| URL |
aws |
|---|---|
| タイプ | クラウドストレージ(ファイルストレージ) |
| 運営者 | Amazon.com |
| 営利性 | 営利 |
| 登録 | 必要 |
| 開始 | 2018年11月28日 |
Amazon FSx(アマゾン エフエスエックス)は、Amazon.comがAmazon Web Services(AWS)の一部として提供する、フルマネージド型のファイルシステムサービス群である。Windows File Server、Lustre、NetApp ONTAP、OpenZFSという4種類のファイルシステムの中から用途に合ったものを選び、サーバーの構築やソフトウェアの更新、ハードウェア障害への対処をAWSに任せたまま、ネットワーク経由で共有ファイルストレージとして利用できる。
2018年11月にAWSの年次イベントre:Invent 2018で、Windows File Server向けとLustre向けの2種類が発表されて提供が始まった。2021年9月にNetAppのONTAPを用いたもの、同年11月にオープンソースのOpenZFSを用いたものが加わって4種類となった。
Amazon FSxは、ファイルサーバーそのものをAWSが運用する形で提供するサービスである。利用者は自分のAmazon Virtual Private Cloud(VPC)内にファイルシステムを作成し、Amazon EC2のインスタンスやオンプレミスのコンピューターから、SMBやNFSなどの標準的なプロトコルでマウントして使う。ファイルサーバーとストレージの用意、ソフトウェアのインストールとパッチ適用、ハードウェア障害の検出と対処、バックアップの実行といった作業はAWS側が担う。また、アクセス権限を管理するAWS Identity and Access Managementや暗号鍵を管理するAWS Key Management Service、操作記録を残すAWS CloudTrailなど、AWSの他のサービスと連携する。
AWSにはファイルストレージのサービスとしてAmazon Elastic File System(EFS)もある。EFSはAWSがクラウド向けに独自に設計したNFSストレージである。これに対してFSxは、利用者がファイルストレージの基盤となるファイルシステムを選び、そのファイルシステムの機能と性能を丸ごと使えるサービスであるとZDNetは説明している。AWSは、EFSがサーバーの台数を増やして性能を高めるスケールアウト型、FSxがスループットやIOPSの設定値を上げて性能を高めるスケールアップ型であり、EFSの対応クライアントがLinuxであるのに対して、FSxはWindowsやmacOSにも対応すると説明している。
Windows Server上に構築されたフルマネージドのファイルストレージで、SMBプロトコルで接続する。Active Directoryと連携でき、オンプレミスで利用中の既存のActive Directoryもそのまま使える。Windowsのファイルシステム機能をネイティブに備えるため、Windowsの開発者や管理者は使用中のコードやアプリケーション、ツールを変更せずに利用できるとされる。ストレージにはSSDのほか安価なHDDも選択できる。バックアップにはWindowsのボリュームシャドウコピーサービス(VSS)を使い、ファイルシステムの整合性を保った増分バックアップを作る。
発表時点ではSMB 2.0から3.1.1までのバージョンに対応し、Windows 7以降、Windows Server 2008以降、およびLinuxのSambaクライアントからアクセスできた。性能は1秒あたり最大2,048メガバイトのスループット、容量は1ファイルシステムあたり最大64テラバイトで、当初は米国東部(バージニア北部)、米国東部(オハイオ)、米国西部(オレゴン)の3リージョンで提供された。TechCrunchは、一定数の企業が依然としてWindowsファイルサーバーを使っていることから、AWSがその市場をマイクロソフトに譲らず取り込もうとするサービスだと報じた。ZDNetによれば、AWSのCEOアンディ・ジャシーは基調講演で、当初はWindowsファイルシステムをEFSの一部として実現しようとしたが、顧客がネイティブなWindowsファイルシステムを求めたため方針を変えたと説明した。2019年11月には、複数のアベイラビリティーゾーンにまたがって配置し、可用性を高めるマルチAZ配置が追加された。
オープンソースの並列ファイルシステムであるLustreをフルマネージドで提供する。機械学習、高性能計算(HPC)、映像処理、金融モデリングなど、処理速度が重要な用途を想定している。ジャシーはre:Invent 2018の基調講演で、大規模で並列性の高いHPCワークロードに向くファイルシステムが存在しなかったことを、FSx for Lustreを投入した理由として挙げた。POSIXに準拠しているため、既存のLinuxベースのアプリケーションを変更せずに使える。
特徴の1つがAmazon S3との連携で、ファイルシステムをS3のバケットと結び付け、バケットの内容をLustreのファイルシステムとして読み書きできる。一時的なデータ処理向けでデータを複製しない「スクラッチ」と、長期保存向けでデータを複製する「永続」の2つの配置形態があり、ストレージクラスにはSSD、Intelligent-Tiering、HDDがある。2025年5月に一般提供されたIntelligent-Tieringストレージクラスは、あらかじめ容量を確保する必要がなく、データの追加や削除に応じてファイルシステムが自動的に拡大・縮小し、アクセス頻度に応じてデータを低コストの階層へ移す。
NetAppのストレージOSであるONTAPをフルマネージドで提供する。2021年9月2日に一般提供が始まり、AWSは「クラウド上で初めての完全マネージド型ONTAPファイルシステム」と位置付けた。発表はAWS Storage Day 2021で行われた。ZDNetは、ONTAPが従来オンプレミスのNASを支えてきた技術であり、NASに依存する企業アプリケーションをコードやデータ管理方法を変えずにAWSへ移せるようになると報じた。
NFS、SMBに加えてブロックストレージのプロトコルであるiSCSIにも対応するマルチプロトコルのファイルストレージで、ONTAPが持つスナップショットやレプリケーション(SnapMirror)、クローン作成(FlexClone)、重複排除などの機能を利用できる。発表時点では、各ファイルシステムは2つのアベイラビリティーゾーンに配置され、ゾーン間の自動レプリケーションとフェイルオーバーにより99.99パーセントの可用性SLAを提供した。ストレージは高性能なSSDによるプライマリストレージと、アクセス頻度の低いデータを置く低コストで伸縮性のある容量プールストレージの2階層からなる。
オープンソースのファイルシステムOpenZFSをフルマネージドで提供する。オンプレミスのZFSやその他のLinuxベースのファイルサーバーに置かれたデータを、アプリケーションのコードやデータ管理方法を変えずにAWSへ移すことを目的としている。NFS(バージョン3、4.0、4.1、4.2)で接続し、Linux、Windows、macOSから利用できる。OpenZFSの特徴である透過的な圧縮、継続的なデータ整合性の検証、スナップショット、コピーオンライトといった機能を、OpenZFSの構築や管理に従来必要だった専門知識なしに使えるとしている。
2021年11月30日、re:Invent 2021で発表されて同日に提供が始まった。AWSのプロセッサーであるGravitonと独自のネットワーク技術SRD(Scalable Reliable Datagram)を基盤とし、発表時点で最大100万IOPS、100〜200マイクロ秒のレイテンシ、非圧縮で最大毎秒4ギガバイトのスループットを掲げた。同時に発表されたS3 Glacier Instant RetrievalストレージクラスやAWS Backupの機能拡張とあわせて、4つの新しいストレージサービス・機能の1つとして位置付けられた。