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種類 | シスコシステムズの製品ブランド(買収前は独立企業・NASDAQ上場) |
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| 業種 | 情報・通信業 |
| 設立 | 1995年2月(Silver Computing, Inc.として事業開始) |
| 創業者 | スブラ・アイヤー(Subrah S. Iyar)ほか |
| 本社 | アメリカ合衆国 カリフォルニア州サンノゼ(シスコシステムズ本社) |
主要人物 |
チャック・ロビンス(Chuck Robbins・シスコシステムズCEO) ジーツ・パテル(Jeetu Patel・シスコシステムズ プレジデント兼最高プロダクト責任者・2025年5月 - ) アヌラグ・ディングラ(Anurag Dhingra・Collaboration担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー・2024年 - ) |
| 製品 | Webex Suite(Webex Meetings・Messaging・Calling・Webinars・Eventsなど)、Webex Contact Center、CPaaS、Collaboration Devices、Webex Control Hub |
| 売上高 | 43億米ドル(シスコシステムズ「Collaboration」製品カテゴリの製品売上・2026年7月期) |
| 親会社 | シスコシステムズ(2007年5月 - ) |
| ウェブサイト |
www |
Cisco Webex(シスコウェベックス、シスコウェブエックス、Webex by Cisco)は、アメリカ合衆国のシスコシステムズが提供するWeb会議・ビデオ会議・メッセージング・クラウド電話・ウェビナー・コンタクトセンター・会議室デバイスなどのコラボレーション製品群の総称(ブランド)であり、またその起源となった同名の企業(WebEx Communications, Inc.)を指す。
企業としてのWebExは1995年2月にSilver Computing, Inc.として事業を開始し、1999年2月にWeb会議サービス「WebEx Meeting Center」の提供を始め、2000年7月にNASDAQへ上場した。2007年5月にシスコシステムズが約32億米ドルで買収し、同社の製品群の一部となった。2018年4月には「Cisco Spark」とプラットフォームを統合して「Cisco Webex」ブランドに再編され、2021年10月以降は「Webex by Cisco」の表記も用いられている。シスコシステムズの製品区分ではNetworking・Security・Collaboration・Observabilityの4カテゴリのうちCollaborationカテゴリを構成し、2026年7月期の同カテゴリの製品売上は43億米ドルであった。
2020年の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、在宅勤務や遠隔授業の基盤として利用が急増し、2020年4月に利用者が5億人を超えた。シスコシステムズはその後、オフィス勤務と在宅勤務を組み合わせるハイブリッドワークを重点領域と位置づけ、背景ノイズの除去やリアルタイム翻訳、AIアシスタントなどの機能を拡充している。日本ではシスコシステムズ合同会社が提供しており、2019年には東京オリンピック・パラリンピックに向けたテレワーク普及のための特別プランを、2020年には感染症対策として90日間の無償ライセンスを提供するなど、テレワーク導入向けの施策を実施した。
Webexは、シスコシステムズが「Collaboration」カテゴリとして区分する製品群の中核ブランドである。同社の2026年7月期の年次報告書によれば、Collaborationポートフォリオは「Webex Suite」「Collaboration Devices」「Contact Center」「Communication Platform as a Service(CPaaS)」の4つで構成され、永続ライセンスおよびサブスクリプションによるソフトウェアとハードウェアから成る。シスコシステムズはこれらを、オンプレミス・クラウド・ハイブリッドクラウドのいずれの環境でも提供できるエンドツーエンドのコラボレーションソリューションと位置づけ、AIと機械学習の機能をWebexポートフォリオ全体に組み込んでいると説明している。2026年9月時点の公式サイトでは、Webex SuiteはMeetings・Calling・Messaging・Webinars・Events・Video Messaging・Polling・Whiteboardingの8つの機能(ワークロード)を1つのプラットフォームで提供するものとして紹介されている。
シスコシステムズによる買収以前、社名および製品名は「WebEx」(Eが大文字)と表記されていた。2018年4月18日(米国時間)にシスコシステムズが「Cisco Spark」と「Cisco Webex」のプラットフォームを集約して製品群を「Cisco Webex」ブランドに再編してからは、「Cisco Webex Meetings」「Cisco Webex Teams」「Cisco Webex Board」のように「Webex」の表記が用いられている。2021年10月には、シスコシステムズのニュースリリースの表題に「Webex by Cisco」の表記が現れ、2022年1月のアメリカ航空宇宙局(NASA)の発表や2026年9月時点の公式サイトでも同じ表記が使われている。
