| 開発元 | 日立製作所 |
|---|---|
| 初版 |
1997年(前身製品) 2000年(Cosminexus V3) |
| 最新版 |
V11(uCosminexus Application Server V11.7)
/ 2026年2月6日 |
| プログラミング 言語 | Java |
| 対応OS | Windows Server、Linux、UNIX |
| 種別 | アプリケーションサーバー・ミドルウェア |
| ライセンス | プロプライエタリ |
| 公式サイト | https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/cosminexus/ |
Cosminexus(コズミネクサス)は、日立製作所が開発・販売するアプリケーションサーバーを中核としたミドルウェア製品群のブランド名である。Java EEに対応したWebアプリケーションの実行環境「uCosminexus Application Server」を中核に、エンタープライズサービスバス(ESB)、ワークフロー基盤、インメモリデータグリッド、バッチジョブ実行基盤などの製品で構成され、日立製作所が「日立オープンミドルウェア」と総称する製品群の一つである。
1997年に登場した前身製品を起源として、2000年に「Cosminexus V3」の名称で提供が始まった。以後J2EEおよびJava EEの各世代への対応を重ね、サン・マイクロシステムズおよびオラクルが公開した互換製品一覧に掲載されてきた。2007年にはオンライントランザクション処理モニターのOpenTP1やHiRDBも含めて統一ブランドで提供する方針が示され、2012年以降、日立製作所はクラウドサービスプラットフォーム「Cosminexus」の呼称を用いている。2026年時点の最新版はV11で、中核製品のuCosminexus Application Server V11.7が2026年2月に提供された。
技術的な特徴として、日立製作所が独自に拡張したJava仮想マシン、長命なオブジェクトをJavaヒープの外で管理してFull GCの発生を抑止するFull GCレス機能、OLTP製品で培った技術に基づく優先制御・流量制御、リクエスト単位のトレース取得などが挙げられる。2022年以降は、オープンソースソフトウェアのApache TomcatやSpring Bootを基盤とするアプリケーション向けの製品シリーズ「uCosminexus Application Runtime」も提供されている。日立製作所は、Cosminexusが金融・公共・製造などの業種のミッションクリティカルなシステムを支えてきたとしている。販売は日立製作所とパートナー企業が担い、日立製作所は販売・テクニカル・連携の3区分でパートナー企業を紹介している。
Cosminexusはブランド名であり、個々の製品には「uCosminexus Application Server」のように「uCosminexus」または「Hitachi」を冠した製品名が付けられている。「uCosminexus」の接頭は、2005年6月に発表された製品から用いられている。名称については、無限の可能性を秘める宇宙(cosmic)に広がるシステムを陰で支えるソフトウェアというイメージから付けたと日立製作所は説明している。
製品群の位置づけを表す呼称も時期によって変わっており、日立製作所は「コラボレイティブEビジネスプラットフォーム」(2004年)、「ユニバーサル・アプリケーション・プラットフォーム」(2006年)、「統合システム構築基盤」(2007年)、「SOA基盤ソフトウェア」「SOAプラットフォーム」(2008年から2010年)を経て、2012年以降は「クラウドサービスプラットフォーム」の呼称を用いている。
日立製作所の説明によれば、Cosminexusの前身は1997年に登場したWeb、Java、CORBAの技術を活用したネットビジネス基盤で、ホスト連携やワークフローによるEAI機能を備えていた。2000年にはJ2EEとXMLを活用した「Cosminexus V3」が、2001年にはポータル基盤を加えた「Cosminexus V4」が、2002年には高信頼JavaVM、J2EE 1.3準拠、Webサービス、OpenTP1連携を特徴とする「Cosminexus V5」が提供された。サン・マイクロシステムズが公開していたJ2EEの互換製品一覧には、2001年12月時点でJ2EE 1.2のテスト済み構成として「Hitachi Cosminexus Server Standard Edition」が、2004年1月時点でJ2EE 1.3の互換実装として「Hitachi Cosminexus」が掲載されている。同社のサイトに2001年に掲載された日立製作所の紹介文では、Cosminexus Application Serverは2000年5月にJ2EE 1.2の互換性を取得し、日立製作所はアジアで初めてJ2EE互換製品を出荷したベンダーであるとされている。
