不揮発性メモリ

不揮発性メモリ(ふきはつせいメモリ、英: non-volatile memory、略語:NVM)とは、コンピュータで使われるメモリの一種で、電源が失われても保存された情報を保持するメモリである。不揮発性記憶装置(英: non-volatile storage)とも。

逆に電源を供給しないと記憶が保持できないメモリは揮発性メモリと分類される。

概説

現在よく知られているものとしてはフラッシュメモリ類(SSD, SDメモリ等)、EPROM、ハードディスク、光ディスクなどを挙げることができる。#種類

用途

パーソナルコンピュータではSSDやHDDなどが補助記憶装置として使用されている。

組み込みシステムでは不揮発性半導体メモリがオンチップまたは SoC 内に統合され、メインプログラムコードや設定値、暗号鍵やシステムパラメータの保管に使われる。これは eNVM(embedded non‑volatile memory)として知られる。

IoTモジュールや小型バッテリ駆動装置では、不揮発性メモリを活用することで消費電力を抑えつつデータの永続性を確保できるという利点がある。

ATMなどのミッションクリティカルな組込みシステムでは、不揮発性メモリ(NVM)が電源断時でもログやトランザクション情報、暗号鍵などの重要データを保持し続ける役割を果たす。

市場

不揮発性メモリ市場の市場規模は、2024時点で945億 米ドル(USD 94.52 billion)と推定された。市場規模予測では、不揮発性メモリの総市場が年々成長しており、パーソナルエレクトロニクス、データセンター、組込み機器など幅広い分野で需要が高まっている。

"次世代不揮発性メモリ"市場は年々拡大しており、デジタル化によるデータストレージ需要の高まりとともに、NAND フラッシュベースのストレージだけでなく、3D NAND、MRAM、ReRAM、PCMの技術進歩によっても牽引されている。

種類

不揮発性メモリには、ROM、フラッシュメモリ、ほとんどの種類の磁気記憶装置(ハードディスクドライブ、フロッピーディスク、磁気テープなど)、光ディスクなどがある。

アドレスを電気的に指定するもの(半導体メモリなど)と機械的に指定するもの(ハードディスク、光ディスク、磁気テープなど)に分類され、電気的にアドレス指定するものはビット単価が高価だが高速であり、機械的に指定するものはビット単価が安いが低速である。[要出典]

半導体メモリの不揮発性メモリ

主要なタイプとして、以下のようなものがある。

非半導体の不揮発性メモリ

半導体ではないが、可動部分がなく電気だけで読み書きが可能なメモリとして次のものがある。

機械的な可動部のある記憶装置は、記録媒体を読み書きする構造(ヘッド)を持つ。この場合回路レイアウトがデータ記憶密度の主たる要因ではないため、半導体メモリに比べて大容量にしやすい。

NVRAM

NVRAMは不揮発性RAM(non-volatile RAM)の総称だが、コンピュータ装置の設定情報などを記憶するための、小容量の不揮発性メモリを指してNVRAMと呼ぶことがある。SRAMとバックアップ電源によるものはNVSRAMとも呼ばれる。電源は外付けのものもあるが、ICパッケージ中にSRAMと小型電池を内蔵したものもある。

歴史

電源がなくても情報を保持する不揮発性メモリは、1950年代の磁気コアメモリによって登場していた。

1956年頃、米国の軍用電子機器企業America Bosch Armaの人物 Wen-Ting ChowによりPROM(Programmable Read‑Only Memory)に相当する基本的な永続記憶の原理が開発され、その頃は「constant storage matrix」と呼ばれていた。

1970年代初頭には、Intelが EPROM(Electrically Programmable Read‑Only Memory)や EAROM(Electrically Alterable ROM)を開発し、電気的に消去・書き換え可能な半導体不揮発性メモリの製品化が始まった。

1971年にはIntelが紫外線消去型EPROM(UV-EPROM、Ultra-Violet Erasable Programmable ROM)を発明した。UV-EPROMは、電子機器の開発工程においては画期的な製品でファームウェア開発工程を支える重要な存在となり、、マイクロコントローラー(MCU)のプログラム格納用メモリとしては、ユーザーが内容を書き換えられる唯一の不揮発性メモリであり、UV-EPROMが極めて重要な状況は1990年代にフラッシュメモリが登場するまで続いた。