WebexはSaaSとして提供され、有料プランのほかに無料プランが用意されている。2026年4月時点の料金ページでは、無料の「Webex Free」は1回のミーティングが最長40分・参加者100人までで回数は無制限、登録にクレジットカードや支払い情報は不要とされ、最上位の「Webex Enterprise」は参加者1,000人までのミーティングやクラウド録画、FedRAMP認定のセキュリティ、AI Assistantを含むとされている。有料機能を使うホストにはライセンスが必要だが、参加者はライセンスなしでミーティングに参加できる。


WebExは、1995年2月に「Silver Computing, Inc.」として事業を開始した。社名はその後、1997年6月にStellar Computing Corporation、同年12月にActiveTouch Systems, Inc.、1998年5月にActiveTouch, Inc.、1999年12月にWebEx, Inc.と改められ、2000年7月にデラウェア州でWebEx Communications, Inc.として再法人化された。共同創業者のスブラ・アイヤー(Subrah S. Iyar)は1997年2月から会長兼最高経営責任者を務めた。アイヤーは創業前にQuarterdeck Corporationの北カリフォルニア・インターネット事業部門の副社長兼ゼネラルマネージャーを務め、それ以前はApple Computerとインテルで事業開発・マーケティング・営業の要職にあった。
同社は1998年初めに自社技術に基づく対話型コミュニケーションソフトウェアを出荷し、当初はエンドユーザーへのソフトウェアライセンス販売を事業の中心としていた。1999年2月に初の実時間・対話型マルチメディアコラボレーションサービス「WebEx Meeting Center」の提供を開始してからは、ホスト型サービスのサブスクリプション提供へ事業の軸を移し、エンドユーザー向けのソフトウェアライセンス販売を終了した。普通株式は2000年7月28日にNASDAQで取引を開始し、ティッカーシンボルは「WEBX」であった。
WebExのサービスは、同社独自の情報スイッチング技術「MediaTone」を基盤とし、ネットワーク運用センターで常時監視される私設の交換型ネットワーク「WebEx MediaTone Network」上で提供された。2005年1月にはカリフォルニア州サンタクララの建物を本社とした。
2005年9月9日、WebExはマサチューセッツ州バーリントンのIntranets.com, Inc.を約4,270万米ドルの現金で買収し、従業員数100人未満の中小企業市場への展開を広げた。Intranets.comはディスカッションフォーラム・ドキュメント共有・カレンダーなどのオンラインコラボレーションツールを提供しており、買収後は完全子会社「WebExOne」として運営された。2006年6月27日にはWebExの株式がNASDAQの新区分「グローバル・セレクト・マーケット」に選ばれた。また同社は、Webコラボレーションの「マッシュアップ」プラットフォームとして「WebEx Connect」を打ち出し、2006年12月期の年次報告書にもその名称がサービス名として記載されている。2006年12月期の純収入は3億8,001万米ドル(2005年は3億842万米ドル)、2006年12月31日時点の常勤従業員数は2,189人であった。
2007年3月15日、WebEx Communicationsはシスコシステムズおよびその完全子会社Wonder Acquisition Corp.と合併契約を締結し、両社は同日(米国時間)に買収の合意を発表した。買収条件はWebEx株式1株あたり57.00米ドルの現金で、買収総額は約32億米ドル、WebExの保有現金などを勘案した正味の買収金額は約29億米ドルと報じられた。シスコシステムズは買収の目的を「中小企業向けのユニファイド・コミュニケーションの促進」と説明し、WebExのソフトウェアとホスト型サービスを同社の「Unified Communications」製品群に組み入れるとした。当時のシスコシステムズはコラボレーションツールを販売していたものの、WebExのようなホスト型サービスは持っていなかった。また、技術と販売の両面でWebExを段階的に統合していく長期計画を示した。
シスコシステムズは2007年3月27日にWonder Acquisition Corp.を通じて公開買付けを開始し、同年5月21日の期限までに発行済普通株式の約90.1%を取得した。2007年5月25日、Wonder Acquisition Corp.をWebEx Communicationsに吸収合併させる形で買収を完了し、同日の取引終了をもってWebEx株式はNASDAQの上場を廃止された。シスコシステムズの2007年7月期の年次報告書は、Unified Communications製品群に「WebEx Communications, Inc.の買収で得たWebベースのコラボレーション製品」が含まれると記載している。
