、2009年5月にベクトル機を担当していたNECおよび日立が撤退したことにより、スカラ型のみの構成に設計変更された。この結果、CPUに富士通が設計・開発したSPARCベースのSPARC64 VIIIfxを採用し、Tofuと呼ばれる6次元メッシュ/トーラスのインターコネクトなど、富士通の技術を全面的に使用した計算機となった。その後、富士通は「京」のCPUをSPARC64 IXfxに変更して性能を向上させた市販モデルのPRIMEHPC FX10(w:PRIMEHPC FX10)を開発し、国内・海外に販売している。

なお、2009年11月の事業仕分けで事実上の凍結と判定されたことを機会として、各種の議論が行われたが、後に予算復活され、2012年6月に完成した。

開発中の2011年6月および2011年11月にTOP500で1位となり、2011年11月にHPCチャレンジ賞とゴードン・ベル賞を受賞した。また性能以外に安定性では、2011年11月のTOP500測定時に29時間28分の無故障動作を実測した。

ロゴは書道家の武田双雲によるもの。

終焉と後継機

2019年8月16日に計算資源の共用を終了し、そして8月30日にシャットダウンされ、2012年9月の運用開始から7年の歴史に幕を降ろした。

スーパーコンピューターとして7年の稼働は他種のスパコンと比べてかなりの長寿に当たる。

その後、性能が100倍程度に向上した後継機富岳(ふがく)に置き換えられ、2021年3月に運用が開始された。

歴史

費用

2009年度の予定では、構築費は約1120億円(1020億円の国費と100億円の民間資金持出額)、また運用費は年額80億円(電力代22-29億円、計算機等保守費23-32億円、運営費12.6億円、その他保守費14-17億円)であった。

2012年9月の本格稼働後の報道では、京の開発費は総額1120億円で、うち665億円が富士通による演算装置の開発に投入され、富士通は演算装置の核となる半導体チップ開発用に三重工場に製造設備を新設した。しかし京稼働後の富士通のスーパーコンピュータ新製品ではチップ生産は台湾メーカーに委託し、三重工場は売却予定で、今後は製造ではなく設計に専念する。また開発過程の損失では、理研は撤退したNECに支払った70億円の返還を求めたが、民事調停による返還は2億円であった。運用終了後の再利用についても検討されたが、一式運用となると年間100億円、分割しての最小構成における運用であっても移送費や年間1億円の費用が掛かる事から断念した。

時期・用途・構成などは異なるが、他の主なスーパーコンピュータとの単純比較は下表の通り。

費用性能比較表
システム名 構築費
(億円)
運用費
(億円/年)
性能
(LINPACK
TFLOPS)
備考
京11208010,0002011/6 - 2011/12 TOP500 1位
セコイア200以下-16,3202012/6 TOP500 1位
Tianhe-I71162,5662010/11 - 2011/6 TOP500 1位
TSUBAME2.0(2010年時点)342 1,192 2010/11 - 2011/6 TOP500 4位
Roadrunner118-1,3752008/6 - 2009/11 TOP500 1位
Blue Gene/L90-5962004/11 - 2008/6 TOP500 1位
地球シミュレータ(当初)6005035.862002/6 - 2004/6 TOP500 1位

なお学生数、大学数、国家規模や研究規模が異なるため単純比較はできないが、米国のスーパーコンピュータ関連の国家予算は2008年度時点で年間約1500億円である。また日本の主要大学・公的研究機関の同予算は、事前評価が行われた2005年度時点で約260億円である。

議論

初期の議論

2007年にエコノミストの池田信夫は、プロジェクトの目的が「世界一を取り返す」になっていること、「時代遅れ」のベクトル型を採用していること(最終的にはスカラ型になった)、巨額のプロジェクトがITゼネコン3社と随意契約されたことなどを背景に、「時代錯誤の大艦巨砲プロジェクトで効率が悪い」「スパコンの名を借りた公共事業」「『新たにCPUから作る』という計画が、ムーアの法則を無視した愚かな発想」と批判した。

