Quasi-star

最大の既知の星を含む幾つかの既知の超巨星と比較したQuasi-starのサイズ比較。

Quasi-star、またはブラックホール星、black hole starは、宇宙初期に存在した可能性がある、非常に重く明るい仮説上の天体。核融合反応によって輝く現代の恒星とは異なり、天体中心部にあるブラックホールに物質が落ち込むことでエネルギーがもたらされると考えられている。

形成と性質

Quasi-star は、大きな原始星の核がブラックホールへと重力崩壊した際に、その外層が現代の超新星のように吹き飛ばされたりブラックホールに落ちたりして失われることなく、エネルギーを吸収するのに十分な質量を持っている場合に生じると考えられている。このような天体は、少なくとも1,000 太陽質量 (M☉) の質量を持っていなければならない。Quasi-starは、暗黒物質のハローが重力によって大量のガスを引き込み、数万 M☉の超大質量星が生み出されることで形成された可能性もある。Quasi-starの形成は、宇宙の初期、すなわちビッグバン元素合成で生じた水素やヘリウムが重元素に汚染される以前の時代でしか起こり得ない。そのため、Quasi-starは超大質量の種族IIIの星であった可能性もある。このような星は、既知の最大の恒星の1つであるおおいぬ座VY星やStephenson 2-18をも凌ぐ大きさと考えられている。

原始星の中心部にブラックホールが形成されると、外層の物質がブラックホールへと降り注ぐことで大量の放射エネルギーが発生され続ける。この絶え間ないエネルギーの噴出は、重力を打ち消す力として働き、核融合で輝く現代の恒星と同じような静力学平衡状態が生まれる。Quasi-starの最大寿命は約700万年と短く、その間に中心部のブラックホールは約1,000 - 10,000 M☉にまで成長していたと考えられている。この中間質量ブラックホールが、現代の超大質量ブラックホールの元となったとも言われている。

Quasi-starの表面温度は10,000 ケルビン (K) 以上あったと推測されている。この温度で、半径が太陽の14,374倍にあたる100億キロメートル(約66.85天文単位)あったとすると、小さな銀河と同じくらいの明るさとなる。時が過ぎて冷えていくと外層が透明となり、さらに冷やされて限界温度の4,000 Kに達する。この限界温度未満では静力学平衡が成り立たなくなるため、ここでQuasi-starの寿命が尽きることとなり、中間質量ブラックホールを残して急速に消滅してしまうとされる。

候補

MoM-BH*-1

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって撮影されたMoM-BH*-1の画像

ローハン・ナイドゥ(英語版)らはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって観測された、ビッグバンから約6億6000万年後に形成されたとみられる天体 MoM-BH*-1(英語版) がブラックホール星であると主張している。この天体が放つ光は、そのほぼすべてがスペクトルにおいて赤色側(波長が長い側)に偏っており、これはガスによる光の散乱によって生じる効果だと考えられている。

MoM-BH*-1について提案されたこのモデルは、同望遠鏡によって発見された他のリトル・レッド・ドットについても説明できる可能性がある。超深宇宙探査では少なくとも300個が確認されており、そのすべてがQuasi-starである可能性があるとみられている。

脚注

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注釈

  1. ↑ この場合、恒星が誕生した後に生じた、水素とヘリウム以外の元素のことを指す。

出典

  1. 1 2 3 4 Battersby, Stephen (2007年11月29日). “Biggest black holes may grow inside 'quasistars'”. NewScientist.com news service.
  2. ↑ Yasemin Saplakoglu (2017年9月29日). “Zeroing In on How Supermassive Black Holes Formed”. Scientific American. 2021年8月28日閲覧。
  3. ↑ Mara Johnson-Goh (2017年11月20日). “Cooking up supermassive black holes in the early universe”. Astronomy. 2019年4月8日閲覧。
  4. 1 2 3 4 Begelman, Mitch; Rossi, Elena; Armitage, Philip (2008). “Quasi-stars: accreting black holes inside massive envelopes”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 387 (4): 1649-1659. arXiv:0711.4078. Bibcode:2008MNRAS.387.1649B. doi:10.1111/j.1365-2966.2008.13344.x.
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  6. ↑ Sample, Ian (2026年8月12日). “Astronomers discover a new kind of cosmic object: a black hole 'star'”. ガーディアン (イギリス英語). ISSN 0261-3077. 2026年8月12日閲覧.
  7. ↑ Naidu, Rohan P.; Matthee, Jorryt; Katz, Harley; de Graaff, Anna; Oesch, Pascal A.; Smith, Aaron; Greene, Jenny E.; Brammer, Gabriel et al. (2026-08-13). “A gas-enshrouded and gas-reddened black hole at cosmic dawn” (英語). ネイチャー 656 (8127): 329-333. doi:10.1038/s41586-026-10846-4. ISSN 0028-0836. PMC 13468124. PMID 42587117.
  8. ↑ Schleicher, Dominik; Herrera-Camus, Rodrigo (2026-08-12). “'Little red dot' gets its colour from gas, not dust”. ネイチャー 656 (8127): 301-302. doi:10.1038/d41586-026-02290-1. PMID 42587121.
  9. ↑ Evan Gough (2026年8月17日). “The JWST Little Red Dots Could Be 'Black Hole Stars'”. Universe Today. 2026年8月23日閲覧。

関連項目