2014年11月17日(米国時間)、シスコシステムズは自社イベント「Collaboration Summit 2014」で、チャット・音声・動画・ミーティング・コンテンツ共有を1つにまとめたモバイルコラボレーションアプリ「Project Squared」を発表した。Project Squaredはモバイルファーストで設計され、Web会議・テレプレゼンス・音声・ユニファイドコミュニケーションが利用するシスコシステムズのコラボレーションクラウド上に構築されていた。Project Squaredはその後「Cisco Spark」として提供され、会議室向けの「Cisco Spark Board」などのデバイスも展開された。
2017年10月23日(米国時間)、シスコシステムズはクラウドPBX・ユニファイドコミュニケーション・チームコラボレーション・コンタクトセンター関連のソリューションを手がけるBroadSoftを、1株あたり55米ドルの現金・総額約19億米ドルで買収すると発表した。買収は2018年2月1日に完了し、BroadSoftはシスコシステムズの完全子会社となった。
2018年4月18日(米国時間)、シスコシステムズは「Cisco Spark」と「Cisco Webex」のプラットフォームを集約し、Web会議サービスを「Cisco Webex」ブランドで再編すると発表した。従来のWebexは「Cisco Webex Meetings」として一新され、Sparkはチームコラボレーション向けの「Cisco Webex Teams」に、「Cisco Spark Board」は「Cisco Webex Board」に改称された。統合により1つの会議に1,000人まで参加できるようになり、テレビをWeb会議用デバイスとして使う新端末「Cisco Webex Share」も発表された。Cisco Spark Assistantを改称した会議用の音声アシスタント「Webex Assistant」も対応端末を広げた。統合以前はSparkとWebexがそれぞれ独自のミーティング機能を持っていたが、統合後はミーティング機能がWebexに一本化され、Webex MeetingsアプリケーションとWebex Teamsアプリケーションのどちらからでも同じ会議に参加できるようになった。
2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症の流行により、在宅勤務・遠隔授業の基盤としてWebexの利用は急増した。シスコシステムズの2020年2月から4月期の決算発表によれば、Webexの利用者は2か月間で3倍以上に増え、2020年4月に5億人を超えた(詳細は後述)。
シスコシステムズは2020年8月25日(米国時間)、人工知能を用いて発言を強調し背景の雑音を取り除く技術を持つスタートアップBabbleLabsの買収を発表し、同年9月にはディープラーニングを用いたバックグラウンドノイズ除去機能をWebexに導入した。2020年12月7日(米国時間)には、質疑応答や投票など会議参加者のエンゲージメント機能を提供するスロバキアのSlidoと、企業と顧客のやり取りを管理するクラウドコミュニケーションソフトウェアを手がける英国のIMImobile(買収額は債務を含め約7億3,000万米ドル)の買収を同日に発表した。2020年12月17日のデジタルコラボレーションイベント「WebexOne」では、通話・会議・メッセージングを1つのアプリで扱う新しいWebexと、ノイズ除去やリアルタイム翻訳を含む50以上のアップデート、新しいデスク向けデバイスを発表した(機能の詳細は後述)。
2021年5月12日(米国時間)には、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッドイベントの企画を支援するアメリカのSocio Labsの買収を発表した。TechCrunchは、Slidoの買収と合わせて、主にビデオ会議用のアプリケーションであるWebexをより包括的なイベントプラットフォームへ拡張することが目的であると報じた。2021年には、電話・会議・メッセージ・投票・イベントなどのツールを1つのアプリケーションに集約した「Webex Suite」が投入され、日本では2021年7月7日に発表された。2021年10月19日(米国時間)、シスコシステムズは「Webex by Cisco」の表記を用いたニュースリリースで、個人所有の携帯電話に業務用のWebex Calling回線を追加する「Webex Go」などの新機能と、IMImobileの技術のWebexへの統合を発表した。
2022年10月12日(米国時間)、シスコシステムズとマイクロソフトはマイクロソフトの年次カンファレンスIgniteで提携を発表し、2023年前半から「Certified for Microsoft Teams」認定を受けたCisco RoomおよびDeskデバイス上でMicrosoft Teamsをネイティブに実行できるようにするとした。シスコシステムズが同認定プログラムに参加するのはこれが初めてで、当初は主要な会議デバイス6機種と周辺機器3種が対象とされ、認定デバイスはMicrosoft TeamsのAdmin CenterとWebex Control Hub(発表当時の表記はCisco Control Hub)の双方から管理できるとされた。
無人月周回ミッション「アルテミスI」では、ロッキード・マーティンがAmazonおよびシスコシステムズと提携して開発した技術実証ペイロード「Callisto」がオリオン宇宙船に搭載されることになり、音声アシスタントAmazon Alexaと、「Webex by Cisco」のビデオ会議ソフトウェアを載せたタブレットを用いて、ジョンソン宇宙センターのミッションコントロールセンターとの間で映像・音声を伝送する試験を行うこととされた。NASAは2022年1月の発表で、この試験は深宇宙ネットワーク(Deep Space Network)上で圧縮技術を用いたビデオコラボレーションを利用できることを実証するものだと説明した。