事業仕分けでの議論

2009年11月13日には「事業仕分け」で、当プロジェクトは「予算計上見送りに近い縮減」(事実上の凍結)と判定されたが、この際の両者の主な主張は以下であった。

  • 文部科学省側の配布資料
    • 高速・高精度シミュレーションによる科学技術の飛躍的進展(例:省エネ半導体の開発、ウイルス挙動解析で創薬)
    • 国家に必要な最先端IT技術の獲得(例:超微細半導体プロセスなど)
    • 気候変動問題解決への貢献(地球温暖化問題対策の立案に不可欠)
    • 産業競争力強化(経済効果 3.4兆円、効果事例 8400億円、基本特許獲得 4300億円)
  • 評価者(仕分け人)側の評価コメント
    • 10ペタスパコン開発が自己目的化している。大事なのはスパコンを生かして、どのような政策効果を出していくか。
    • ハード(ウェア)の戦いではなく、ソフト(ウェア)の戦いをするべき。
    • 科学技術の必要性、重要性は理解できるが、世界一のみを目指す時代ではない。
    • ベクトル、スカラの選択も、総括が不十分。NEC(ベクトル型)の撤退理由も調査して見直しすべき。
    • スパコンの国家戦略を再構築すべき。現状はスパコンの巨艦巨砲主義に陥っていないか。日米共同なども模索すべき。

なお理化学研究所の平尾公彦副本部長(前東京大学副学長)は、「国民に夢を与える、あるいは世界一を取ることによって夢を与えることが、実は非常に大きなこのプロジェクトの一つの目的でもあります」と述べた。

事業仕分け後の議論

事業仕分けを契機に、以下を含めた多数の発言や議論が行われた(直後の発言は歴史を参照)。

  • GRAPEなどの多体問題専用計算機で有名な国立天文台教授の牧野淳一郎は、「メモリバンド幅やネットワーク性能とか色々考えても、高々10Pflopsに1100億は2012年の数字としては高価にすぎる」、「性能当りで(コストが)高い、ということが日本の計算科学の将来に明らかな悪影響をもつ」と批判した。
  • 汎用パーツを用いることにより、わずか3800万円でこれまで国内最速であった「地球シミュレータ2」を超える多体問題専用スパコンのDEGIMAを開発した長崎大工学部テニュアトラック助教の濱田剛は、地球シミュレータや京速などの巨費を投じたスパコンの開発方針について「素直にいいとは言えない。方向性が逆」と述べており、スパコン開発はコストパフォーマンスを重視して行われるべきとの見解を示した。
  • 2009年12月18日、「仕分け人」でもあった東京大学教授の金田康正は、「国策スパコン自体には期待しているのだが、現状のスパコン事業のやり方には到底賛成しかねる」と発言した。

