グレート・ファイアウォール
概要
中華人民共和国 国内外で行われるインターネット 通信に対して監視するだけでなく、接続規制・遮断も行う大規模なネット検閲 システムである。ウェブサーバー への接続の規制において、検閲対象用語を基に遮断を行なうのが特徴である。当初は10万人から200万人ともされるインターネットポリス (網警)やネット秘密警察 (世論分析官)などで人海戦術 を用いており、このサイバー警察は「網警巡査執法」という公式サイトも全国50省・直轄市のソーシャル・ネットワーキング・サービス (微博 や微信 など)に設けて24時間体制でネット監視・パトロールを行っていたが、後に画像認識 や音声認識 を駆使して自動的に検閲する人工知能 と機械学習 も利用されるようになった。これは、例えばコンピューターのIPアドレス ごとに履歴やオンライン上の言動を解析し、ユーザー各人の政治的傾向を分析したり、サーチエンジンで「チベット 」という単語を単体で調べても問題がなかったとしても、「チベット」を調べた後に「人権 」を調べようとすると遮断するといった事例がありうる、と産経新聞 で報道された。検索の初期には表示されていても、問題ある語彙での検索を繰り返していると表示されなくなる場合もある。
2006年 5月からは、中国から日本 国内のPOP3 サーバーへの接続の遮断(電子メール を受信することができなくなる)も行われ、日本企業の駐在員 など、外国人にも影響が及んだ。
こうしたネット検閲システムを回避するソフトもいくつか存在するが、中国当局もかねてから厳しい摘発と検閲回避対策技術の開発を取り込んでいる結果、2019年現在は回避することはかなり難しくなっている。
また、通信内容を暗号化されると検閲が非常に困難になるため、中国政府は暗号 化通信を許可なく行うことを禁止している。このため、例えばSSH ・HTTPS や、海外版Skype (中国国内版Skype には検閲機能が内蔵されている)などの暗号化通信を行なうソフトウェア を利用した場合には、通信を遮断する場合があるほか、直接ユーザーに対して警告するケースもある。
検閲の結果、アクセスを遮断した場合、その結果を503 や404 のようなHTTPステータスコード を返す機能を持っており、ユーザーに対して国による意図的な検閲が行われたことを直接気付かれないようにする仕様になっている。
アムネスティインターナショナル によると、中国ではネットの検閲と監視で投獄されているサイバー反体制派 (英語版 ) が世界で一番多く、国境なき記者団 は中国を「世界最大のネチズン 刑務所」と呼んでおり、このシステムは検閲以外にも効果を発揮し、中国はサイバー主権 (英語版 ) を謳い、、自国のIT 企業(BAT 、BATH )を育てる非関税障壁 として外国企業から市場を保護(ガラパゴス化 )することに成功した。
方浜興
中国当局はGFWの存在そのものについて、一度でも公式発表したことはない、中国外交部 が行う記者会見でインターネット検閲関連の質問を受けた時は「中国政府はインターネットの発展を支持し、インターネットにおける言論の自由を含めて、国民の表現の自由を法によって保障される。同時に、中国はインターネットに対して法によって管理を行い、国際社会の慣習にも準拠している。」のような回答しか為されない。「グレート・ファイアーウォールの父」と呼ばれる方浜興 はインタービューでGFWの仕組みについての質問を受けた時「国家機密」と答えた。GFWの検閲システムは欧州 のベラルーシ と中南米 のキューバ 、さらにアジア や中東 アフリカ など海外の非民主的で権威主義 的な国家にも輸出されているとされ、ロシア は方浜興も招いて積極的にGFWの検閲技術を取り入れている。
ブロッキング技術
ハードウェア構成
GFWは分散型侵入検知システム 、数百台の曙光4000L のスーパーコンピュータ (価格は約2000万から3000万人民元)によって構成されている。GFWは曙光4000Lのメインの供給先は、研究者、クライアント、株主、共同開発者である。
GFW(北京)384ノード、その中24個サービスとデータベースノード、360個の計算ノード、16台の曙光4000L、OSはRed Hat シリーズ(7.2、7.3、AS 4)を使用。
GFW(上海)128ノード、Beowulf を使用
GFW実験室(ハルビン工業大学 )64ノード、曙光、Red Hat OSを使用
他には広州 、長沙 にもGFWが存在している。これらのスーパーコンピュータは100Gbps回線で連結され、計6144ノード、12288個のCPU、12.288TBのRAM、ピーク演算能力は48TFLOPS 。計算速度は極めて速く、GFW(北京)の総スループットは512Gbps以上ある。ノードは独立作動できるし、連結計算もできる。中国にある9個のインターネット国際ゲートウェイには全てGFWが配置された。Cisco (シスコ)をはじめ海外のハイテク企業はGFWに大量のハードウェアと技術サポートを提供していた。
2019年6月に米中貿易戦争 を受け、アメリカ合衆国商務省産業安全保障局 はTOP500 ベンダー3位の曙光をはじめとする中国でスーパーコンピュータを開発する5団体への米国製品の輸出をエンティティ・リスト によって禁止した。
GFWの突破・回避手段、および当局の対抗技術
突破・回避手段
GFWを回避あるいは通過して、禁止または制限しているインターネット上の情報にアクセスする手段があり、中国語で「翻墻 」または「破網 」と呼ばれる。プロキシー 技術、VPN ネットワーク、P2P 技術、HTTPS とTor を単体または組み合わせて利用したものなど、複数の手法やソフトウェアーが存在している。
しかし、中国当局は検閲回避対抗技術の開発に継続して取り込んでおり、殆どの回避手段(GFW初期では有効だったプロキシー や、一般的に熟知されたVPN)は安定して使えないのが現状である。
トラフィック暗号化ソフトに対する検閲技術
GFWは暗号化トラフィックパケットを抽出、特徴分析することで、VPNの暗号化トラフィックを正確に識別でき、進んで封鎖を行う。すでにGFWに対する調査で、畳み込みニューラルネットワーク を利用してShadowsocks トラフィックに対しての検知ができることが分かった。
国際影響
世界の13のルートDNSサーバー(Root Server )について、中国にはF、I、Jの3つのミラーサーバーがあるが、外国インターネットに影響及ぶ度重ねるDNSスプーフィングでインターネットセキュリティと自由に対する脅威になっていることを理由に、2010年には北京の「I」ルートDNSサーバーは国際インターネットから切断された(現在は復帰している)。
2002年頃から、中国のインターネット検閲当局は、DNSサーバーキャッシュスプーフィング技術を利用を開始した。複数のIPアドレスを含むドメイン名、またはブロックを回避するために頻繁にIPアドレスを変更するドメイン名の場合、このメソッドによってブロックされる。国内から国内、国内から国外はもちろん、国外から国内のドメイン名照会要求もスプーフィングされる。
2010年3月に、米国とチリの人々は facebook.com や youtube.com や twitter.com などの人気のソーシャル・ネットワーキング・サイト などのサイトにアクセスしようとすると、ドメイン名の解析処理リクエストが中国が管理するDNSルートミラーサーバーに転送された。これらのウェブサイトは中国でブロックされ、結果のユーザーは誤ったDNS結果データを受信した。これはGFWのDNSスプーフィングが国際インターネットに影響したことを意味する。
2010年4月8日、中国本土の小さなISPの誤ったルーティングデータ、中国電信 (China Telecom)の転送による国際インターネット全体に広がり、AT&T (アメリカ )、Level3(アメリカ)、Deutsche Telekom(ドイツ )、Qwest(アメリカ)、Telefonica(スペイン )を含む多数の国に影響を及んだ。
脚注
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