2024年2月6日、シスコシステムズはAppleと共同で「Webex for Apple Vision Pro」を発表し、Apple Vision Pro向けにWebexを提供した。2024年夏には、Webex Meetingsのエンジニアリング責任者やCisco CollaborationのCTO兼CPOを歴任したアヌラグ・ディングラ(Anurag Dhingra)がCollaboration担当のシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーに就任した。2025年3月には、Cisco Room Bar ProとWebex for Apple Vision Proを組み合わせて没入型の会議空間を構成するとされる「Cisco Spatial Meetings」の一般提供と、Webex Contact Center向けの「Webex AI Agent」(同年3月31日に一般提供開始)が発表された。
Webex Appは、通話・会議・メッセージングを1つのアプリケーションで扱う共通クライアントで、2020年12月の「WebexOne」で発表された新しいWebexを構成する。同時に発表された「Webex App Hub」は、Box・Dropbox・Salesforce・ServiceNow・Miro・Workplace from Facebookなどサードパーティーのアプリケーションを会議に追加して連携させる仕組みである。Webex Suiteは、クラウド電話・会議・メッセージ(ビジネスチャット)・投票・イベントなどのコミュニケーションツールを1つのアプリケーションに集約したコラボレーションプラットフォームで、シスコシステムズは2021年7月の日本での発表時に、過去10か月間に発表したハイブリッドな働き方に向けた800以上の新機能が含まれると説明した。このときの新機能として、Slidoによる質疑応答・投票・クイズ、周囲の話し声などを除去して自分の声だけを拾う「My Voice Only」、共有資料と発表者の映像を合成する「イマーシブシェア」、会議室からの複数参加者をカメラが個別に認識して1人1フレームで映す「People Focus」、機密情報の投稿を防ぐメッセージングのリアルタイムのデータ損失防止機能、個人の会議時間やワークライフの状況を可視化する「Webex People Insights」などが紹介された。2026年9月時点の公式サイトでは、Webex SuiteはMeetings・Calling・Messaging・Webinars・Events・Video Messaging・Polling・Whiteboardingの8つの機能を1つのプラットフォームで提供するものとして紹介されている。
Webex Meetingsは、Webexの主要なWeb会議・ビデオ会議サービスである。2018年4月のプラットフォーム統合時に1つの会議に1,000人まで参加できるようになり、2019年8月時点でも主催者ライセンスがあれば最大1,000人が参加できる会議を回数の制限なく開催できると説明されていた。2020年12月には、ノイズ除去と音声強調、文字起こしとクローズドキャプション(字幕)、ハイライトとアクションアイテムの強調、ビデオレイアウトの強化、クリック1回で会議を始める機能などが追加された。リアルタイム翻訳は2020年12月の発表時点で日本語を含む9言語への対応が予告され、2021年11月時点では108の言語をリアルタイムで翻訳し、字幕や議事録をAIで自動生成する機能として説明されている。
Webex Suiteには、ウェビナー向けのWebinarsと、イベント向けのEventsが含まれる。ハイブリッドイベントの領域では、2021年5月に買収を発表したSocio Labsについて、シスコシステムズはそのツールをWebexプラットフォームへ組み込む一方、Socioを独立した製品としても存続させる計画を示した。参加者からの質問の投稿と投票(他の参加者が支持する質問を上位に押し上げる)や、モデレーターによるリアルタイムの投票を提供するSlidoは、2020年12月の買収発表以降Webexに統合され、Microsoft Teams・Zoom・Google Meetなど他社のプラットフォームとの連携も継続する方針が示された。
Webex Callingは、企業の電話システムをクラウドで提供するサービス(クラウド電話・クラウドPBX)である。2021年10月には、個人所有の携帯電話に業務用の回線としてWebex Callingの機能を追加し、業務用と私用の端末を2台持つ必要をなくす「Webex Go」と、Webex Appから発信した緊急通報に発信者の正確な位置情報を伝えるNomadic E911が発表された。日本では、あおぞら銀行が電話業務をハイブリッド化し、オフィス・自宅・出先のいずれからでも従来の0ABJ番号をそのまま利用する事例が2021年に紹介されている。