詳細

2002年度には、既に関連要素技術の先行研究開発が開始されており、それらは次の通り。

ソフトウエア系

ソフトウエア系要素技術研究開発計画
PHASE大テーマ時期テーマ目的の詳細課題備考
PHASE_1グリッドミドルウェア2003〜2010年度遠隔利用と外部接続支援各地に散在するHPC間の連携基盤の提供。個別に構築されたシステム間の連携(効率とバランスの考慮)一部は、既にSuperSINETやTSUBAME、Super Cluster、Bio Grid等で実現済み。今後、国際連携に向けた国際標準化等の様々な課題解決に向けた実験や検証計画の方向性とコンセンサスの生成が必要。
PHASE_2異機種統合ソフトウエア2006〜2010年度異なるアーキテクチャーのシステムを統合するフレームワークの開発各地に散在する実験装置、データベース、スーパーコンピュータをどこからでも活用可能なユビキタス研究開発環境の構築。アーキテクチャーの違うコンピュータ群を接続するための、共通ライブラリ等の構築米国にて構築中のNLS等との間でも情報交換を進めている。将来的には、三極全体で相互利用可能な環境を目指している。
PHASE_3グランドチャレンジアプリケーション(NAREGI)2003〜2010年度次世代ナノ統合シミュレーションの研究開発次世代ナノ統合シミュレーションとは、ナノ新材料・新機能(新半導体材料等)を創出するなど、最先端の知的ものづくりを支援するために、ナノ材料系全体シミュレーション基盤ソフトウエアの研究開発を行う。ナノ材料の物理的特性を生かしたシミュレーションソフトウエアの開発。材料工学、量子力学等の分野の学際連携新半導体材料のみならず、生体機能分子や様々な産業用機能分子等のシミュレーション技術が望まれている。なぜならば、これらの素材が新しい産業に与える影響が大きいためである。
2006〜2012年度次世代生命体統合シミュレーションの研究開発次世代生命体統合シミュレーションとは、テーラメイド医療・創薬等を実現するために、遺伝子レベルからたんぱく質レベル、さらには細胞レベル、そして臓器機能レベルに至るまで人体スケールの個々の要素から全体に至るまで人間系を最適に解析可能な総合シミュレーション基盤の研究開発を行う。ゲノム工学からたんぱく質工学へ、さらにその先にある機能工学を目指した研究ゲノム創薬や高度な外科手術(遠隔手術)、遠隔診断等を支援するソフトウエア開発。さらには、人体の構成要素全体をシミュレーションする統合シミュレーション環境の構築。
PHASE_4マルチスケール・マルチフィジックス系全体のシミュレーション2005〜2007年度革新的シミュレーションソフトウエアの研究開発連続体や離散系にかかわらずスケールの異なる物理現象を対象とした、統一したシミュレーション環境とフレームワークを開発することが目標。各スケール毎に最適化された、境界解析手法、熱力学解析等を組み込んだライブラリ群と、それを活用するためのツール群ナノテクノロジー分野、エンジニアリング分野、ライフサイエンス分野、防災分野等である。この成果は、事業化も視野にいれて最終段階に向けて基礎研究が終わろうとしている。
2006〜2011年度次世代高精度・高分解能シミュレーションの開発複数の現象が相互に影響しあうようなマルチスケール・マルチフィジックス現象の解析を実現する効率的な計算手順を確立し、複雑な工業製品の設計・開発などの先端シミュレーション技術の開発が目的。アット・スケール、フェムト・スケール、ナノスケールからメートル・スケール、天文単位、パーセク・スケール、メガ・パーセクスケールまで、観測・観察データとの整合性を取るモデル計算手法の開発理学・工学・医科学等の理科学全体の学際研究分野。
  • ^ナノ分野における最大の課題は、目的もしくは目標とする機能を得るために、どのような構造が一番望ましいのかを見つけるための試行錯誤を減らすためのシミュレーションである。なぜならば、これまでこの分野においては、機能と構造の間の相関関係から見出すのではなく、ヒューリスティック(試行錯誤的)な方法によって新しい分子構造が見出されてきたためである。
  • ^天文学や物理学分野からの課題としては、現在進められているALMAプロジェクトや重力波検出、さらには、次世代核融合実証炉等における炉設計、高エネルギー物理学分野においては、次世代加速器の内部反応予測シミュレーション、地球科学分野における様々な可視化シミュレーション(具体的には断層モデルの可視化等)、気象学的には中長期予報のためのシミュレーション分野の拡充等が要望として上がってきている。宇宙航空分野においては、人工衛星の機能設計や国際宇宙ステーションにおけるシミュレーション、将来の月への基地建設、有人火星探査におけるリスクシミュレーション等の分野からの要望も生じている。
  • ^マルチスケール・マルチフィジックス現象とは、例えばトンネル効果のようにある閾値を超えた箇所において、それまで絶縁体であったものが、突然導体に変わる等の現象を指す。自然現象では良く見られ、雪崩、超伝導、相転移、カオス現象などが例として挙げられる。

