MEIKO

ピアプロキャラクターズ
MEIKO
開発元 クリプトン
初版 2004年11月5日
最新版
V3 / 2014年2月4日
種別 歌声合成ソフトウェア
ライセンス PCL
公式サイト piapro.net
初音ミク公式ブログ
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MEIKO(めいこ)とは、クリプトン・フューチャー・メディアから発売された歌声合成ソフトウェアおよびパッケージキャラクター。日本のヤマハが開発した音声合成技術「VOCALOID」を採用した日本語対応における初の製品であり、「ピアプロキャラクターズ」に分類される。

概要

クリプトン社の女性バーチャルシンガー。主な愛称は「姉さん」。栗色のショートボブ、赤いショート丈のトップス、ミニスカートが特徴。

世界初の日本語対応バーチャルシンガーソフトウェアであり、VOCALOIDほか同種のソフトで“パッケージにキャラクターを起用する”という試みを初めて行い、“実際に人の姿をしたキャラクターに歌わせる”という概念を取り入れた「バーチャルシンガー」のパイオニア・先駆け的存在である。

第1弾製品は2004年11月5日に発売。当時の水準を上回る本数(3倍以上)を売り上げたものの、この時点では市場自体がまだ小規模だった。また、同じクリプトン社の後続製品である『KAITO』の売り上げが低迷したこともあってジャンル(ボカロ音楽)を形成するには至らなかった。

その後、同社の製品「初音ミク」が大ヒットしたことでKAITOと共に新たに人気を獲得。一方、MEIKO及びKAITOがいなければミクの成功はなかったとも言われており、ボカロ音楽の概念を最初に日本へと持ち込んだ「偉大なる先駆者」とも評価される。

現在ではミク、鏡音リン・レン、巡音ルカ、KAITOと共に「ピアプロキャラクターズ」として名を連ねている。

バーチャルシンガーソフトウェア

CVは拝郷メイコ。

第一弾ソフトウェアの開発担当はクリプトンの社員で、この人物は佐々木渉(初音ミクの生みの親)の学生時代からの友人であり、佐々木は同氏の退社後にクリプトンに入社したとされる。V3以降は佐々木が企画開発を担当。

MEIKO(V1版)
音声合成エンジン「VOCALOID」対応ソフト。2004年11月5日に発売。
同種のシリーズで“パッケージにキャラクターを起用する”という試みを初めて行った。
MEIKO V3
VOCALOID3エンジン対応ソフト。2014年2月4日に発売。
ピアプロキャラクターズ・スーパーパック
ピアプロキャラクターズ全6名(初音ミク、鏡音リン、鏡音レン、巡音ルカ、MEIKO、KAITO)の日本語歌唱ライブラリ1種類ずつに新規チューニングを施して収録した商品。2024年8月1日に「初音ミク NT」の新バージョン及び「初音ミクV6 AI」と共に発表され、同月30日にリリース。ベースとなったのはV3からV4Xまでの「Original」で、より発音や声色の全体バランスが良くなるよう磨き込み、クリアネスやジェンダーファクターを始めとしたパラメータも効きが良く設定され、歌声を作り込むことも可能。過去作を所持しているユーザーによるクロスシンセシス使用での声色表現の拡張なども想定されている。
クリプトン社の新音声データベース(仮称)
クリプトン社が主催する「初音ミク マジカルミライ 2019」の新技術発表会にてミクの新データベース(後の「初音ミク NT」)の存在が発表されており、ミクをリファレンスとしてピアプロキャラクターズの他5体も随時調整する形になる事も言及された。
「マジカルミライ 2024」のバーチャルシンガー製品関連ステージでは、ミクで得た知見を“横”に広げていくことが発表された。

デザイン

MEIKOのパッケージにはマイクを握った女の子(MEIKO)のアニメ風の絵が描かれているが、当初はマイクのイラストが候補として挙がっていたという。しかしDTM未経験者も興味を持ちやすいようにとの考えから、マイクの案は破棄され「歌っている人格」をアピールするためMEIKOの名前をイメージした女の子のイラストを採用することになった。このパッケージイラストを手がけたのは、当時クリプトン社に在籍していた人物である。

