| ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス | |
|---|---|
| 監督 |
伊藤俊也(総監督) 白土武(監督) |
| 脚本 |
柏原寛司 伊藤俊也 |
| 原作 | モンキー・パンチ |
| 製作 |
ルパン三世製作委員会 NTV・VAP・NTV-M・NTV-V・NTV-S・TMS |
| 製作総指揮 | 漆戸靖治 |
| 出演者 |
栗田貫一 小林清志 井上真樹夫 増山江威子 納谷悟朗 安達祐実 小松方正 檀ふみ |
| 音楽 | 大野雄二 |
| 主題歌 | 坂上伊織「愛のつづき」 |
| 配給 | 東宝 |
| 公開 |
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| 上映時間 | 98分 |
| 製作国 |
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| 言語 | 日本語 |
| 前作 |
ルパン三世 バビロンの黄金伝説(劇場版シリーズ) ルパン三世 風魔一族の陰謀(劇場公開及びOVA) |
| 次作 | ルパン三世 DEAD OR ALIVE |
『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』(ルパンさんせい くたばれ!ノストラダムス)は、1995年に公開された日本のアニメ映画。モンキー・パンチ原作のアニメ『ルパン三世』の劇場映画第4作である。アメリカの巨大財閥が高層ビルの最上階に隠した“ノストラダムスの予言書”をめぐり、ルパン三世一味と新興宗教集団との争奪戦を描く。総監督は伊藤俊也。ルパン三世役が、製作中に死去した山田康雄から栗田貫一へ交代した作品としても知られる。
キャッチコピーは「今世紀最大の犯行予告」。
完全な劇場用新作として、『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』以来10年ぶりに製作された作品。一部の劇場で先行公開されたOVA『ルパン三世 風魔一族の陰謀』からは8年ぶりの新作となる。
年代設定は公開時より4年後の1999年とされ、冒頭で表記されているほか、劇中では公開時開催前であった「アトランタオリンピック開催後…」という台詞も登場する。予告編でもルパンのナレーションで「世紀末に、何かが起こる」とある。
内容は、湾岸戦争後のアメリカ合衆国の覇権を意識したものであるが、カルト教団が予言に従って自作自演のテロを行うというストーリーが、結果的にオウム真理教事件と同時進行する形となり、一部で話題になった。監督の伊藤俊也は本作の仕上げのため録音スタジオに向かう際に地下鉄サリン事件発生直後の霞ヶ関駅を地下鉄で通過し、事件前日に死去した主演予定の山田康雄の訃報を伝えるワイドショーは事件の速報に切り替えられた。本作はそうした空気の中で制作と公開が行われ、後年発売されたビデオグラム『ルパン三世 Master File』では、この状況について「阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件といった、現実の出来事と奇妙なシンクロを見せる結果になった」と評している。
1999年第1の月、地中海で原子力潜水艦が爆発事故を起こす。その事故こそ、有名な予言者であるミッシェル・ド・ノストラダムスの残した預言書の第2章第3節にある「海を照らす太陽に似た灼熱のせいで、ネグロポントの魚が灰焼きにされよう」という予言が的中した証拠である、と新興集団であるノストラダムス教団の指導者・ライズリーは観衆に説く。さらにライズリーは、「世界の滅亡は近く、その大災難から逃れるにはこの手にある『失われた予言書』に従うしかない」と説く。
一方、ブラジルのリオデジャネイロではサンバカーニバルが開催されていた。そのどさくさに紛れて150万$のダイヤを手に入れたルパン三世は、銭形警部との鬼ごっこから逃れたアトランタ行きの旅客機の中で、ダイヤを隠した人形を生意気な少女ジュリアに奪われてしまう。さらにジュリアの教育係として同乗していた峰不二子にも返り討ちにされる始末。
しかし、この機にもノストラダムスの予言は降りかかる。その予言とは、予言書の第7章62節にある「11人の勇者の乗った大鷲が姿を消す」というもの。その旅客機にはサッカーブラジル代表チームが同乗しており、機はハイジャックされてしまう。一路、旅客機はハイジャックグループの指示でモロッコへと向かう。