ハードウェア系

ハードウェア系要素技術研究開発計画
PHASE大テーマ時期テーマ目的の詳細課題備考
PHASE_1次世代HPC用ハードウェア研究開発2005〜2007年度システムインターコネクト技術の研究開発大型システム内の内部結合をより高速により効率的に行う仕組みであるインターコネクト技術において、次世代HPCにて使用可能なレベルまでのより高速化と省電力化を目標とする。スカラ分散、ベクトル分散型にかかわらず、相互に接続されたシステム全体のデータ通信の最適化及び半導体設計・製造技術の確立同期設計の場合、半導体のダイ(パッケージを含めるとチップ)や半導体を乗せる基板の設計は、光の速度に依存するクロック数を上げると、その大きさをより極小化しなければならないという問題があり、これを克服するために、電子の高速移動が可能な半導体の開発と光技術の活用等が求められている。
内部結合IP化による実効効率最適化方式システム内部の機能要素にIPアドレスを与え、それぞれの機能要素のリソースをモニタリングすることによって、最適なジョブ分割を行いスレッドを機能要素に送り込む技術の開発。ダイナミックアルゴリズムやスタティックデータフロー技術の確立IPv6やダイナミックIP等の技術が活用される予定。
低電力高速デバイス・回路技術・論理方式将来予測される45nmプロセスの半導体を実現するために必要な技術開発を行うことが目的。安定した3次元集積回路や45nmプロセスを達成するために必要とされる、半導体製造技術の確立ポストシリコン、非同期設計等の基礎的研究開発を進めることが重要であるとの認識から研究開発が進められている。なお、一部の研究開発はCOEプログラムとして採択済み。
CPU・メモリ間光配線技術将来予測される量子コンピュータや既存のコンピュータのCPUとメモリ間において、直接光結合を行うことによって、帯域損失の少ない高速の通信を可能にする光インターコネクション技術開発を行うことが目標。PE内部に光インターコネクションを設けるための設計・製造技術の確立コンピュータを小型化する事は、省電力性向上と高性能化を図るには必須であり、配線を減らすための光インターコネクション技術の研究開発が行われている。
PHASE_2通信・演算情報の爆発的増大に備える超低消費電力技術の創出2005〜2011年度次世代の汎用高速計算機構築に向けて、消費電力あたりの処理性能を100倍から1000倍にする超低消費電力技術の確立のための基礎研究既存の技術においてもトランジスター数で2.5億を超えており、将来は3億から6億にも達する。この時、半導体の温度がベース材料の融点に達する予測もある。この過酷な条件を乗り越え、次世代の計算機技術である新たな素子製造基盤を確立するための超薄膜半導体デバイスや光量子デバイス、さらには高温超伝導を含む新規デバイス構築技術の確立が目標とされる。新規デバイス技術。現在、有力視されているのは、高温超伝導、ポストシリコン。量子コンピューターは、次次世代以降の確立予定このテーマでは、現在進められているシミュレーション技術、半導体プロセス技術、高温超伝導技術等の多観点から研究開発を行い、超低消費電力デバイスの研究開発が行われる予定。なお、薄膜超伝導や量子干渉素子等で培われた超微細構造加工技術や量子状態を観測できる量子ホログラフィック顕微鏡等も活用する予定。
  • ^機能要素とは、CPU及びローカルメモリを含めた機能単位のこと。これをPE(Processor Element)と呼ぶ。なお、GRAPEシリーズ、Transputer、コネクションマシーン等の設計で行われたローカルメモリを含まない純粋なPEも存在すれば、PACSシリーズやBlue Geneのようなローカルメモリを含むPEも存在する。(ローカルメモリ:CPU等に内蔵されたキャッシュメモリとは異なる一般的メモリのこと)
  • ^ポストシリコンとは、カーボンナノチューブトランジスタやナノワイヤレストランジスタなどのことを指す。将来的は、高温超伝導素子等もあげられるが、周辺技術も含めて未完成のため、将来の課題となっている。
  • ^回路技術として同期・非同期混在設計などが挙げられている。これらの回路技術とソフトウエア技術(コンパイラ等)を上手に組み合わせることが課題。

全体スケジュール

下表は2006年初頭時点の予定表である。

全体スケジュール
PHASE時期項目備考
設計2006〜2007年度ユーザーヒアリング、性能見積、ハードウエアの仕様検討仕様項目の洗い出し、目標性能を達成するための性能見積もり、複数のハードウエアの仕様検討
実装技術の製造と評価2008〜2009年度回路設計、LSI化、基板製作、試作機組み立て、評価開発ベンダーの選定、回路設計、試作機(最高性能の10%〜50%程度の機種構築)の構築
実機製作2009〜2010年度システム全体の製作、特定処理計算加速部の完成→性能評価試作機を元にした特定処理計算加速部の完成、LINPACKによる性能評価
システム強化2011〜2012年度大規模計算処理部と逐次処理計算処理部のシステム強化→総合評価試作機において製作した大規模計算処理部と逐次処理部(現在の予定ではベクトル型とスカラ型混在の見込み。大規模ベクトル型と大規模スカラ型の混在に関しては技術的挑戦となるため、ベンダー間での調整が行われると思われる)のPE数を増やすことで、システムの強化を行う(数値風洞シミュレータと同じ手法)。この頃までには新たな性能評価の指標値における議論が決するため、新基準に基づく性能評価を行う予定
  • ^特定処理計算加速部とは、ある特定のアルゴリズムをハードウエアに置き換えることによって、演算効率を上げる仕組みのこと。具体的には、計算要素をPE連鎖によるパイプラインに置き換えることで、計算処理を加速させる計算処理装置のこと。
  • ^大規模計算処理部とは、これまで通りの大規模スカラ演算が可能な計算処理装置のこと。よって、この部分に関しては、仮想ベクトル処理が行われる予定である。
  • ^逐次計算処理部とは、リアルタイム計算を可能にする計算処理装置のこと。特に、ハードウエア・コンテキストスイッチ等の処理を高速化することによって、スカラ型計算の効率を高め、通常の計算処理を行う計算機構のこと。
  • ^ベクトル・スカラ混在型の場合には、浮動小数点計算部と10進計算部の結合型では例がある。スーパーコンピュータ技術史にも記載があるように、スーパーコンピュータは、浮動小数点部を独立させ、計算サービスを行う専用プロセッサとして提供されてきた経緯から踏まえても普通のことである。しかしながら、浮動小数点専用機単体として、ベクトル・スカラ混在型の設計は数多くの解決するべき課題に直面すると思われる(特にソフトウエア開発や相互システムを繋ぐネットワーク等に関して)。アーキテクチャの異なるコンピュータを同期させるためには、マスタークロックを用いる方法が主流になると思われる。また、システム間での協調システムとして、非同期設計技術が用いられるものと思われる。