「MEIKO V3」のイラストは「初音ミク V3」のイラストを手がけたiXimaが担当している。なお初代MEIKOとは若干ながらも一部装飾品が変更されている(ネックレスやブレスレットの追加など。ただし初代ともKAITO以降にあるヘッドセットマイクは無い)。

キャラクターイラストの使用という路線は後のCVシリーズ(クリプトン社のバーチャルシンガー)にも引き継がれている。

なおパッケージイラストについてはキャラクター化を意図したものではなかったが、2009年6月に発表された同社製品のキャラクターの利用についての規約「ピアプロ・キャラクター・ライセンス」においてはMEIKOもキャラクターとして扱われるようになっている。

反響

発売時

本製品の発売以前には、日本のヤマハが2003年に発表した「VOCALOID」技術に基づき、翌年1月には、イギリスで世界初の英語対応ソフトウェアが発売されており、同年11月、本製品が初の日本語対応ソフトウェアとして発売された。合成音声の歌声に業界からの反応は良くはなかったものの、同人音楽や仮歌での使用に好意的な声もあった。本製品の発売・販売元であるクリプトン・フューチャー・メディア所属の佐々木渉は、発売の翌年に入社した当時の反響について、DTM市場の8割が男性であったことからも、自作曲の女性ボーカリスト探しに苦戦するアマチュア層からの支持ではないかと分析する。特別な設備・人脈を必要とせず、個人のパソコンのみで女声ボーカルを扱えるとアマチュアDTM愛好家の支持を得たことで、1000本売れればヒットとされる類似製品の市場において約3000本の売上を記録した。

DTM専門誌の『DTMマガジン』(1994年 - 2016年、寺島情報企画)では、2005年3月号より本製品を使いこなすための連載記事が組まれ、読者投稿コーナー「超★極辛道場」には、本キャラクターを使用した投稿作品が多数寄せられたほか、同年7月号では、本製品のサンプリング元である拝郷メイコ本人が同コーナーのオーディオ番組にゲスト出演した。2006年には、本製品使用楽曲によるコンテストが施策されると、優秀作品には拝郷メイコによるレコーディングも行われた。しかし、音楽製作向けソフトウェアとして異例のヒットではあったものの、アマチュアのDTM愛好家間での話題性に留まっていた。この理由について佐々木は、2ちゃんねるの専用スレや音楽配信サービスの「muzie」(1999年 - 2017年、エイベックス・マーケティング)が存在する一方、本製品の発売が、2006年12月にサービス開始となる動画投稿サイト「ニコニコ動画」(ドワンゴ)に先行していたことで、大衆が自分で制作した楽曲を公開し、楽曲を聴き合うような場がなかったためと考える。また、この時期の本製品は、ワールドワイドな人気商品であったギターやドラムなどの音源製品と並び、日本のローカルな製品でありながら、月300本程の出荷実績があったことに可能性を感じていたとも述懐した。

2007年の半ば、すでに廃れていたはずのMEIKOの売れ行きが伸び始める。当時急速にユーザー数を増やしていた「ニコニコ動画」に本製品に歌唱させた動画が投稿され、人気を集めていた。佐々木自身も「ニコニコ動画の素晴らしさを予感させるような状況は、MEIKOにこそあった気がします」と語る。

「初音ミク」の登場

2006年下半期、ヤマハによる「VOCALOID 2」発表に伴い、同社所属の剣持秀紀によって、クリプトン社に本製品のコンバート版が持ち込まれるものの、クリプトン社代表取締役の伊藤博之と佐々木は、「人の名前の後ろに『2』がつくとより人っぽくなくなってしまう」ことを危惧する。この「VOCALOID 2」に向けた新製品の開発結果として、翌年8月31日、「キャラクター・ボーカル・シリーズ」第1弾と銘打たれた「初音ミク」が発売された。「キャラクター・ボーカル・シリーズ」とは、開発の佐々木らがAKB48などのアイドルや声優による電波ソングなどに見られるサブカルチャーの発展に着目し、本製品と後続の「KAITO」(2006年)の発想であった「実在の歌手の声で歌うソフトを作る」方向性から一転して「人間の代用や模倣」から離れることを試みた結果であった。

