WISPIT 2

WISPIT 2
VLT SPHEREで観測した WISPIT 2 の周囲の星周円盤の画像。原始惑星 WISPIT 2b は円盤の右下にある隙間の中、WISPIT 2c は内側の円盤の内縁付近に位置している。クレジット: ESO/R. F. van Capelleveen et al.
VLT SPHEREで観測した WISPIT 2 の周囲の星周円盤の画像。原始惑星 WISPIT 2b は円盤の右下にある隙間の中、WISPIT 2c は内側の円盤の内縁付近に位置している。
クレジット: ESO/R. F. van Capelleveen et al.
星座 わし座
見かけの等級 (mv) 11.197±0.01
分類 連星系
前主系列星
位置
元期:J2000
赤経 (RA, α)  19h 23m 17.0332237176s
赤緯 (Dec, δ) −07° 40′ 55.075695024″
視線速度 (Rv) −16.23±14.58 km/s
固有運動 (μ) 赤経: 6.308 ミリ秒/年
赤緯: -27.138 ミリ秒/年
年周視差 (π) 7.4649 ± 0.0214ミリ秒
(誤差0.3%)
距離 437 ± 1 光年
(134 ± 0.4 パーセク)
軌道要素と性質
元期:MJD 61101.7967 ± 2.7(近点通過)
軌道長半径 (a) 0.072 au (15.54 R☉)
離心率 (e) ≈0
公転周期 (P) 4.8 ± 0.1 日
軌道傾斜角 (i) 45.66°
(外側の星周円盤と同傾斜と仮定)
準振幅 (K) 25.17 ± 0.05 km/s
惑星の数 2
物理的性質
半径 主星: 1.418±0.004 R☉
質量 主星: 0.97 M☉
伴星: 0.33 M☉
表面重力 (log g) 主星: 4.00±0.25
自転周期 主星: 4.7004 日
スペクトル分類 主星: K3
光度 主星: 0.699±0.021 L☉
有効温度 (Teff) 主星: ≈4,700 K
年齢 510+240
−130
万年
他のカタログでの名称
TIC 98898373、TYC 5709-354-1、IRAS 19205-0746、2MASS J19231702-0740550、WISE J192317.04-074055.2
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WISPIT 2(TYC 5709-354-1とも呼称される)とは、地球から見てわし座の方向にある前主系列星である。さそり–ケンタウルス座アソシエーションの一部で、おそらくTheia 53に属しているとされる。WISPIT 2 の周囲には直接撮影によって複数のリングを持つ星周円盤が存在していることが明らかになっており、円盤の隙間には原始惑星が2つ公転していることが知られている。この原始惑星はHα線でも検出されており、星周円盤に囲まれていることが示されている。

2026年7月、WISPIT 2 が近接した2つの恒星から成る分光連星であることが分光観測から明らかになったと公表された。質量が大きい主星は太陽とほぼ同程度、質量が小さい伴星は太陽の約3分の1と推定されており、伴星は主星の周りをわずか約5日の公転周期で公転している。このことから、WISPIT 2 を公転している2つの原始惑星は周連星惑星ということになり、WISPIT 2 系は原始惑星が直接観測された星周円盤を持つ連星系となり、連星系における惑星の形成や星周円盤進化を研究する上でのベンチマークとなったと評されている。

星周円盤

WISPIT 2 の周囲の星周円盤は遷移円盤に分類され、内部に空洞があることを示している。円盤には4つのリングと、約 68 au のところに1つの顕著な隙間がある。最も外側のリングは WISPIT 2 から 316 au 離れた場所に位置し、円盤は WISPIT 2 から2.8秒角 (約 380 au)離れた部分まで検出された。円盤の軌道傾斜角は約44度から46度である。

惑星系

LBT/LMIRcamで観測されたWISPIT 2原始惑星系の熱赤外線画像。クレジット: Laird Close & Gabriel Weible(アリゾナ大学)

超大型望遠鏡VLT のSPHERE、マゼラン望遠鏡の MagAO-X、大双眼望遠鏡の LMIRcamによる観測で、円盤の3つの隙間のうち1つに惑星 WISPIT 2b が存在することが2025年に明らかになった。WISPIT 2b は主星とともに移動していることが確認され、2023年10月から2025年4月にかけて撮影された画像において軌道運動が見られる。WISPIT 2b の質量は 約5 MJ で、円盤内部の隙間を形成した要因となっている。WISPIT 2b はHα線でも検出されており、星周円盤から物質を集積していることが示唆されている。このことから、WISPIT 2b は PDS 70 系の惑星や、2MJ1612b、そしておそらく LkCa 15b と類似していると考えられている。

さらにもう1つ、WISPIT 2b より内側を公転する惑星候補「CC1」が検出されたが、この惑星候補は塵の塊である可能性もあり、惑星であると確認するにはさらなる観測が必要であると考えられていた。そして2026年3月に発表された研究により、分光観測の結果から、惑星候補「CC1」が確かに惑星であることが確認され、現在は WISPIT 2c と命名されている。

WISPIT 2の惑星
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
(天文単位)
公転周期
(年)
軌道離心率 軌道傾斜角 半径
c 8 - 12 MJ 15 — — — 1.78 - 2.20 RJ
リング3 38.44±0.09 au 44.95±0.39° —
b 5.3±1.0 MJ 57.5 — — — 1.6±0.2 RJ
隙間3 69.0±0.6 au 44.2±0.8° —
リング2 96.7±0.6 au 41.8±0.6° —
リング1 163.6±2.9 au 45.4±1.1° —
リング0 316.4±4.5 au 43.6±1.5° —

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ↑ このウェブサイトで赤経・赤緯から導出
  2. 1 2 パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算

出典

  1. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 “TYC 5709-354-1”. SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2025年9月16日閲覧.
  2. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 Bürgy, Cade J.; Benisty, Myriam; Alqubelat, Hala et al. (2026). “A closer look at the WISPIT 2 host star. Evidence for a spectroscopic binary”. Astronomy and Astrophysics. arXiv:2607.22405. doi:10.1051/0004-6361/202662086.
  3. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 van Capelleveen, Richelle F.; Ginski, Christian; Kenworthy, Matthew A.; Byrne, Jake; Lawlor, Chloe; McLachlan, Dan; Mamajek, Eric E.; Stolker, Tomas et al. (2025-08-26). “WIde Separation Planets In Time (WISPIT): A Gap-clearing Planet in a Multi-ringed Disk around the Young Solar-type Star WISPIT 2”. The Astrophysical Journal Letters 990 (1): L8. doi:10.3847/2041-8213/adf721. ISSN 2041-8205.
  4. 1 2 3 Lawlor, Chloe; Capelleveen, Richelle F. van; Bourdarot, Guillaume et al. (2026). “Direct spectroscopic confirmation of the young embedded proto-planet WISPIT 2c”. The Astrophysical Journal Letters 1000 (2): 15. arXiv:2603.22085. Bibcode:2026ApJ..1000L..38L. doi:10.3847/2041-8213/ae4b3b. L38.
  5. 1 2 3 4 5 6 Close, Laird M.; van Capelleveen, Richelle F.; Weible, Gabriel; Wagner, Kevin; Haffert, Sebastiaan Y.; Males, Jared R.; Ilyin, Ilya; Kenworthy, Matthew A. et al. (2025-08-26). “Wide Separation Planets in Time (WISPIT): Discovery of a Gap Hα Protoplanet WISPIT 2b with MagAO-X”. The Astrophysical Journal Letters 990 (1): L9. doi:10.3847/2041-8213/adf7a5. ISSN 2041-8205.

関連項目