Universal Scene Description
USD形式
USD形式はモダンなシーングラフ形式であり、アセットの異形 (バリアント) やアセットの外部参照、アセットのオーバーライドなどに対応している。USD形式にはテキスト形式 (usda) 、バイナリ形式 (usdc)、アーカイブ形式 (usdz)が存在する。
USDファイルの中に含めることのできる情報はスキーマによって定義されており、拡張可能となっている。
主なスキーマ
ジオメトリ (UsdGeom)
ライト (UsdLux)
シェーディング / マテリアル (UsdShade)
スケルトン / ブレンドシェイプ (UsdSkel) - 簡易的であり群集シミュレーション及びゲーム向けとなっている
UI (UsdUI)
USDライブラリ
USDライブラリ群はUSD形式を取り扱うためのライブラリであるが、シーングラフのリアルタイム及びオフラインレンダリングに対応するHydraも含まれている。USDライブラリでHydraを使用するアプリケーションは、Hydraレンダーデリゲート に対応する多数のレンダーバックエンドを使用することができる。
レンダーバックエンド
以下はHydraレンダーデリゲートに対応するレンダーバックエンドである。
公式
HdStream (Stream) - USDに含まれているOpenGLバックエンド。Hydraから分離された。
HdEmbree - USDに含まれているレイトレーシングレンダープラグインであり、IntelのEmbreeライブラリを元にしている。
HdPrman (RenderMan Hydra Delegate) - RenderMan を使用するためのバックエンド。USD 19.07以降に含まれている。
ハードウェア会社製
Radeon ProRender for USD - オープンソースの物理ベースレンダラーであるRadeon ProRenderを使用するためのプラグイン。
HdOSPRay - オープンソースのCPUレンダラーであるOSPRayを使用するためのプラグイン。
RTX Renderer - NVIDIA Omniverseに含まれているレンダラー。
USD採用アプリケーション搭載
Karma - Houdini 18以降のSolarisに含まれているCPUレンダラー。Mantraの代替。
Houdini GL - Houdini 18以降のSolarisに含まれているOpenGLバックエンド。
サードパーティー
HydraNSI (hdNSI) - NSIインターフェースに対応するレンダラーを使用するためのプラグイン。オープンソース 。NSIインターフェース対応のものには、物理ベースレンダラーの3Delight NSI が存在し、HoudiniのSolarisに向けた3Delight for Solarisも用意されている (3Delight for Houdiniに付属)。3DelightNSI は無料版も存在する。
Arnold USD - Arnoldレンダラーを使用するためのコンポーネント集。オープンソース 。
OctaneRender Hydra / Octane X Hydra - HoudiniのSolaris向けのベータ版が公開されている。
Redshift Solaris Hydra plugin - HoudiniのSolaris向けのプレビュー版が公開されている。
hdRstr - リアルタイムの直接照明および単反射回数の間接照明レンダラー。NVIDIA RTXDIに基づいており、ReSTIRアルゴリズムを使用している。
オープンソース
Cycles Hydra Render Delegate - Blender 内蔵レンダラーのCycles を使用するためのプラグインであり、Blender 3.2以降のコードベースに統合されている。hdCycles(Tangent Animation製)の後継。オープンソース。
MoonRay (英語版 ) - DreamWorksの元内製レンダラーであり、2023年にオープンソース化された。
HdAurora - Autodesk主導のオープンソースリアルタイムパストレーシングレンダラー「Aurora」を使うためのプラグイン。
歴史
USDはPixar独自のジオメトリキャッシュシステムである「TidScene」と、独自の3Dアニメーションツールである「Presto」(旧Marionette (Menv)) のコア部分を統合するために開発された。また、USDのレンダーエンジンであるHydraはPrestoに搭載されていた旧来のレンダーエンジンの後継として開発され、GPUベースでRenderMan のプリミティブに対応した。
2016年、PixarはUSDをオープンソースとしてリリースした。
用途
上位レベル3D APIとしての使用
USDライブラリはレンダリング機能を持つシーングラフAPIであるため、OpenSceneGraph などのシーングラフAPIの代わりとして使用することができる。3DライティングソフトのKatanaはビューポートにおいて従来のOpenSceneGraphベースのものに代わりUSDライブラリのHydraベースのものを採用した。
ファイル交換形式としての使用
USD形式は拡張可能であるため、レンダラー固有のマテリアルパラメータのような従来のファイル交換形式 (FBX 形式等) では受け渡せない情報を詰め込むことが可能となる。例えば3DレンダラーのArnoldに対応するものとしてArnold USDが存在する。
また、AL_USDMayaでは複雑なリグなどの情報をUSDに詰め込むことも行われている。
シーンキャッシュとしての使用
USD形式はシーンキャッシュ形式であるAlembic 形式の代わりとして注目されている。USD形式へと対応した3DCGソフトウェアClarisseの開発元Isotropixのテストによれば、USD形式の読み込みはAlembic形式の読み込みに比べて50倍高速になるケースもあるとされる。
レンダリング中間形式としての使用