身代金の要求を待つ間、ひとまず女性と子ども、サッカーチームが解放される。しかしその数分後、ハイジャックグループの所持していた時限爆弾が突如として作動。ルパンと次元、男性客らはこの混乱に乗じて犯人を取り押さえ、脱出することに成功。直後に旅客機は大爆発を起こした。ルパンと次元はハイジャックグループの動揺ぶりから、ハイジャックが狙いではなく、何か裏があると睨む。それとともに旅客機のそばから見守る不二子とジュリア。すると突然、後方からヘリコプターが現れ、2人の元へ飛来する。不二子が抵抗を試みたが、ジュリアはヘリコプターに乗せられ連れ去られてしまう。
不二子の話によると、ジュリアはアトランタに本部を設ける巨大財閥・ダグラス財団の一人娘で、父親であるダグラスは次期大統領候補に出馬するほどの大物。そのダグラス財団が所有する高さ1,000 mの世界最大のビル「アースビル」の最上階に秘蔵されている「失われた予言書」を、5,000万$の報酬で欲しがっている富豪がいるという。そのためにはどうしてもジュリアが必要になるのだ。不二子のIDでアースビルの下見に訪れたルパンであったが、技術の粋を集めた警戒システムは他のビルには類を見ないほどの厳重さであった。失敗し、ひとまず退散するルパンと次元は予言書を探して旅をする石川五ェ門と合流し、ノストラダムス教団が持つ予言書が偽物であることを知る。
そこでルパンは、過去このアースビルへ唯一潜入に成功した老泥棒フィリップからネタを頂戴しようと、あえて重犯罪者収容施設、通称「処刑島」へ潜り込む。フィリップに出会ったルパンであったが、同じく秘密を狙うノストラダムス教団のクリス率いる実行部隊の手によって、フィリップは殺されてしまう。
かろうじて島から脱出したルパンは、アマゾンの河畔の村で少年セルジオに助けられ、別人として教団に従事していた不二子から、腕につけられたミサンガの遠隔操作によって洗脳されていたというカラクリを知る。フィリップが遺したメッセージによると、彼の形見である義眼こそが金庫室の認識キーを解錠するための、ダグラス親子3人だけが持つ固有網膜情報のコピーだったのだ。勝負はアースビルの最上階。
これまでも予言書のままに事件をでっちあげてきたノストラダムス教団は、アースビルの崩壊を予言し、ビル全体に時限爆弾をセットした。ジュリアの誘拐脅迫にもかかわらず大統領選への出馬を表明しようとするダグラスと、ダグラスの妻にしてジュリアの母親でもあるマリアの葛藤も他所に、クリスはライズリーを裏切り、「失われた予言書」を自らの手中に収めようとアースビルへ強行突入する。人間のありとあらゆる感覚器官を欺くバーチャル防衛システムの脅威に守られた金庫室へと潜入するルパン。
爆弾による連鎖爆発によってアースビル倒壊へのカウントダウンが進行する中、「失われた予言書」を巡って、ルパン、クリス、ライズリーによる三つ巴の争奪戦が展開する。
企画は、日本テレビ系で1989年に始まったTVスペシャルの高視聴率を受けて行われた。
監督は当初、東京ムービーの加藤俊三による「アニメ監督でなく実写映画の監督を立てたい」との意向から、文芸担当の飯岡順一による推挙のもと、村川透にオファーが行われた。村川と飯岡・東京ムービーの間で幾度かの打ち合わせの場が設けられ、脚本担当として丸山昇一を紹介するなど村川は乗り気だったが、最終的には、日本テレビ側のプロデューサーである伊藤響による人選で総監督に伊藤俊也、アニメ担当の監督に白土武が起用された。
飯岡は後年、伊藤俊也の起用が決定したのは伊藤響の実父だったためではないかと推測している。
シナリオの構想が完成したのは、1993年であった。
サブタイトル「くたばれ!ノストラダムス」は伊藤の命名による。
キャラクターデザインは『ルパン三世 (TV第1シリーズ) 』に近いものになっているが、これは作画監督の八崎健二は自分とって『ルパン三世』とはTV第1シリーズであるため意図せずとも自然とこうなったと説明している。
キャスティングでは、ゲストヒロインのジュリア役に安達祐実を起用。安達のアニメ声優デビュー作となったほか、当時ドラマ『家なき子』で人気があった安達が、同作で演じた貧しく身寄りのない少女という役と正反対の富豪の娘を演じたことが話題となった。
アニメの実制作は、東京ムービー傘下のテレコム・アニメーションフィルムが行なった。そのため、演出の富沢信雄や絵コンテの友永和秀など直接の制作であるテレコムのスタッフに外部の白土と伊藤が付くというややこしい制作体制であったといい、伊藤とテレコム側に考え方のズレがあったため不和が生じる一幕もあった。