Webex Contact Centerはクラウド型のコンタクトセンターサービスで、2020年12月の発表では、最小規模のコンタクトセンターから数千のエージェントを持つ大規模なものまで対応するとされた。2020年12月に買収を発表したIMImobileは、企業と顧客のやり取りを管理するクラウドコミュニケーションソフトウェアの提供事業者で、買収完了後にそのチームはシスコシステムズのContact Center事業部門に加わった。ZDNET Japanは当時のシスコシステムズの説明として、在宅勤務という新たな働き方に対応するため、企業が「サービスとしてのコンタクトセンター」(CCaaS)の提供に向けて動いていると報じている。シスコシステムズのCPaaS(Communication Platform as a Service)は、コミュニケーションチャネルと既存の業務システムを統合して顧客・従業員とのやり取りの自動化を可能にするクラウドコミュニケーションプラットフォームと説明されており、2021年10月には、IMImobileの技術のWebexへの統合と、同社のCPaaS製品「imiconnect」へのWebexの映像技術の追加が発表された。2024年にCollaboration担当の責任者となったアヌラグ・ディングラは、就任後に最初に行ったことの1つとしてコンタクトセンター事業とCPaaS事業の統合を挙げている。2025年3月31日には、Webex Contact Centerと統合して顧客からの問い合わせに自動応答する「Webex AI Agent」の一般提供が始まった。同時期に、電子カルテ(EHR)システムの中でやり取りを管理するEpicとのネイティブ統合のベータ提供も始まった。
Webexブランドのハードウェアには、個人のデスク向けのDesk Devices、会議室向けのRoom Devices、周辺機器、電話機、ヘッドセット、カメラ、デジタルホワイトボードがあり、公式サイトはプラットフォーム横断の構成要素としてWebex AI・Control Hub・相互運用性・RoomOSを挙げている。2018年4月にはCisco Spark BoardがCisco Webex Boardに改称され、テレビをWeb会議用デバイスにする小型アダプタ「Cisco Webex Share」が製品化された。2020年12月には、顔認証や占有メトリクスなどの機能を備えるUSBカメラ「Webex Desk Camera」、複数人が1つのデスクを共有するホットデスキング向けの「Webex Desk Hub」、ノイズキャンセル機能やバーチャル背景・顔認証を備えるオールインワンデバイス「Webex Desk」が発表された。日本では2021年1月20日に、Cisco Webex Desk ProやCisco Webex Room Kitシリーズなどのビデオ会議デバイスを年額または月額のサブスクリプションで利用できる「Hardware as a Service for Webex Devices」の提供が始まり、従業員宅への機材配送・回収やキッティングもサービスに含まれた。2022年10月には、Microsoft Teams認定を受けたCisco RoomおよびDeskデバイスで2023年前半からMicrosoft Teamsをネイティブに実行できるようにすると発表された。
Webex Control Hubは、Webexの管理・プロビジョニング・分析・トラブルシューティングを一元的に行う管理ポータルで、シスコシステムズはこれを「管理、プロビジョニング、分析、トラブルシューティング、高度な機能のためのコマンドセンター」と説明し、デバイス・会議・メッセージ・通話から得られたデータからコラボレーション体験の管理に使えるインサイトを引き出すとしている。2025年3月には、IT管理者がAI機能の利用状況やトレンドをControl Hub内で分析できる機能も発表された。
会議品質の可視化には、シスコシステムズのデジタルエクスペリエンス監視サービス「ThousandEyes」との連携が提供されている。Webexクラウドの一部を顧客の構内に配置してメディア処理を行うWebex Video Meshのノード上でThousandEyes Enterprise Agentを稼働させることで、Video MeshサーバーからWebexクラウドまでのネットワーク経路を可視化でき、シスコシステムズは、会議のメディア品質の問題の多くが企業ネットワークやインターネットサービスプロバイダー側で生じるため、この連携が問題箇所の特定を容易にすると説明している。Webexの稼働状況を外部のオブザーバビリティ基盤に取り込むインテグレーションも存在し、Datadogのマーケットプレイスには、組織内で進行中の会議数や参加者数、ライセンスの消費状況、デバイスやワークスペースの情報をメトリクスとして取り込むWebexインテグレーション(RapDev開発)が掲載されている。
Webexには、2018年のプラットフォーム統合時にCisco Spark Assistantを改称した会議用の音声アシスタント「Webex Assistant」が用意され、2020年9月にはBabbleLabsの買収で得たディープラーニングによるバックグラウンドノイズ除去機能が導入された。この機能は当初オプションであったが、2021年3月のリリース41.3以降はノートパソコン用・スマートフォン用のWebex Appのすべてのバージョンで利用できるようになり、シスコシステムズは2021年6月時点で、導入以降に約2億7,000万時間分の音声からノイズを除去したと公表した。2020年12月には、参加者のボディランゲージを認識して反応を自動送信するジェスチャー認識や、リアルタイム翻訳、会議のハイライトとアクションアイテムの抽出などのAI機能が発表された。