2004年3月には「Cosminexus Version 6」が登場した。日立製作所はこれを「ミッションクリティカルJ2EE」と位置づけ、オンライントランザクション処理(OLTP)製品で培った技術を継承したとしている。同年9月のITmediaの記事は、Cosminexus Application Serverがコンポーネントトランザクションモニター(CTM)によるリクエストの優先制御や、Java仮想マシンを解析対象とする障害解析トレース(PRFトレース)を備えると報じている。同年11月11日にはWebアプリケーションの稼働状態を制御する自律運用機能を加えた「Cosminexus V6.5」の販売が始まり、2005年6月21日にはモデル駆動型アーキテクチャに基づくソースコード自動生成やセキュリティ機能を強化した版(ITmediaの報道では「Cosminexus V6.7」)が販売された。
2006年2月27日、日立製作所はサービス指向アーキテクチャ(SOA)への対応を掲げた「Cosminexus Version 7」を発表し、同年4月27日から順次出荷した。BPELに基づいてビジネスプロセスを定義する開発環境「uCosminexus Service Architect」と、それを実行するESB製品「uCosminexus Service Platform」が新製品として加わり、V7はJ2EE 1.4に準拠した。2007年6月6日には、SOAに基づくシステム化のリファレンスアーキテクチャと適用ガイド、バッチジョブ実行基盤「uCosminexus Batch Job Execution Server」、OpenTP1やHiRDBを含めたブランドの体系化を内容とする統合システム構築基盤「Cosminexus」が発売された。2008年7月には、uCosminexus Service Platformが情報処理推進機構の連携プログラム技術評価制度で初めての適合製品に認定された。
2008年10月3日には「Cosminexus Version 8」の販売が始まった。ZDNET Japanはこれを2年半ぶりのメジャーバージョンアップと報じている。業務ポータル基盤「uCosminexus Navigation Platform」とストリームデータ処理基盤「uCosminexus Stream Data Platform」が新製品として加わり、uCosminexus Application Serverには、ガベージコレクションのうち処理停止が長くなるFull GCの発生を独自のメモリ管理で抑止する機能(Full GCレス機能)が搭載された。V8はJava EE 5に対応している。2010年1月28日には仮想化環境への対応を強化した「Cosminexus V8.5」が販売され、同年10月15日には、バッチジョブを複数のサーバーで分散・並列処理する「uCosminexus Grid Processing Server」の販売が始まった。
2012年2月29日、日立製作所はクラウド環境の「見える化」を掲げた「Cosminexus Version 9」を発売した。PaaS環境の構成情報を管理する「uCosminexus Service Director」とインメモリ型データグリッド製品「uCosminexus Elastic Application Data store」が新製品として加わり、クラウド事業者向けの月割従量制ライセンスも導入された。V9はJava EE 6に対応し、オラクルのJava EE互換製品一覧にはJava EE 6の互換実装として「Hitachi uCosminexus Application Server v9.0」が掲載されている。2014年5月には、Cosminexusを含む日立製作所のミドルウェアをAmazon Web Services(AWS)上で利用時間に応じた従量課金で使える「オンデマンド・ミドルウェアサービス for Amazon Web Services」が始まった。
2014年12月には、既存のuCosminexus Application Serverとは別系統のアプリケーションサーバーとして「Hitachi Application Server」(Version 10)が提供され、日立製作所は、同製品が他社の商用アプリケーションサーバー製品に先駆けてJava EE 7に準拠したとし、その根拠として2014年12月19日時点でオラクルのJava EE互換製品一覧に掲載されたことを挙げている。同一覧には「Cosminexus: Hitachi Application Server v10.0」がJava EE 7フルプラットフォーム互換実装として掲載されている。
2020年3月18日には「Cosminexus V11」の販売が始まった。uCosminexus Application ServerがAmazon EC2 Auto Scalingに対応し、ワークフロー基盤「uCosminexus Service Platform - WorkCoordinator」はBPMN 2.0に準拠した。V11はJava SE 11の長期サポート版に準拠するとともにJava EE 7の主要な新仕様に対応し、提供開始から10年間の長期保守に対応するとされた。その後もuCosminexus Application Serverはバージョンを重ね、対応するJava EEおよびJava SEの版を広げている。