製作時の不和に関して、伊藤によると問題になったのは、ジュリアが演説中に夫ダグラスを非難する心理的な変貌を描こうとしたことだったという。アニメでこのような描写は不得手であることから猛反発を受けたものの、伊藤はあえて嫌味を交えながらスタッフを挑発したといい、「結果的に彼らは自分の注文に応えるべく工夫を凝らしてくれた」とスタッフを讃えている。一方、当時テレコムを率いていた大塚康生は「号令するだけで『あとは頼んだよ』という感じでした」「実写の大監督が乗り込んで来てシナリオをチェックしただけで、一切の変更を許さず、何もしないで去ってゆきました」と語るなど、伊藤の製作姿勢を疑問視している。
大塚によると、本作の制作期間は8カ月でスタッフは徹夜も辞さずに作業を行ったという。2003年のインタビューでは、テレコムが本作の製作によって大きなダメージを受けたことから、その後のテレコムはルパン作品(テレビスペシャル)への参加を一切拒否していると語っている。そのためか、本作以降は2007年放送の『ルパン三世 霧のエリューシヴ』まで約12年間、テレコムがルパン作品に携わる事はなかった。
ルパン三世役に関して、本来はアニメ開始から演じていた山田康雄が出演する予定であり、ポスターにも山田の名前がクレジットされていた。そのため、予告編とTVスポット第1弾〜第3弾までのナレーションは山田が声を担当していたものの、前年から体調を崩していた山田は収録現場に車椅子に乗って現れたという。
アフレコ直前の1995年2月17日、山田が脳出血で倒れたため、ルパン役に急遽”代役”を立てる事態に直面する。録音監督の加藤敏によると、最初は山田のイメージから大きく変えるキャスティングも検討されたが、それにはショックも伴うことから最終的には山田のイメージを踏襲することになったといい、数人のオーディションを経た結果、ルパンのモノマネをしていたものまねタレントで山田との親交もあった栗田貫一が抜擢された。なお、パンフレットや複数のメディアにおいて、山田と栗田は“師弟関係”と報じられた。
収録は、他の共演者と共に3月9日から11日まで約3日間行われた。スタジオに呼ばれた栗田は、「山田が収録していない部分をやるだけ」と説明され何カ所かをモノマネでやればいいのかと気楽に考えていたが、全く白紙の状態と知って驚愕したという。そのため、一時は代役を固辞していたが、納谷悟朗の激励と山田が復帰すると信じ収録を乗りきったと当時を回想している。
上述の通り、ルパン役には山田とは全くイメージの異なる役者を起用する案があり、それと同時に本作を持って「ルパン三世」シリーズ自体を終了させるというプランもあったと栗田は証言している。栗田によれば、候補には明石家さんまやビートたけしが上がっていたという。
収録時点での栗田はあくまで本作限りの代役予定で、スタッフ・共演陣共に山田の早期復帰を期待していたが、山田は結局意識が戻らぬまま3月19日に死去。これを受けて、スタッフロールが流れ終わった後に「永遠のルパン三世 山田康雄さん ありがとう」という追悼テロップが添えられた。その後、同年8月に放送されたテレビスペシャル第7作『ルパン三世 ハリマオの財宝を追え!!』から、正式に栗田がルパン三世役を継承することとなった。
予告編第2弾と第3弾は山田が倒れた後、山田が吹き替えた部分を栗田が再度吹き替えて上映した。なお、山田がルパンを演じた予告編第1弾はDVDに収録されているが、TVスポット第1弾〜第3弾はDVDに収録されておらず幻と化している。TVスポット第2弾の映像は、1985年公開の劇場映画第3作『ルパン三世 バビロンの黄金伝説』のシーンを一部使用しており、ナレーションは山田バージョンと英語バージョンがある。TVスポット第三弾は本作のシーンを一部使用している。なお、TVスポット第1弾〜第3弾は公開と同時に発売された「ルパン三世 予告編コレクション(VHS、LD)」には収録されているが、現在は絶版となっている。
リアルサウンドのライターであるのざわよしのりは、「テレビ放送の少なさや山田康雄が出演しないことから過小評価されている」としており、「アニメーションの魅力に溢れた動きで本当に見事な作品。『カリオストロ』以降のテレコム製ルパンの中では一番好きです」と評している。また、作画協力としてスタジオジブリが参加していることにも触れ「ジブリ信奉者は必見」としている。
1996年4月19日、翌4月20日公開の劇場映画第6作『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』の前夜祭として、総監督の伊藤俊也が再編集したバージョンが『金曜ロードショー』にて放送された(ワイドクリアビジョン放送)。