「初音ミク」開発当初に剣持が持ち込んだ「MEIKO 2」の構想は、後続製品を含む「キャラクター・ボーカル・シリーズ」の人気の反面、「ミクが出てきて人気が集まっても、ミクにはない良さがある」とした先行技術のままの「MEIKO」人気もあってお蔵入りとなる。開発側として、佐々木自身も「ニコニコ動画」における「最初の記憶がMEIKOと共にあり、ミクの誕生を温めてくれていたような感覚を覚えています」として、「ミクがネギを振ったりしていたのは、MEIKOがその手前で温めてくれていた」下地があったからだと語った。初音ミクのキャラクターとしての人気が高まるにつれ、元々キャラクター商品ではなかったMEIKOをもまた「初音ミクの関連キャラクター」として受容されるようになり、キャラクターとしての人気を広げた。

2007年以降、MEIKOを用いて作成されたオリジナル曲やカバー曲、パッケージのキャラクターを用いたPVなどが多数制作されニコニコ動画などに投稿されている。また、2007年9月にニコニコ動画に投稿されたワンカップPによる動画「初音ミクが来ないのでまだスネています」でMEIKOで歌わせた「ワンカップを一気飲み 明日は届くといいな」という歌詞をきっかけに酒好きというイメージが広まり、2011年に発売されたMEIKOのフィギュアにも、一升瓶にワンカップ、グラスなどの小物を付属させるといった形で取り入れられている。

2024年、本製品発売から20周年の節目としてインタビューに応じた佐々木は、「MEIKOやKAITOってもともとは歌のお兄さんお姉さんみたいな捉えられ方が強かったところがあったんですけど、今はあまり言わなくなった」と振り返りながら、下記のように語った。

MEIKOが最初の日本語対応のVOCALOIDであったというトピックとともに、彼女が多様な曲を歌い続けているということ自体に奥行きがある。自分の今やってることが本当に最適解なのかどうか分からなくなっても振り返ったら2006年頃のニコニコ動画のあたたかい感じにまぎれて、MEIKOが一番奥の方の記憶の中に立っている。その時のMEIKOのままでいてくれてることが、救いというか。VOCALOIDってこういうことだったよね、最初はこういう温度感だったよねという記憶が自分の中にある。途中からは情報の濁流みたいになってきましたからね。
(略)
MEIKOこそがVOCALOIDとクリエイターの出会いであり、始まりだったと思います。「なんだろうこのソフト? 歌を歌うんだ? へー、珍しいなぁ」ってところから少しずつクリエイター達に使ってもらった試行錯誤、ミクに繋がる流れ。そういう背景からくる、まっさらな原点を感じますね。
—佐々木渉、

主役企画

MEIKOのメディア展開は、下記の3種に大別される。

ソーシャル媒体の公式アカウントは初音ミク名義である(→#外部リンク)。

KarenTによる配信

権利元であるクリプトン・フューチャー・メディアのレーベル「KarenT」により、iTunes Store、AmazonMP3、moraなどでMEIKOを用いた楽曲コンテンツが販売されている。

2024年6月現在、曲数は720、収録アルバムは300にのぼる(KarenT公式サイトの表示数より)。

プロジェクト・企画

周年記念企画
MK15th project
クリプトン社が主催するMEIKOとKAITOの周年記念プロジェクト。

模型

フィギュア、プラモデル、ドール(※初音ミクシリーズ、ピアプロキャラクターズとして展開されたものも記載する)。

  • 絵梦(エモン)トイズ
    • トレーディングミニフィギュア
  • KADOKAWA
    • 「摔倒的初音未来」シリーズ
  • グッドスマイルカンパニー
    • ねんどろいどシリーズ(通常、ぷち、どーる、さぷらいず)
    • どうぶつチャームストラップ
    • ポケマケット
    • あかたんず
  • グルーヴ
    • プーリップ
  • セガ
    • セガプライズ
  • ストロンガー
    • 「初音ミク ~花色衣~」シリーズ
  • タイトー
    • プライズ
  • タカラトミー
    • こえだらいず
    • 肩ズンFig.
  • バンダイナムコグループ
    • 初音ミクスイング
    • あそーと
    • SNOW MIKU COLLECTION
  • プライム1スタジオ
    • キュ―ティ1プラス
  • フリュー
    • スケール(1/7)
    • プライズ
  • ボークス
    • ドルフィー・ドリーム
  • マックスファクトリー
    • figma
  • リーメント
    • 初音ミクシリーズ
    • petadoll

