MZ-2000(エムゼット にせん)はシャープが1982年に発売した8ビットパーソナルコンピュータである。基本設計が同様なマイナーチェンジモデルであるMZ-2200についても、本稿で記述する。

標準価格 218,000円
基本仕様はMZ-2000と同じである。3つのカスタムチップはMZ-2200のためのもの。
以下に相違点のみ記載する。
標準価格 128,000円
異なる部分以外は、MZ-2000の添付品と同様である。MZ-1Z002のマニュアルが増えている。
対象機種が本稿の二機種に限られる特徴的なオプションの一つ。Oh!mz誌では1983年3月から7月までMZ-2000の拡張性の一端として本体とともに目立つ位置に広告が打たれ、その後もMZ-2200のオプションとして掲載されていた。
16ビット化キットとしてIntel 8088の5MHzと128KiByteのメモリを搭載。ドータボードとして、漢字ROMが搭載可能になっており、発売当時は純正オプションとして存在しなかった漢字ROMの拡張手段でもあった。
元々この様な拡張を想定した設計ではないため、実用上も物理的な実装上も若干の無理が生じた設計となっている。物理的にはキーボード下の空間をスピーカーなどの取り外し、移設を行うことで設置用のねじ穴やスペースとして流用し、ボードを搭載する。MZ-2000では、ディスプレイ内蔵ということもあり、電源供給に余裕が無く、拡張スロットを利用せずに利用できるようにするため補助電源を設置時に搭載することになる。元のZ80はソケットから取り外し、フラットケーブルにはんだ付けされたZ80とともにMZ-1M01と交換する形になっている。
MZ-1M01自体はi8088とメモリのみのワンボードマイコンに近く、電源投入直後の状態を定義し、本体側からの指示を待つIPLROMやオプションの漢字ROMもそのメインメモリ空間に接続、マッピングされる形になっており、そこにZ80と割り込みを軸として相互に干渉、通信する回路が接続されており、外部につながっている唯一のポートになる。
また、実際には空きパターンや拡張コネクタなどはなく、後継製品も無かったものの、漢字ROMの位置がメインメモリのかなり前半にデコードされており、メモリの増設や拡張を考えた際に邪魔になる場所に配置されていた。i8088側の動作クロックはZ80側と切り離されており、CPUもソケットに装着されていたため、オーバークロックやピン互換のプロセッサとの交換などによりパフォーマンスの向上を試みるケースもあった。
電源投入時、i8088側はIPLを実行し待機状態であるため、増設されたポート以外は無改造のMZ-2000と同様の動作となる。Z80のソケットを窓口としてしまったため、調停に必要な信号が接続されていない都合上、他の割り込み発生源との調停ができず16bitモードでは多重割込みは使用禁止とされた。
MZシリーズの他製品の例に漏れず製品マニュアルには回路図、Z80側のIOCS、並びにi8088側のIPLプログラムとモニタのソースコードが掲載されているが、製品のIPLにある一部の機能が削除された内容となっている。
16ビットモードで動作させるには本体側のIPLからi8088からの指示を受けるシステムをロード、MZ-1M01側のZ80PIOを初期化し、i8088側に割り込みをかけ起動プロセスの開始を通知、読み込むシステムのサイズと配置並びに実行アドレスを渡したうえで、システムを転送し、i8088側のシステムを起動することになる。 標準のシステムである1Z-012では、IPLからローダを読み込み、そのローダがi8088側のZ80PIOを初期化、IOCSである1Z-012Bをロードし、ワークエリアにi8088側のモニタとBASICインタープリタ本体をロードしたうえで、i8088側に起動の開始を通知し、i8088側にシステムを転送し起動する形になっており、都合三つのファイルが読み込まれる形となっている。その為、モードスイッチなどによる切り替えなしに読み込むシステムによってどちらのモードでも利用が可能になっているが、16ビットモードでは本体側の標準添付のデータレコーダを用いた運用は通常のシステムよりも起動に時間を要することになった。またIPLプログラムのみで完結しないため、MZ-2000用の多くのシステムと異なりSRAMボードやQD、フロッピーディスクなどにブートプログラムを転送するのみでは動作させられない構造となっている。
前述のとおりボードとの接続はZ80ソケットのみであり、ボードでZ80とi8088が割り込みとポートでのやり取りにより1バイトずつやり取りをする形になっており、MZ-1M01側がボードの外に干渉する方法はこれ以外になく、前述の転送やパラメータの引き渡しも相互に割り込みをかけ1バイト引き渡すという処理を必要数分繰り返すことで行われる。これはすべてのI/O処理に及び、キー入力などの本体側からのイベント通知、記憶装置や画面、プリンタへの出力、漢字フォントの受け渡しなどこれらすべてがオーバーヘッドを抱える形になっており、デモンストレーションでは並列処理となっているものの、実際には相互の処理に相手側と不可分な処理がぶら下がることで処理時間が増加する傾向があった。Z80側の処理は発売時期の違いから若干最適化され速くなっているものの、レスポンスに影響する表示処理などは全てMZ-2000側の処理になり、結果トータルパフォーマンスで見た場合、i8088の5MHzではZ80の4MHzに対しその速度差を帳消しにし、むしろ遅くなってしまうケースが多々見られることとなった。マニュアルではグラフィック座標の演算にi8088を用いて高速化している旨もあるが、実際には座標のアドレスだけを求める処理は然程多くなく、漢字フォントなどパターンの転送には転送のボトルネックが大きく響くことになる。
