TCCOR(英語: Tropical Cyclone Conditions of Readiness)は、台風が米軍基地等に接近する際に、事前準備や台風時の対応などを明記したアメリカ軍の規定および警報である。日本を含む北西太平洋において運用されている。公式の和訳はなく、「台風警報」や「熱帯低気圧警戒コンディション」などと紹介される。読み方は「ティーコー」。
ハリケーンが襲来するアメリカ本国では、北大西洋地区および北太平洋地区の基地に対して、HURCON(英語: Hurricane Condition)が運用されており、当項目ではHURCONも含めて解説する。
TCCORおよびHURCONは台風・ハリケーンが襲来する最大96時間前より発令され、軍人や軍属、文官、これらの家族に対して暴風雨などへの備えを指示するとともに、接近には施設・学校の一時閉鎖や外出禁止などが当規定により行われる。TCCORないしHURCONの指定は、台風やハリケーンの影響を最も受けやすい在沖米軍や、アメリカ大西洋南部地域の基地において特に重要視されている。
TCCORおよびHURCONの発令権限者は原則各基地の基地司令官にあたる部隊長により発令される。在日米軍におけるTCCORの定義は"USFJ Instruction 15-4001"により規定される。
2026年現在、TCCOR 5からTCCOR 1までの5段階(沖縄ではTCCOR 5の運用なし)で構成されており、TCCOR 1においてはさらに3つのサブレベルが設けられているほか、通過後に発令されるAll Clear、暴風ではないが熱帯低気圧による強風が予想される際に発令されるStorm Watchが設けている。
また、台風シーズンに当たる6月1日~11月30日の間、日頃の注意喚起を兼ねて、常時TACCOR 5(沖縄はTACCOR 4)が発令される(Seasonal TACCOR 5(4))。
以下は"USFJ Instruction 15-4001"の定義に戻づくが、風速が51.4m/秒を超えると予報されている場合は、さらに厳しい行動要請が命じられる。
| TCCOR | 時間 | 基準 | 指示 |
|---|---|---|---|
| Storm Watch | 破壊的な暴風の恐れはないが、熱帯低気圧に起因する強風により被害が予想される。 |
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| 5 | 96 | 風速25.4 m/秒以上の破壊的な暴風および(または)最大瞬間風速31 m/秒以上の突風が96時間以内に吹く可能性がある。
台風シーズン以外(12月1日~5月31日の間)で運用。 |
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| Seasonal 5 | 台風シーズン(6月1日~11月30日)の間の常時レベル。 | ||
| 4 | 72 | 風速25.4 m/秒以上の破壊的な暴風および(または)最大瞬間風速31 m/秒以上の突風が72時間以内に吹く可能性がある。 |
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| Seasonal 4 | 沖縄における台風シーズン(6月1日~11月30日)の間の常時レベル。 | ||
| 3 | 48 | 風速25.4 m/秒以上の破壊的な暴風および(または)最大瞬間風速31 m/秒以上の突風が48時間以内に吹く可能性がある。 |
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| 2 | 24 | 風速25.4 m/秒以上の破壊的な暴風および(または)最大瞬間風速31 m/秒以上の突風が24時間以内に吹く可能性がある。 |
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| 1 | 12 | 風速25.4 m/秒以上の破壊的な暴風および(または)最大瞬間風速31 m/秒以上の突風が12時間以内に吹く可能性がある。 |
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| 1C | 0 | 注意(Caution): 風速約17.9〜25.4 m/秒の強風が吹いている |
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| 1E | 0 | 緊急(Emergency): 風速25.4 m/秒以上の持続的な風および(または)最大瞬間風速31 m/秒以上の突風が発生している。 |
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| 1R | 復旧:猛烈な風は収まり、今後発生する見込みはなくなった。 |
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| All Clear | 破壊的な強風は過ぎ去り、今後発生する見込みはない。
復旧作業は完了したとみなされる。 |
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以下の表は在日米軍におけるTCCORの発令権限を持つ司令官、TCCORを進言する気象関連部隊、発令範囲を表にしたものである。
原則は基地単位となるが、在日米軍司令官の令により、沖縄では嘉手納基地の空軍第18航空団司令官が沖縄全域を、海軍(ホワイトビーチ、厚木飛行場除く)は在日米海軍司令官が一括して発令することとなっている。
なお、各施設の司令官は独自にTACCORを前倒しで強化できるが、沖縄におけるTCCORの引き下げや解除の最終決定権は第18航空団司令官のみが有する
| 権限者 | 運用部隊 | 管区 |
|---|---|---|
| 第18航空団司令官 | 第18運用支援中隊
気象飛行班 |
沖縄本島全域
沖縄内の米国防総省所管学校 |
| 岩国基地司令官 | 岩国飛行場
気象分遣隊 |
岩国基地 |
| 在日米海軍司令官 | 米海軍対潜戦音響気象海洋センター
横須賀支処 |
横須賀地区 |
| 在日米軍司令部作戦部長 | 第374運用支援中隊
気象飛行班 |
関東平野 |
| 第35戦闘航空団司令官 | 第35運用支援中隊
気象飛行班 |
三沢基地
八戸貯油施設 車力通信施設 |
HURCONは数回改訂されており、基地ごとに若干の差異があるが、2021年現在、HURCON 5からHURCON 1までの5段階で構成されており、HURCON 1においてはさらに3つのサブレベルが設けられている。民間人に対する警戒態勢と同様に、建物は板で塞がれ、要員は避難させられる場合がある。さらに、航空機、艦船、装備などの資産は、移動、固定、地下格納、あるいはその他の方法で安全が確保される。HURCONの略語は、DEFCONやFPCONなど、危険性を伝えるために使用されている他の軍事用語と整合性を保つために採用された。
アメリカ軍では『破壊的な暴風(Destructive winds)』を風速50ノット(25.8 m/秒)以上の風と定義しており、日本の気象庁が定義する台風の「暴風域」とおおむね一致するが、アメリカでは風速は1分平均であることに留意が必要である。(日本は10分平均)
| HURCON | 時間 | 基準 | 指示 |
|---|---|---|---|
| 5 | 96 | 破壊的な暴風が96時間以内に吹く可能性がある。 |
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| 4 | 72 | 破壊的な暴風が72時間以内に吹く可能性がある。 |
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| 3 | 48 | 破壊的な暴風が72時間以内に吹く可能性がある。 |
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| 2 | 24 | 破壊的な暴風が48時間以内に吹く可能性がある。 |
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| 1 | 12 | 破壊的な暴風が12時間以内に吹く可能性がある。 |
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| 1C | 0 | 注意(Caution): 風速約17.9〜25.4 m/秒の強風が吹いている |
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| 1E | 0 | 緊急(Emergency): 風速25.4 m/秒以上の持続的な風および(または)最大瞬間風速31 m/秒以上の突風が発生している。 |
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| 1R | 回復(Recovery):風速25.4 m/秒以上の持続的な風は観測されておらず、嵐は通過した。 |
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脚注出典