以後は歴史を参照。

ハードウェアの構成

PRIMEHPC FX10

富士通の一般販売商品は PRIMEHPC FX10で、2011年11月7日に販売開始、2012年1月より出荷。京との比較で、値段据え置きで、CPUの性能が2倍弱速くなった。

  • ラック
    • 96ノード
    • 1/8〜1024ラックで販売。価格は50ラック程度で50〜70億円。1CPUあたり100万円強。
  • CPU
    • SPARC64 IXfx
    • 16コア
    • 1.650GHzまたは1.848GHz
    • 211.2GFLOPSまたは236.544GFLOPS
    • 110W
    • 水冷
  • メモリ
    • 1CPUあたり32GBまたは64GB
    • メモリ帯域 85GB/s。DDR3-1333×8チャンネル.

PRIMEHPC FX100

FX10 の後継機種である。

設備

収容建屋

建屋は、計算機棟・研究棟、熱源機械棟、特高施設棟の4棟からなり、設計は日建設計、施工は大林組で2010年に竣工。計算機・研究棟は1体構成となっており、1.5tもの計算機筐体が864台から構成され、計算機室は床耐荷重を確保した上で60m*50mの無柱空間(3000m2)が確保されている。

建屋
棟計算機棟研究棟熱源機械棟特高施設棟
構造鉄骨
地上6階地下1階
鉄骨
地上3階地下1階
RC
地上2階
Rc
地上2階
建築面積1800m24300m21900m2200m2

再利用の模索

多額の開発費が仕分け会議で指摘されたこと、稼働停止直前の段階でも日本屈指の性能を有していたことから、京の再利用も模索された。しかし、最低の構成単位に分割しても冷却装置などの新設が必要となり移設費用に6000万円、年間の維持費に1億円以上掛かるうえ、今後のメンテナンスも望めなくなることから実現は困難と判断されている。

周辺の変化

2011年7月1日、計算科学機構の最寄駅にあたる神戸新交通のポートアイランド線「ポートアイランド南駅」(2006年2月2日開業)が、「京コンピュータ前駅」に改称された。しかし、京の運用停止を受け、2021年6月19日に駅名は「計算科学センター駅(神戸どうぶつ王国・「富岳」前)」に変更された。