USD形式はレンダリング中間形式であるRIB形式 (RenderMan Interface Bytestream)の代わりとしても注目されている。今後3DレンダラーのRenderManは中間インターフェースにおいてRIB形式の代わりにUSDベースの新インターフェースであるRILEYを用いる予定となっている。
オーサリング形式としての使用
USDをZIP 圧縮したものとしてUSDZ形式が存在し、この形式がARなどに使われている。
USDZ形式へのパッキング/変換ツールには以下がある:
USDに付属するusdzip
usdz Tools (Apple) - コマンド名はusdzconvert。Xcodeに付属するusdz_converter (非推奨) の後継。
Reality Converter (Apple)
Adobe Aero - ARアプリ。usdz形式での出力にも対応している。
StemCell (TurboSquid) - 様々なDCC形式に対応するオンラインファイルコンバータであり、usdz形式での出力にも対応している。
Quixel Bridge (Epic Games)
USDZ Converter (ViewAR) - オンラインコンバーター
Vectary - オンラインの3Dデザインツール
USDZ形式の表示には以下が対応している:
ARKit 2以降 (Apple) - iOS向けの拡張現実 (AR) SDKであり、AR Quick Look機能がusdz形式に対応している。
対応ソフトウェア・プラグイン
以下はUSDに対応するソフトウェア及びプラグインである。
USD及びHydraビューポート搭載ソフトウェア
USDView - USDに含まれている単体USD形式ビューワ。
Katana 3.0以降 (Foundry) - ライティングソフトウェア。3.0以降でUSDを使用するようになり、Hydraベースのビューポートが追加された。また、オープンソースのKatana USD Plug-insも搭載しているが標準で無効となっている。
Houdini 18以降 (SideFX) - USDベースのライティング/ルックデブツールであるSolarisが搭載されている。
Maya 2022以降 (Autodesk) - 2020.2以降、MtoA (Arnold for Maya) プラグイン経由でのUSDエクスポートに対応しており、2022以降、Maya USD拡張の搭載によるUSD形式のインポート/エクスポートやHydraビューポートに対応している。
Nuke 13.0以降 (Foundry) - デジタル合成 ソフトウェア。12.2以降ReadGeoノードでインポートに対応し、13.0以降Hydraビューポートに対応した。
USD Shell Extension (Activision) - Windows Explorer でUSDファイルをプレビュー表示できるようにするためのシェル拡張。
Blender 4.0以降 - 2.82でUSDエクスポートに、3.0でUSDインポートに、4.0でHydraビューポートに対応。
USD形式のインポート及びエクスポートのみ可能なソフトウェア
3ds Max 2021.1以降 - MAXtoA (Arnold for 3dsMax) プラグイン経由でUSDエクスポートに対応している。また、インポートとエクスポートに対応するUSD for 3ds Maxプラグインも用意されている。
Cinema 4D R23以降 - インポートとエクスポートの両方に対応。またUSDZ形式のエクスポートにも対応。
Modo 14.1以降 - 14.1でインポートに、14.2でエクスポートに対応。
Unity 2019.1以降 - パッケージマネージャーからインストール可能。インポートだけでなくエクスポートにも対応している。
Unreal Engine 4.16以降 (Epic Games) - USDインポータ/エクスポータが内蔵されている。4.24以降はライブ編集に対応するUSD Stageも搭載された。
Gaffer - オープンソースのライティングソフトウェア。シーンリーダー及びシーンライターがUSDに対応している。
Clarisse 4.0以降 (Isotropix) - ライティングソフトウェア。4.0でUSDインポートに、5.0でUSDエクスポートに標準対応した。開発終了。
KeyShot 10.0以降 - 10.0でエクスポートに、10.1でインポートに対応。
CityEngine 2020.0以降 - 2020.0でエクスポートに、2020.1でインポートに対応。
ZBrush 2021.6以降 - インポートとエクスポートの両方に対応
USD形式のインポートのみ可能なソフトウェア
Mari 4.6v4以降 - Mari USD CAPI pluginは元々Pixarの開発したプラグインであったが、その後Foundryが開発を管理するようになった。インポートに対応している。エクスポートは開発中。
採用例
以下の映画の製作に使われている:
また以下のゲームの製作にも使われている:
その他:
注釈
↑ Luma Pictures製のUSD-Arnoldプラグイン及びRodeo FX製のOpenWalterプラグインの後継
↑ Katana USD Plug-insは元々USDの公式プラグインであったが、その後Foundryが開発を管理するようになっている
↑ USDの公式プラグインも存在したが、プラグインはUSD 20.05で削除された
↑ Maya USD拡張(USD for Maya)はオープンソースとなっている。USDに付属していたMayaプラグイン (19.11で非推奨となり、20.02で削除された) とAnimal Logic管理のオープンソースプラグインであったAL_USDMayaの後継に当たる。
↑ 4.0より前はAMD製のBlender USD Hydra Addonが必要であった。
↑ 以前はUnity Technologies Japan製のUSD For Unityプラグイン も存在した。
外部リンク
3Dファイル形式
レガシー
3DCG 3D CAD ラピッドプロトタイピング 及びマルチメディア
現行
3DCG 3D CAD 3D都市モデル (英語版 ) Web3D 3Dプリンター フライトシミュレータ ボクセル/ボリューム