作品

「悪ノ娘」ノベルシリーズ・「悪ノ大罪」シリーズ(著:悪ノP(mothy)、出版:PHP研究所)
mothy_悪ノPが手掛ける七つの大罪をモチーフにした「悪ノ大罪シリーズ」の各楽曲を原作として、ボカロ小説の先駆ともされる。小説においてもMEIKOをモチーフとする人物は各作品に登場するが、代表例は「ジェルメイヌ=アヴァドニア」である。両シリーズを併せて2010年から2017年に発売され、全12巻。
上記以外にも、特に「悪ノ大罪」シリーズ第2作目の小説『悪ノ大罪 悪食娘コンチータ』にて、MEIKOが用いられた「暴食(悪食)」にあたる楽曲「悪食娘コンチータ」を原作とし、同作品の主要人物「バニカ=コンチータ」のモチーフともなった。この影響もあり、両シリーズでのMEIKOモチーフの人物は、「悪食の悪魔」との契約者または悪魔そのものとして登場することが多い。
EXIT TUNES PRESENTS Meikonic feat. MEIKO
MEIKOの代表曲を多数収録した、MEIKOコンピレーションCD。

脚注

注釈

出典

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 ピアプロキャラクターズ.
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 柴那典 (2024年10月23日). “MEIKO20周年、クリプトン 佐々木渉が語る“VOCALOID黎明期”前夜の軌跡 「そのままでいてくれることが救い」”. Real Sound. blueprint. 2026年10月27日閲覧。
  3. 1 2 MIXING BOX 2008, p. 8-13.
  4. 1 2 3 4 5 ミク10周年特別号 2018, p. 9.
  5. 1 2 柴那典 2014, 4章1節.
  6. ↑ DIVAマスターブック 2010, 7章.
  7. ↑ ミクペディア 2013.
  8. 1 2 Quarterly8 2012, pp. 24–27.
  9. ↑ “MEIKO V3(メイコ V3)”. クリプトン・フューチャー・メディア. 2015年9月22日閲覧。
  10. 1 2 3 4 “バーチャルシンガー6名の歌声をまとめた新製品の予約を開始! 「初音ミクV6 AI」も年内リリースに向けて準備中!”. クリプトン (2024年8月1日). 2024年8月1日閲覧。
  11. ↑ 【マジカルミライ】初音ミク「マジカルミライ 2019」◇企画展レポート◇ - 初音ミク公式ブログ - クリプトン、2019年9月5日
  12. ↑ 【初音ミク「マジカルミライ 2024」】バーチャルシンガー製品関連ステージ - Youtube - クリプトン/ピアプロTV、2024年8月31日
  13. 1 2 初音ミクと仲間たち 2012, p. 23-27.
  14. ↑ 「CVシリーズの開発を終えて」『DTM magazine』(通号 184)2009.5増刊CV03巡音ルカ、寺島情報企画、54頁。
  15. ↑ “ピアプロ・キャラクター・ライセンス”. クリプトン・フューチャー・メディア. 2009年12月30日閲覧。
  16. 1 2 3 “初音ミクの誕生は僕にとって必然だった 伊藤 博之 クリプトン・フューチャー・メディア代表取締役”. ITpro.
  17. 1 2 『DTM magazine』(通号 173)2008.8、22頁。
  18. ↑ 岡田有花 (2008年2月22日). “=クリプトン・フューチャー・メディアに聞く(2):「初音ミク」ができるまで”. ITmedia. ITmedia News. 2026年10月28日閲覧。
  19. ↑ “ボーカロイド・コンテスト作品募集開始!”. DTMマガジン. 2006年4月14日. 2008年10月22日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2008年10月5日閲覧.
  20. ↑ 『日経エレクトロニクス』(973)[2008.3.10]、124頁。
  21. ↑ 『DTM magazine』(通号 173)2008.8、32頁。
  22. ↑ 『初音ミクMIXING BOX』講談社、2008年、初音ミク スペシャルファンブック30頁頁。ISBN 978-4-06-358260-4。
  23. ↑ 伊藤真広 (2011年12月8日). “パッケージイラストも再現可能、ねんどろいどのMEIKOが登場”. ASCII.jp. アスキー・メディアワークス. 2011年12月16日閲覧.

参考文献

ムック

新聞・タブロイド

雑誌

その他

関連項目

外部リンク