CFIT(Controlled Flight Into Terrain、シーフィット)は、パイロットにより制御可能な状態にある航空機が、パイロットの意図に反して山や地面、水面等に衝突する航空事故のことである。パイロットエラーに起因する場合が多い。
CFITという用語は、1970年代後半に航空機メーカーのボーイングに所属するエンジニアが命名したとされる。
パイロットが機体を制御できない中での事故や、パイロットが自らの意思により不時着、不時着水しようとした場合、ハイジャックによりパイロット以外の者あるいは自殺願望を持ったパイロットが故意に衝突させた場合(操縦者による自殺)は、CFITに含まれない。
CFITはパイロットの技量や経験が足りないことにより発生することもあれば、十分な飛行経験を持っていても疲労や睡眠不足、空間識失調などにより発生する場合がある。CFITの多くに共通する状況は以下の通りである。
CFIT事故は、パイロットが衝突を一切回避しないか、回避しようとしたが間に合わず衝突して起こる事故である。高速で地形に激突するため、乗員乗客の大半が命を落とす悲惨な事故になることが多い。CFIT事故の中でも山に衝突した場合は事故現場に近づくことすら難しく、生存者の捜索・救出や事故調査が困難を極めることもある。ニュージーランド航空901便墜落事故は、航空史上最悪のCFIT事故として知られ、257名の犠牲者を出している。同事故は、墜落地点が南極のエレバス山の中腹であったため、事故現場に辿り着くことすら困難であった。タイ国際航空311便墜落事故では、墜落地点であるヒマラヤ山脈の山中に向かっていた事故調査官が、低酸素血症を発症し死亡するという二次被害があった。一方で、CFIT事故でありながら死者を出さなかった事例もある。1995年11月12日、着陸進入中に空港手前の木々に接触し、エンジンが停止しながらもなんとか滑走路に着陸したアメリカン航空1572便着陸失敗事故などである。
現代においては対地接近警報装置 (GPWS・EGPWS)や最低安全高度警報(MSAW) などCFITを防止するシステムが整備され、CFITの発生は減少しつつあるが、GPWSが正しく作動しなかったり、GPWSの警告をパイロットが軽視したり無視したことによるCFIT事故が依然として発生している。
ボーイングによると、CFITは死者を伴う航空事故の主な原因の一つであり、民間ジェット機の登場以来、9,000人以上の死者を出しているという。また、2008年から2017年の間に国際航空運送協会が収集したデータによると、民間航空機事故においてCFITを原因とする事故は全体の6%を占め、飛行中の制御不能(LOC-I)に次いで2番目に高い死亡事故カテゴリーに分類されている。
日本では、2012年2月25日、スカイマーク機が宮古空港進入時に最低降下高度以下で飛行したとして、国土交通省が立入検査と厳重注意を行った。また、2010年10月26日には、管制官の最低降下高度未満への降下指示を受けたエアーニッポン機が山に異常接近するトラブルがあった。運輸安全委員会は重大インシデントと認定し、管制官らへの事情聴取や管制交信記録を調査した上で、2012年1月27日、報告書を公表した。機長と副操縦士が管制官の指示に疑問を感じながらも話し合ったり管制官に確認しなかったことも問題視され、管制官の最低降下高度未満への降下指示に警報を出すシステムの導入や、最低高度を公表して操縦士らに注意喚起するなどの再発防止策が提言された。