一応大きなメモリと、純正で用意された漢字ROMと漢字表示の仕組みという利点はあるものの、後者はサードパーティー製品の純正転用や、漢字BASICの発売によって漢字表示という優位性は消失、文字コードを軸とした漢字表示は可能であるが、変換などのサポートはなく、後継機や別シリーズでの漢字テキストVRAMの採用などにより日本語の取り扱いという部分でも別解が示される形となっており、メリットは実感しにくいシステムとなっている。また、同時期の競合機と大差がない表示機能を持ちながら日本語フォントの表示に対するサポートの遅れはある程度の弱体化も招いている。
マニュアルが示す想定している環境並びに添付されたBASICではi8088側がメインプロセッサとして動作するため、様々な環境をサポートするi8088用のシステムが必要になるが、F-DOSなどの用意はおろかフロッピーディスク版や、QD版のBASICの供給すらなく、開発環境やそもそもの運用に必要な環境が最後まで提供されなかった。また、Z80側をメインとして、i8088側をサブシステムという形であればMZ-2000用として用意された環境に加え、i8088側をサブプロセッサや、128KiBのメモリ、増設されていれば漢字ROM等の拡張デバイスとして取り扱う事も可能であったと思われるが、そういったアプローチでの活用例が紹介されることはなかった。前述のi8088側IPLの非公開機能にはZ80側から日本語フォントを文字コードを指定して取得する物や、メモリ空間に対しての読み書き、実行などを実現する機能など、Z80側からのコントロールに利用できるものもあったが非公開であるため活用事例はほぼない。
純正の環境では上記のような状況であったが、ユーザーによる工夫での改善や環境の構築が試みられ、記事になっている。Oh!MZ1985年5月にはQDから起動するメディアの作成方法と、CP/M-86を動作させる試みが掲載され7月号ではCP/M-86に漢字とグラフィックのサポートを追加する記事が掲載された。この時点で発売から二年が経過しており、数か月後にはMZ-2500が発売される時期である。結果としてシャープは出したままサポートをほぼしなかった製品であるといえる。また、アイビット電子では2000円で前述のQDのように5インチフロッピーディスクから起動できるメディアを提供していたほか、Oh!MZ1985年9月号から11月号に掛けて10月発売予定としてDISK-BASICの提供を予告を掲載していたが、実際に発売された旨の広告はないまま12月号からはボードの売価以外の記述が消えている。その後広告上は16ビットボード+漢字ROMのセットで販売は続き、最終的にOh!X1989年4月号で単体8500円を最後に一覧からは消えている。 結果として多くのオプションが継承して利用できる後継機においても、筐体の構造の違いなどから、このボードは利用することができず、後継となる製品やサポートは提供されずに終わってしまっている。
近年のコンピュータの高速化によって、ソフトウェアでMZ-2000/2200相当の動作を実現するプログラムが作られるようになった。 主にLinuxでは、粕川雄也によるemz2000、Windows用では匿名で、ソフトウェア名称と同じEMUZ-2000を名乗る者が作成した、EMUZ-2000が存在する。
なお、3インチフロッピーディスクドライブが1983年のマイコンショウでMZ-1F06として、参考出展されているが未発売である。
BASICのみで書かれたソフトウェア、並びに、テキストベースのソフトウェアにおいては、MZ-80Bのソフトウェアの多くも利用可能である。解像度の変更と、グラフィックプレーンの数の違いにより、グラフィック画面についてはローレベルな処理を伴う場合互換性が無い。 表示周りの条件や、記憶装置の条件さえ満たせば、MZ-2000とMZ-2200は同じソフトウェアが動作し、MZ-2200「専用」品はカラー表示を必須とするものである。 パレット機能を内蔵していないため、MZ-2000用のソフトウェアをMZ-2200でカラーCRTを使う場合、1ページのみの場合は青一色での表示になり、複数プレーンでの表示の場合該当するプレーンの色で合成表示される。その為、スクリーンバッファとして複数ページを利用したソフトウェア等では表示画面がサイケデリックなものになったり、複数の色でちらつくような表示になるものもある。 MZ-2200発売後に発売されたソフトウェアによっては、カセットのA面をカラー対応のMZ-2200向け、B面をモノクロ対応のMZ-2000向けといった提供をしたものもあった。
型番のハイフンの次が1で始まるものはカセットテープ、2で始まるものはフロッピーディスクによる供給である。 その多くがモニタMZ-1Z001Mを含み、標準から拡張されている部分はBASIC本体で直接サポートされるため、データレコーダなしでバイナリを取り扱うことには制限があった。
クリーンコンピュータ設計により、サードパーティからもユニークなプログラム言語が提供された。