Webex Suiteに統合された「Cisco AI Assistant」は、メッセージの書き換え(誤りの修正やトーンの調整)、スペース内メッセージのリアルタイム翻訳、メッセージスレッドや未読メッセージを含むスペースの要約、ミーティングの要約などを提供する。コンタクトセンター向けの「Cisco AI Assistant for Webex Contact Center」には、通話の転送時や中断時のサマリー、トピック分析、顧客満足度スコアの自動算出などに加え、2025会計年度第2四半期(2024年11月 - 2025年1月)にエージェント向けの回答候補の提示とリアルタイム文字起こしが追加された。2025年3月にはSalesforce・ServiceNow・Jiraと連動するワークフロー自動化や、Webex App内で全社員が顧客対応を行う「Webex Calling Customer Assist」の提供予定も発表された。
シスコシステムズは、2021年7月のWebex Suiteの発表時に、機密情報の投稿を自動的に遮断・削除するメッセージングのリアルタイムのデータ損失防止機能と、エンドツーエンドのID確認による暗号化の拡張などの強化オプションを提供すると説明した。2026年4月時点の料金ページでは、最上位プランのWebex EnterpriseにFedRAMP認定のセキュリティが含まれるとされている。日本では2023年3月16日にCisco Webex Suiteが政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)のクラウドサービスリストに登録され、シスコシステムズはこのほかにSOC 2、ISO/IEC 27001:2013、ドイツのC5、オーストラリアのIRAP、スペインのENSなどの認証を取得しているとしている。日本の教育機関向けには、2020年にGIGAスクール構想で想定される持ち帰り学習や家庭内授業を安全に行うために、Webex製品群にクラウド型セキュアインターネットゲートウェイ「Cisco Umbrella」と多要素認証・デバイス可視化製品「Duo Security」を組み合わせたパッケージが提供された。
Webexは、2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、在宅勤務・遠隔授業の基盤の1つとして利用が急増した。シスコシステムズは2020年5月13日(米国時間)の2020年2月から4月期の決算発表で、Webexの利用者が2か月間で3倍以上に増えて4月に5億人を超え、4月の利用時間の合計は250億分と2月の3倍以上に達し、需要に応えてシステムの能力を2月時点の3倍に増やしたと説明した。
シスコシステムズのWebex Platform Organizationの担当ディレクターが2020年10月に公表した技術記事は、この増強の経過を次のように説明している。Webexの運用監視は2020年2月3日に中国からの通信量の急増を検知し、同地域では最終的に2020年1月の基準値に対して22倍の通信量増加に対応した。同社は2月下旬にピーク利用の増加を最大200%と見込むシナリオを策定して世界各地で設備の増強を進め、パブリッククラウド上にもバースト用の容量を確保した。2020年3月上旬には在宅移行を支援するために無料版Webexの制限を緩和し、会議時間の制限をすべて撤廃して1会議あたり最大100人までの参加を認め、世界各地からの電話ダイヤルインも提供した。同社はこの措置の対象として企業・学校・病院・政府機関を挙げている。3月下旬には、ビデオ参加率が高く録画の利用が多いといった固有の利用パターンを持つ教育分野の顧客が新たな利用者層として現れ、4月後半には利用者基盤がさらに25%以上増加し、2020年5月の利用は2020年2月の基準値の400%に達した。同記事は、この増強対応が低利用期からピークまで約100日間続いたとし、2020年10月時点でWebexが16のデータセンターをピーク時1.5Tbpsを処理するバックボーンで接続する自社クラウド上で運用されていると述べている。
利用の急増と並行して、シスコシステムズは在宅環境での利用を想定した機能を相次いで追加した。2020年8月に買収を発表したBabbleLabsの技術は、人工知能で発言を強調しつつ、隣家の芝刈り機や子供の声といった在宅環境に固有の背景音を取り除くもので、同年9月にWebexのノイズ除去機能として導入され、2021年3月以降はすべてのWebex Appで標準的に利用できるようになった。2020年12月の新しいWebexで発表された字幕・文字起こしやリアルタイム翻訳、ジェスチャー認識などの機能について、シスコシステムズは「自宅でもオフィスでも変わらず仕事が維持できること」を目指したものと説明した。同社は2021年2月時点で、それまでの1年で「何十億もの人々」がリモートワークに移行したにもかかわらず作業を効率的に行うためのリソースが不足していたとし、大多数の人がオフィスに戻ることなくリモートワークが続くとの見通しを示している。
ハードウェア面では、在宅の個人のデスク向けのWebex Desk CameraやWebex Deskなどのデバイスが2020年12月に発表され、日本では2021年1月から、従業員宅への配送・回収を含むビデオ会議デバイスのサブスクリプションサービスが提供された。2021年7月のWebex Suiteでは、周囲の話し声を除去して自分の声だけを拾う「My Voice Only」、会議室の複数参加者を1人1フレームで映す「People Focus」、個人の会議時間やワークライフの状況を可視化する「Webex People Insights」が加わり、2021年10月には、私用の携帯電話を業務用の回線として使える「Webex Go」と、Webex Appから発信した緊急通報に位置情報を付加するNomadic E911が発表された。