2022年7月には、オープンソースソフトウェア(OSS)のApache TomcatやSpring Bootを基盤とするWebアプリケーションに、トレースや障害検知などの機能とサポートを付加する製品シリーズ「uCosminexus Application Runtime」の提供が始まり、2023年9月にはSpring Boot向けの製品が加わった。2025年12月10日に提供されたV1.20は、JavaでAIアプリケーションを開発・実行するためのSpring AIに対応し、AIアプリケーションの入出力や外部サービス呼び出しの状況をトレースできるようにした。2026年5月にはSpring Boot 3.5とApache Tomcat 11.0に対応したV1.21が提供された。
| バージョン | 発表・販売開始 | 主な内容 | 出典 |
|---|---|---|---|
| Cosminexusの前身 | 1997年 | Web・Java・CORBAによるネットビジネス基盤 | |
| Cosminexus V3 | 2000年 | J2EE、XMLの活用 | |
| Cosminexus V4 | 2001年 | ポータル基盤 | |
| Cosminexus V5 | 2002年 | 高信頼JavaVM、J2EE 1.3準拠 | |
| Cosminexus Version 6 | 2004年3月 | ミッションクリティカルJ2EE | |
| Cosminexus V6.5 | 2004年11月11日 | アプリケーションの自律運用 | |
| Cosminexus V6.7 | 2005年6月21日 | MDAによるソースコード自動生成 | |
| Cosminexus Version 7 | 2006年2月27日発表(4月出荷) | BPELによるプロセス統合、J2EE 1.4準拠 | |
| 統合システム構築基盤「Cosminexus」 | 2007年6月6日 | OpenTP1・HiRDBのブランド統合 | |
| Cosminexus Version 8 | 2008年10月3日 | Full GCレス機能、Java EE 5対応 | |
| Cosminexus V8.5 | 2010年1月28日 | 仮想化対応の強化 | |
| Cosminexus Version 9 | 2012年2月29日 | インメモリデータグリッド、Java EE 6対応 | |
| Hitachi Application Server Version 10 | 2014年12月 | Java EE 7準拠の別系統製品 | |
| Cosminexus V11 | 2020年3月18日 | EC2 Auto Scaling対応、Java SE 11・Java EE 7対応 | |
| uCosminexus Application Server V11.7 | 2026年2月6日 | Java SE 21・Spring Boot 3.5対応 |
日立製作所の「ルーツ・歴史」ページは、Version 7のリリース年を2005年、Version 8を2009年としているが、同社のニュースリリースではVersion 7の発表は2006年2月(出荷は同年4月)、Version 8の販売開始は2008年10月である。
日立製作所のサイトでは、2026年時点でCosminexusのファミリー製品として次の製品が挙げられている。
このほか、シングルサインオン製品「Single Sign-On Manager」や分散トランザクション処理製品「uCosminexus OpenTP1」もファミリー製品として挙げられている。過去には、企業ポータル基盤「uCosminexus Portal Framework」、業務ポータル基盤「uCosminexus Navigation Platform」、ストリームデータ処理基盤「uCosminexus Stream Data Platform」などが提供された。
Cosminexusは各世代のJava EE(J2EE)標準への対応を重ねてきた。J2EE 1.2および1.3についてはサン・マイクロシステムズの互換製品一覧に、Java EE 6(uCosminexus Application Server v9.0)およびJava EE 7(Hitachi Application Server v10.0)についてはオラクルの互換製品一覧に掲載されている。V11ではJava EE 7、V11.2でJava EE 8に対応し、V11.3以降は、Jakarta EE 9のアプリケーションをJava EEのパッケージ名前空間に対応させて実行するパッケージ名変換機能により、Java EEとJakarta EEの両方のアプリケーションを一つのアプリケーションサーバーで実行できる。
uCosminexus Application Serverは日立製作所が独自に拡張したJava仮想マシンを採用しており、日立製作所はJava VMを含むソースコードを国内に保有していることを特徴として挙げている。Version 8で導入されたFull GCレス機能は、セッション情報などの長命なオブジェクトをJavaヒープとは別の「GC対象外領域」に配置して独自に管理することで、Javaヒープ全体を対象とするFull GCの発生を抑止する。V8.5では独自にメモリ管理する対象の範囲が拡張された。