仕様比較

2007年3月時点の仕様 2.5" HDD1" マイクロドライブフラッシュメモリ光ディスク磁気テープMRAM
機種 Hitachi Travelstar 5k160 Hitachi Microdrive 3k8 Hynix HY27UH08AG5M ブルーレイ HP Ultrium 960 Everspin MR2A16A
記憶密度 (GBit/cm2) 20.318.46.73.80.0470.0021
記憶容量 (GByte) 16082504000.004
ビット単価 (Eur/GByte) 1.59.06.01.250.07535000
デバイス単価 (Eur) 1108714635234017.4
媒体単価
(Eur、可搬媒体の場合)
ndndnd4030nd
データレート (Mbit/s) 5408023144640436
アクセス時間
(ms、平均/典型)
11120.025180720000.000035
電力消費量
(W、平均)
1.80.60.125200.08
寸法
高さ×幅×奥行き (cm)
0.95x7x100.5x3x40.1x1.2x24x15x192x10x100.1x1x1.8

他

現在の技術に対する感想? 開発者に対するウィキペディア編集者からの要望?

[誰?]「不揮発性メモリは現在のところ、主に補助記憶装置(ストレージという語もあるが、この節ではメモリで統一する)として使われている。主記憶装置にはもっぱら揮発性メモリが使われている。主記憶がもし不揮発であれば、コンピュータの電源を断続する際に現在のような「シャットダウン → 再起動」というシーケンスが不要になり、ノートパソコンの「ハイバネーション」のような運用を、補助記憶への退避と復帰を行わずにできるなどという利点があるが、現在のところ主に速度面であまり現実的にはなっていない。[要出典]」

いくつかの企業が価格面でも性能面でも揮発性のRAMに匹敵する不揮発性メモリを開発中である(以下の「その他」の節を参照)。不揮発性メモリを主記憶装置に利用できれば省電力になるだけでなく、コンピュータの電源をいつでも切ったり入れたりでき、時間のかかるスタートアップやシャットダウンが不要になる。ノーマリーオフコンピューティングの鍵となる技術のひとつである。[要出典]

脚注

  1. ↑ “What are non-volatile memories and solid-state drives?”. 2025年12月18日閲覧。
  2. ↑ “Ultimate Guide: Embedded Non-Volatile Memory (eNVM)”. 2025年12月18日閲覧。
  3. ↑ “オールインワンの不揮発性メモリで超低電力IoTモジュール設計に新たな可能性を提供”. 2025年12月18日閲覧。
  4. ↑ “ATMにおける不揮発性メモリ(NVM)の役割と応用技術”. 2025年12月18日閲覧。
  5. 1 2 “不揮発性メモリ市場分析”. 2025年12月18日閲覧。
  6. ↑ “次世代不揮発性メモリの世界市場規模調査”. 2025年12月18日閲覧。
  7. 1 2 By Russell Kay, ComputerWorld. “Flash memory.” June 7, 2010.
  8. 1 2 The Emergence of Practical MRAM Archived 2011年4月27日, at the Wayback Machine. Crocus Technology
  9. ↑ Tower invests in Crocus, tips MRAM foundry deal EETimes
  10. ↑ 「家電待機電力が3分の1 パナソニック、次世代メモリー投入 12年から量産」 日本経済新聞 2011年5月17日
  11. ↑ 新メモリ(高速不揮発性抵抗変化型メモリ、ReRAM)の開発に成功
  12. ↑ Thinfilm and InkTec awarded IDTechEx' Technical Development Manufacturing Award IDTechEx, April 15th 2009
  13. ↑ PolyIC, ThinFilm announce pilot of volume printed plastic memories EETimes, September 22nd 2009
  14. ↑ All set for high-volume production of printed memories Printed Electronics World, April 12th 2010
  15. 1 2 “SanDiskが語る、半導体不揮発性メモリの歴史”. 2025年12月18日閲覧。
  16. ↑ Informationstoragecourse2007