シスコシステムズは、2020年に在宅勤務・在宅学習へ移行した分野として、教育機関・医療機関・テクノロジー企業・州政府や地方自治体・連邦政府といった政府機関、世界保健機関(WHO)を挙げている。教育分野では、2020年4月に、欧州各国の学校閉鎖を受けてシスコシステムズとIBMが共同で無償のバーチャル教室を提供する取り組みを始め、Cisco Webexを用いた仮想教室で教師がビデオ会議の開催・録画・画面からの教材共有・生徒とのやり取りを行えるようにした。日本では2020年10月からオンライン授業と対面授業を組み合わせる「ハイブリッド授業」向けのプログラムがパートナー経由で提供され、千葉工業大学の授業でのハイブリッド化の事例が2021年に紹介されている。医療分野では、JR東京総合病院が入院患者の面会にWebexを用いた事例が2021年に紹介され、2025年3月にはWebex Contact Centerと電子カルテシステムEpicのネイティブ統合のベータ提供が始まった。
シスコシステムズは、感染症流行後の働き方について自社の調査結果を継続的に公表している。2021年10月に公表した「Hybrid Work Index」は、利用者からネットワークまでの世界規模の数百万件のデータポイントに基づくとされ、64%が「オフィスに出社するのではなくどこからでも働けることが、仕事を続けるか辞めるかに直接影響する」と回答したこと、会議参加者の48%が発言していないこと、在宅勤務者向けルーターがオフィス向けルーターの2倍の速さで増加していることなどを示した。
2022年4月に公表した「Cisco Global Hybrid Work Study 2022」は、シスコシステムズの委託により調査会社Dynataが2022年1月から3月にかけて、日本を含む27か国の常勤従業員28,000人を対象に実施した調査である。同調査によれば、どこからでも働けるようになったことで幸福度が上がったと答えた従業員は82%、生産性が向上したと感じた従業員は60%で、76%は自分の職務をオフィスと同じようにリモートでも遂行できると感じ、78%はハイブリッドワークおよびリモートワークによってウェルビーイングのあらゆる面が改善したと答えた。一方、自社がハイブリッドワークの将来に「十分に準備できている」と答えたのは4人に1人にとどまり、在宅勤務を成功させる上で技術面の支援を最優先事項と評価した従業員は77%、シームレスな在宅勤務体験にネットワークインフラが不可欠と答えた従業員は84%であった。
シスコシステムズ自身も2020年3月から全世界でオフィスを閉じて全面的なテレワークを実施した。2021年11月の日本での説明会では、テレワークを経験した人を対象とした調査で77%がハイブリッドワークを働き方の1つとして認めると答えたことが紹介され、シスコシステムズ社内の調査ではさらに高い割合であったと説明された。日本法人のシスコシステムズ合同会社は、これに先立つ2019年の時点で、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催期間中は原則として全社テレワークとする方針を示していた。
日本ではシスコシステムズ合同会社がWebexを提供しており、2019年の特別プランや2020年の教育機関向けプログラムはシスコシステムズの販売パートナー経由で提供された。
シスコシステムズ合同会社は2019年8月21日、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてテレワークの普及を後押しするため、Cisco Webex Meetingsの主催ライセンスを対象とした特別プランを発表した。日本国内のすべての企業・組織を対象に、希望する顧客へ3か月間の無償トライアルを提供し、大会期間を含む初年度は全従業員数の15%にあたる人数分のライセンス料金で全社が会議を主催できるというもので、2019年10月からキャンペーンを開始する予定とされた。同社代表執行役員社長のデイヴ・ウェスト(Dave West)は、日本のテレワーク導入企業の割合が政府の支援もあり徐々に高まっているものの米国・英国・ドイツなどの主要国に比べて遅れていると述べ、大会期間中の交通混雑緩和に向けて業種を問わずテレワークを推進する必要があると説明した。
2020年2月21日には、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、事業継続計画(BCP)対策の一環としてテレワークの導入を急ぐ国内の企業・組織を対象に、Cisco Webex Meetingsの90日間無償ライセンスを2月25日から提供すると発表した。無償ライセンスでは保守およびサポートを原則として提供せず、利用ガイド・オンラインヘルプ・無料のウェビナーで利用方法を案内する形とされ、利用者からの申し出があれば期間延長を認めることがあるとされた。同社は2020年3月のブログで、この無償プログラムを通常30日間のトライアルに対して90日間・ユーザー数無制限で利用できるものと説明し、総務省の「平成30年通信利用動向調査」を引いて当時の日本のテレワーク導入率が19%にとどまっていることを指摘した。同ブログは、出社を遠隔会議やビジネスチャットに、会議を遠隔会議に、イベントをWebセミナーに、登校を遠隔授業に置き換えるという対応関係を示し、国内の提供ツールとしてWebex Teams(ビジネスチャット)・Webex Meetings(Web会議)・Webex Calling(クラウド電話)を挙げている。