2004年のCosminexus Version 6以降、日立製作所がOLTP製品で培った技術がアプリケーションサーバーに取り込まれている。EJBコンテナとは独立したコンポーネントトランザクションモニター(CTM)がリクエストを実行前に動的に振り分け、重要度に応じた優先制御や負荷分散を行い、流量制御機能では業務ロジック(URL)単位にキューを設けて同時実行数を制御する。性能解析トレースは、リクエスト単位に一意の識別子を付与してサーバー内の各処理ポイントでトレースを取得する機能で、データベース(HiRDBおよびOracle Databaseに対応)のコネクションIDもあわせて出力されるため、Webサーバーからデータベースまでの処理シーケンスを追跡できる。
運用面では、V8.5で仮想サーバーの一括構築と環境パラメーターの自動設定により構築時間を従来比で最大10分の1に短縮するとされ、V11ではAmazon EC2 Auto Scalingに対応して負荷に応じたサーバー台数の増減ができる。AWSのマネージドデータベースサービスや、統合システム運用管理JP1と組み合わせた稼働状況の一元監視にも対応し、クラスターソフトウェアのHAモニタと組み合わせたクラスター構成やミラー構成も採られている。
日立製作所は導入事例として、東日本旅客鉄道の4万人規模の勤務システム基盤など、金融・公共・流通をはじめとする各業種の事例を公表している。ソフトウェア製品の稼働基盤として採用された例には、東洋ビジネスエンジニアリング(現・ビジネスエンジニアリング)の生産管理パッケージ「MCFrame」のWeb版がある。富士ソフトは、金融系システムのSOA構築基盤の一つとしてCosminexusに注目し、技術習得にCosminexus認定資格制度を活用してきたと日立製作所のサイトで紹介されている。
Cosminexusの開発元および販売元は日立製作所である。日立製作所は日立オープンミドルウェアパートナープログラムの下で、販売や提案・設計・構築・運用のサービスを提供する「販売パートナー」、設計・構築を中心にサービスを提供する「テクニカルパートナー」、Cosminexusと連携するハードウェアやソフトウェアを提供する「連携パートナー」の3区分でパートナー企業を紹介しており、2026年9月時点で販売パートナー12社、テクニカルパートナー4社、連携製品26件が掲載されている。2008年10月には、パートナー企業とSOAの事例研究や構築ノウハウを共有する「Cosminexusパートナーコミュニティ」を同年12月に開設すると発表した。連携パートナーには、NTTデータがシステム開発のトータルソリューション「TERASOLUNA」の対応アプリケーションサーバーの一つとして2007年からCosminexusを採用している例などがある。
技術者向けには「Cosminexus認定資格制度」がある。日立製作所は、日経コンピュータのパートナー満足度調査のアプリケーションサーバー部門で、2010年発表の第12回調査で3年連続の総合満足度1位となり、2012年発表の第14回調査でもWebアプリケーションサーバー部門で1位になったとしている。また同社は、IDC Japanの調査を引いて、2004年の国内アプリケーションサーバー市場で売上シェア2位であったとしている。
日立グループの日立ソリューションズは、日立製作所のCosminexusパートナー一覧に、販売パートナー、テクニカルパートナー、連携パートナーの3区分すべてで掲載されている。同社は販売パートナーとして、顧客の要望に応じたCosminexusのシステム設計から導入までを支援するとしている。テクニカルパートナーとしての事例には、既存システムから最新バージョンのCosminexusへの移行を伴う清算サーバーシステムの設計・構築があり、HAモニタによるクラスター構成と遠隔地の副サーバーによるミラー構成に対応したと紹介されている。連携パートナーとしては、人事総合ソリューション「リシテア」、販売管理・会計システム「FutureStage」、空間情報ソリューション「GeoMation」など、同社が取り扱う10製品がCosminexus連携製品として掲載されている。
日立ソリューションズは自社のサイトでも、SOAプラットフォーム「Cosminexus」を自社が提供するSOA/BPM分野の商品として掲載し、10製品のラインアップと、インターフェース統合・プロセス統合・情報統合の3つのSOA導入パターンを紹介していた(同ページの最終更新日は2009年1月13日と記されており、2015年に移管されている)。日立ソリューションズ(当時の商号は日立ソフトウェアエンジニアリング)は、2004年3月にCosminexusの当時のDeveloperパートナーに加わり、2005年12月には日立製作所、アイ・ティ・フロンティア、イーシー・ワンとともに、Cosminexus、JP1など各社の製品を連携させてJ2EEシステムの統合性能管理の方式を検証する共同検証(2005年12月から2006年6月)に参加した。
日立グループでは、このほか日立ソリューションズ東日本が販売パートナーおよび成果物管理システム「SynViz/DM」の連携パートナーとして、日立ソリューションズ・クリエイトと日立システムズが販売パートナーとして掲載されている。