脚注

  1. ↑ “次世代スーパーコンピュータの愛称は「京(けい)」と決定 | 理化学研究所”. www.riken.jp. 2023年9月27日閲覧。
  2. ↑ “理化学研究所次世代スーパーコンピュータ開発実施本部”. 2010年1月20日閲覧。
  3. ↑ “スーパーコンピュータ「京」が完成 | 理化学研究所”. www.riken.jp. 2023年9月27日閲覧。
  4. ↑ “スーパーコンピュータ「京」9月28日から共用開始 | 理化学研究所”. www.riken.jp. 2023年9月27日閲覧。
  5. 1 2 “京速コンピュータ「京」が世界1位に -世界最高性能8.162ペタフロップスを達成し、TOP500リストで首位獲得-”. 理化学研究所/富士通株式会社. 2011年6月20日閲覧。
  6. ↑ “Japan's K Computer Tops 10 Petaflop/s to Stay Atop TOP500 List”. 2014年6月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年11月14日閲覧。
  7. ↑ “June 2012 | TOP500”. top500.org. 2023年9月27日閲覧。
  8. ↑ “November 2012 | TOP500”. top500.org. 2023年9月27日閲覧。
  9. ↑ ただし、タイタンはスーパーコンピュータJaguar(総開発費1億400万US$)からのアップグレードである。
  10. ↑ “中国製スパコン、首位奪回…理研「京」4位後退”. 読売新聞. 2013年6月18日. 2013年6月25日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2013年6月18日閲覧.
  11. 1 2 “スパコンランク、今回も1位は中国…「京」4位”. 読売新聞. 2015年7月13日. 2015年7月14日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2015年7月15日閲覧.
  12. ↑ “京速コンピュータ「京」がHPCチャレンジ賞 4部門すべてで第1位を獲得 | 理化学研究所”. www.riken.jp. 2023年9月27日閲覧。
  13. ↑ “スーパーコンピュータ「京」でHPCチャレンジ賞 3部門の第1位を獲得 | 理化学研究所”. www.riken.jp. 2023年9月27日閲覧。
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  16. ↑ “京速コンピュータ「京」による成果がゴードン・ベル賞を受賞 | 理化学研究所”. www.riken.jp. 2023年9月27日閲覧。
  17. ↑ “スーパーコンピュータ「京」によるダークマターシミュレーションがゴードン・ベル賞を受賞”. 2012年1月1日閲覧。[リンク切れ]
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  20. 1 2 “2期連続でスーパーコンピュータ「京」がGraph500で世界第1位を獲得 | 理化学研究所”. www.riken.jp. 2023年9月27日閲覧。
  21. 1 2 “スーパーコンピュータ「京」がGraph500で世界第1位を奪還 | 理化学研究所”. www.riken.jp. 2023年9月27日閲覧。
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  29. ↑ スパコン「京」運用終える 電源落とす“引退”セレモニー、NHKnewsweb,2019年8月30日
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  170. ↑ 「次世代スパコン『京』について」(SS研HPCフォーラム2011)
  171. ↑ 「世界トップクラスシステムに相応しい超大規模ストレージを目指す「京」のストレージシステム」(2011年度科学技術計算分科会会合)
  172. ↑ 【レポート】「京」スパコンシステムの詳細が明らかに(1) 「京」スパコンの全体構成が明らかに - エンタープライズ - マイコミジャーナル
  173. ↑ PRIMEHPC FX10 : 富士通
  174. ↑ 【PC Watch】 富士通、最大23.2PFLOPSを実現するスパコンを発売 〜京で用いた技術をさらに発展
  175. ↑ White paperスーパーコンピュータ PRIMEHPC FX10 の先進技術
  176. ↑ “工事実績”. 大林組. 2019年8月29日閲覧。
  177. ↑ https://www.ssken.gr.jp/MAINSITE/download/newsletter/2011/20111020-joint/lecture-07/SSKEN_joint2011_nikkensekkei_PPT.pdf 世界最速スパコン「京」を支える最先端建築テクノロジー (PDF)
  178. ↑ “スパーコンピュータ「京」を支える建築・設備技術”. 2019年8月29日閲覧。
  179. ↑ “「京」を支える施設”. 2019年8月29日閲覧。
  180. ↑ “スパコン京 移設、再利用が「非現実的」な理由”. 2020-06-21郷戸新聞NEXT (2020年6月21日). 2020年6月18日閲覧。
  181. ↑ “スパコン「京」駅名変更へ”. 共同通信. 2020年11月17日.

関連項目

外部リンク

記録
先代
天河一号A(中国)
2.566 ペタFLOPS
ランキング「TOP500」において1位
2011年6月 – 2012年6月(2連覇)
記録:10.51 ペタFLOPS
次代
IBM セコイア(米国)
16.325 ペタFLOPS
先代
IBM セコイア(米国)
15363 ギガTEPS
ランキング「Graph500」において1位
2014年6月
記録:17977 ギガTEPS
次代
IBM セコイア(米国)
23751 ギガTEPS
先代
IBM セコイア(米国)
23751 ギガTEPS
ランキング「Graph500」において1位
2015年6月 – 2019年6月(9連覇)
記録:38621 ギガTEPS, 31302 ギガTEPS
次代
神威・太湖之光(中国)
23756 ギガTEPS

座標: 北緯34度39分12.1秒 東経135度13分13.7秒 / 北緯34.653361度 東経135.220472度 / 34.653361; 135.220472 (京)