| 開発元 | 任天堂、Vidyo |
|---|---|
| 対応OS | Wii U(Wii Uシステムソフトウェア) |
| サポート状況 | 終了(2017年11月8日サービス終了) |
| ライセンス | プロプライエタリ(プリインストール) |
| 公式サイト | 任天堂公式ページ |
Wii U Chat(ウィー・ユー・チャット)は、任天堂が開発し、同社のゲーム機「Wii U」向けに提供していたテレビ電話(ビデオ通話)用のアプリケーションソフトウェア。Wii U本体のシステムに組み込まれたプリインストール(初期内蔵)アプリの一つである。
2012年のWii U本体発売と同時に世界各国でサービスを開始し、リビングのテレビや手元のWii U GamePadを用いた無料のビデオ通話を提供していたが、2017年11月8日をもってサービスを終了した。
Wii U Chatは、Wii Uの最大の特徴である液晶画面付きコントローラー「Wii U GamePad」に内蔵された前面カメラ、マイク、スピーカー、およびタッチパネルを活用したコミュニケーションツールである。
一般的なPCやスマートフォンにおけるビデオ通話アプリとは異なり、「家庭のリビングの大型テレビに相手の顔を映し、家族全員で遠方の親族やフレンドと会話する」という、リビング設置型の据え置きゲーム機ならではのコミュニケーションスタイルを提示した。通話料金は完全に無料で、Nintendo Networkのアカウント(ニンテンドーネットワークID)およびフレンド登録機能を用いて接続を行う仕組みであった。
本機能の構想は、Wii Uの発売から15年以上前にあたるNINTENDO64の時代まで遡る。当時、任天堂のハードウェア開発部門の責任者であった武田雅二弘(当時・専務)が「リビングのテレビを電話(通信機器)にしたい」という明確なビジョンを持っており、以降の新ハード開発のたびにテレビ電話機能の実装が検討され続けていた。しかし、従来のハードウェア(ニンテンドーGameCubeやWii)の時代では、ネットワークの通信帯域、カメラ等の周辺機器の普及率、および処理能力の限界から実用化には至らなかった。
Wii Uの開発において、標準コントローラーである「Wii U GamePad」に高精度のカメラとマイク、および画面が標準搭載されることが決定したことで、長年の悲願であったテレビ電話機能の標準実装が現実のものとなった。
開発にあたっては、当時PCやモバイル分野で高度な映像通信技術を誇っていたアメリカのVidyo(ヴィディオ)社と業務提携を結び、共同開発が行われた。
本アプリの最大の特徴は、Vidyo社が開発した独自の映像圧縮・通信最適化技術である「H.264/SVC(Scalable Video Coding)」の採用にある。
当時のインターネット環境は家庭ごとに品質のバラつきが大きく、特にワイヤレス通信(Wi-Fi)においてはパケットロスや帯域制限による映像の停止・カクつき、音声の途切れがテレビ電話の大きな課題であった。H.264/SVC技術は、通信環境の変動に合わせてリアルタイムに映像データのレイヤー(解像度やフレームレート)を自動調整する性質を持つ。 これにより、ネットワーク帯域が極端に狭まった場合でも、アプリ側が自動的に映像の解像度を落とすことで接続を維持し、「通話における最重要要素である『音声』を絶対に途切れさせない」という、任天堂の品質基準を満たす極めて堅牢かつ低遅延な通信システムを実現した。
Wii Uの普及台数の低迷、および次世代機であるNintendo Switchへの移行に伴うオンラインサービスの整理の一環として、2017年8月29日に任天堂よりWii Uの一部のネットワークサービスの終了が公式発表された。
任天堂による公式サーバーの閉鎖後、Wii Uのオンライン機能を保存・再現することを目指す海外のオープンソースコミュニティ「Pretendo Network」などのボランティア技術者により、Wii U Chatのサーバーサイドプログラムのリバースエンジニアリングおよび代替サーバーの構築(カスタムサーバー開発)が進められている。これにより、本体の改造(Homebrew)を前提としながらも、再びWii U Chatのパケット通信をエミュレートし、実機間でビデオ通話や手書きチャットを再稼働させる試みがネット上で展開されているgoogle.com。