2020年9月24日、シスコシステムズ合同会社はオンライン授業と対面授業を組み合わせた「ハイブリッド授業」向けの教育機関向けプログラム「Ciscoハイブリッド授業推進トータルパッケージ」を発表し、同年10月からパートナー経由で提供を始めた。同パッケージはCisco Webex Meetings・Cisco Webex Board・Cisco Webex TeamsなどのWebex製品群に、セキュリティ製品のCisco UmbrellaとDuo Securityを組み合わせたもので、教育機関向けの「Cisco Webex Education Offer」を含む。同社は、GIGAスクール構想で想定される持ち帰り学習や家庭内授業など教室を越えた学びのためには、利用者の認証やインターネットトラフィックの管理を含む包括的なセキュリティ基盤の導入が必須になると説明した。
2021年1月20日、シスコシステムズ合同会社はビデオ会議デバイスを年額または月額のサブスクリプションで利用できる「Hardware as a Service for Webex Devices」の提供を開始した(前述)。同社は、テレワークやハイブリッドワークを前提とした働き方が広がる一方で、PCやスマートデバイスだけのオンラインコミュニケーションには限界があり、ビデオ会議専用デバイスへの需要が高まっていると説明した。2021年5月31日には、初年度は従業員数にかかわらず40人分のライセンス購入で全従業員がオンライン会議・チャット・メッセージ・ビデオ通話などの機能を利用できる、ハイブリッドワーク向けの特別プランの販売を開始した。
2021年7月7日には、電話・会議・メッセージ・投票・イベントなどを1つのアプリケーションに集約した「Webex Suite」を日本で発表した。代表執行役員社長の中川いち朗は、感染症の拡大により多くの企業がリモートワークの導入を進めてきたが、その後はオフィスとリモートを組み合わせるハイブリッドな働き方が主流になるとの見方を示し、どこからでもどのような勤務形態でも社員が生産性を落とさずに働けるハイブリッドワークの実現が重要になると述べた。同年7月20日には、Webexの利用者・管理者・開発者のためのユーザーコミュニティ「Webex Connect – Japan」の活動開始を発表し、感染症の拡大をきっかけにテレワークが推進されてオンラインコミュニケーションツールの導入が加速し、利用場面が社内会議から社外とのコミュニケーション、ウェビナー、リモート採用、オンライン商談や顧客サービスへと広がっていると説明した。
2021年11月15日の事業戦略説明会では、ハイブリッドワークに焦点を当てた3つの拡大策(対面よりも豊かなコラボレーション体験の提供、ハイブリッド化が遅れている業務・業種への対応、パートナーリングの拡大)を掲げ、国内の活用例としてあおぞら銀行の電話業務のハイブリッド化、千葉工業大学の授業、JR東京総合病院の入院時の面会などが紹介された。同年11月から日本法人のコラボレーション事業責任者となった執行役員の菊池政広は、これからはオフィスとテレワークの混在環境が当たり前になっていくとの見通しを示した。
2023年3月16日、Webex App/Messaging・Webex Meetings・Webex Callingから構成される「Cisco Webex Suite」が、監査機関による監査を経て政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)のクラウドサービスリストに登録された。
シスコシステムズの発表によれば、同社は調査会社ガートナーの2024年版「Magic Quadrant for Unified Communications as a Service(UCaaS)」において6年連続で「リーダー」に、2024年版の「Magic Quadrant for Communications Platform as a Service(CPaaS)」では「ビジョナリー」に位置づけられた。
SECおよびさまざまな州の司法長官事務所によって開始された証券詐欺の調査の結果、 ゴールドマンサックスは、1999年から2001年までの期間、WebExの報道やIPO違反など、不当な研究を発行したとして起訴された。 ゴールドマンサックスのアナリストに、調査の対象とすべきでないものをWebexの経営者が指示したとされている。 Webexは、経営者の情報は正確であると述べた。別の告発は、ゴールドマンサックスがWebexの新規株式公開における株式の配分において証券法に違反していると非難した。
2005年9月27日、Webexは競合他社のRaindance Communications Inc.を特許侵害で訴えた。 2005年10月14日、RaindanceはWebexに対して特許侵害の訴訟を起こした。 両社は、損害賠償と、特許を侵害していると主張するさらなる行為を禁ずる差止命令を求めた。 。2006年3月31日、両当事者は、両方の訴訟の取り下げ、過去の侵害に対する請求の放棄、それらの放棄に関連する支払い、および互いの特許へのクロスライセンスに同意した。 この合意により、RaindanceはWebexに100万ドルを支払った。