

ICカード(アイシーカード、英: integrated circuit card; ICC)とは、情報(データ)の記録や演算をするために集積回路 (IC) を組み込んだカードのことである。国際的にはスマートカード (smart card) やチップカード (chip card) とも呼ばれ、日本では、特に演算処理機能を持つものをスマートカードと呼ぶ。
カード内にRAMやROM、EEPROMといった半導体メモリを組み込むことにより、情報量が従来の磁気ストライプカードと比べて数十倍から数千倍になる。さらに、CPUやコプロセッサなどを内蔵することで、カード内部で情報処理が可能になるという特徴がある。これを応用して、Intelが専用のドックに専用のICカードを挿入し、パーソナルコンピュータとして利用できるインテル Compute Cardを開発した。情報処理や記憶は全てカード上で行う。
接点をもつ接触型ICカードと、接点をもたず電波を受けて動作する非接触型ICカードがある。 また、接触型かつ非接触型の2つの機能をもつコンボとなっているコンボICカードも多く使われている。
また、一部の学生証にもついている。
ICカードの普及以前は、1960年にIBMによって発明された磁気ストライプカードが使われていた。
ICカードは、ドイツでは1968年にヘルムート・グレトルップ(Helmut Gröttrup)とユルゲン・デトロフ(Jürgen Dethloff)が共同で、日本では1970年に有村國孝が、フランスでは1974年にローラン・モレノ (Roland Moreno) が、それぞれ発明している。グレトルップは1968年に特許を申請したが、認められたのは1982年になった。
ICカードをその機能により分類すると、次の4つに分けられる。
CPUを搭載して単体で演算能力を持つICカードは1970年代後半に登場した。製品としてはブルとモトローラが共同で、1973年から1979年に掛けてメモリカードやマイコンカード(EEPROM内蔵CPU、CPU搭載EEPROM、1チップ化したもの)を開発した。これがICカードの始まりとなった。ブルのICカード部門会社のブルCP8は日本国内において大日本印刷と合弁でSPOM JAPANを設立した。マイコンカードの基本技術はCP8技術、或いはSPOM (Self Programmable One-chip Microcomputer) 特許として知られ、世界中のカードメーカーにライセンスされた。その後、現在のSTMicroelectronics NVが1982年にセキュア・メモリICを開発した。
日本では1981年に大日本印刷が研究を開始し、1983年に大日本印刷や凸版印刷がICチップインカードを、東芝が1984年にICカードを、日立製作所(現在のルネサス エレクトロニクス)が1985年にICカードマイコン (HD65901) をそれぞれ開発した。ソニーも1988年から非接触ICカードの研究開発に着手していた。
初期のCPUは4bit - 8bitCPUであったが、その後16bit - 32bitCPUが搭載された。8051、8052、6805、Z80、H8、AE-4、AVR、ARM、MIPSなどの既存アーキテクチャを使うものだけでなく、独自の非公開アーキテクチャを採用するものもある。
メモリサイズは当初256bit - 8kByteであったが、徐々に大きくなり、2003年頃には32kByte - 512kByte、1MByteになっている。
不揮発性メモリとしては、EEPROMの他にフラッシュメモリやFeRAM (FRAM) を搭載したカードがある。当初、EEPROMの書き換えにはIC駆動に用いるVccとは別に専用の電圧を必要としていたが、その後Vccだけで動作できる様に改良された。
RSA用コプロセッサ搭載カードは1990年代前半に登場した。DES/トリプルDESはソフトウェアで実装される場合と、専用回路で実現する場合がある。
当初のICカードはプログラムをROMに格納していたが、1990年代後半にはプログラムを不揮発性メモリにダウンロードできる仕組みを持つプラットフォーム型ICカードと呼ばれるMULTOSカードやJavaカードが開発された。MULTOSカードはMasterCard、大日本印刷、日立製作所が開発し、プラットフォーム型ICカードの先駆けとなった。MULTOSカードは、MELという専用のアセンブラライクな言語でプログラムを記述する。1999年にはクレジットカードとして大規模に発行開始し、世界初のプラットフォーム型ICカードの実用化となった。Javaカードはカード内にJava VMを内蔵し、Javaで記述されたプログラムを実行する事ができる。Javaの実行環境を含めたJavaカードなどでは、暗号化や電子署名の技術を使う事ができるものもある。
カードOS(通信制御・ファイル管理など)にITRONを採用しているカードもある。また、TRONプロジェクトが提唱している電子身分証のeTRONカードもICカードの一種である。
ICカードはプラスチックを使っているが、凸版印刷はリサイクル可能な紙を材料としたものを開発し、2009年4月から販売を開始した。併せて回収と再生までのリサイクルの体制の確立も行う。
ICカードはその目的に合わせて様々な機能を有し、それらは様々な形式で実装される。以下はその一例である。
電源と通信は同じ形式でおこなう場合が多く、これら2機能に基づいて「接触型ICカード」「非接触型ICカード」の2形式にしばしば分類される。

ICカードは各形式ごとにそれぞれ幾つかの方式が標準化・規格化されている。
接触型ICカードは、読み取り機に挿入した際に表面の金メッキの端子部分から外部電源が供給される仕組みになっている。物理的な仕様からコマンドなどの論理面までの必要最小限の部分が国際規格 ISO/IEC 7816(Part 1 - 15 がある)で標準化されている。国際規格でのICカード関連の規格は、カードの規格 (ISO) を参照。
ISO/IEC 7816では最小部分しか規格化されていないので、業界やサービスに特化した仕様が作成されている。
金融向けに、EMV仕様と呼ばれるユーロペイ、MasterCard、Visaによるデビットカードとクレジットカードの標準仕様がある。
複数のアプリケーションが搭載可能なカードやプラットフォームの仕様として、Javaカード仕様やMULTOS仕様がある。Javaカードには、VisaによるVisa Open Platform仕様がある(現在Global Platform)。
日本では、ISO/IEC 7816を元にした日本産業規格 JIS X 6300 がある。
業界標準仕様には、JICSAP仕様や全銀協ICキャッシュカード標準仕様などがある。
限定受信システム (B-CAS)用のICカード仕様は、ARIB STD-B25(デジタル放送に於けるアクセス制御方式)の第1部第4章で記述されている。
建設ICカードの標準として、日本建設機械化協会規格がある(JCMAS G 001-1 建設業務用ICカード―カード―第1部:物理特性 1997、JCMAS G 001-2 建設業務用ICカード―カード―第2部:機能仕様)。 業界標準は、ISO準拠だけではカード間の相互運用ができない場合があるという実装上の課題を解決するために生まれ、初期にはS型実装仕様などがあった。業界標準を規格化するために、JICSAP仕様を基にして、JIS・ISOの原案が作成されている。

非接触型ICカードは、読取り機の磁界を通過する電磁誘導の起電力を利用している。国際規格ISO/IEC 14443がある。リーダとライタの通信距離に応じて「密着型」「近接型」「近傍型」「遠隔型」の4種類に区別され、さらに近接型は「Type A」「Type B」に分類される。欧州ではType Aカード、特にオランダのフィリップスエレクトロニクスが開発したMIFAREが普及している。米国ではモトローラが開発したType Bカードも普及している。
非接触型ICカードは、多くのものが短波帯(HF帯, 13.56MHz)の電波を使用するものである。
ソニーは自社が開発したFeliCaをType CとしてISO/IEC 14443に提案したが、この国際規格には採用されず、後にFeliCaとMIFAREの上位通信方式がISO/IEC 18092 (NFC, Near Field Communication) として標準化された(FeliCaと同時期にType D - Gも提案されていたが、規格が乱立するとして標準化の議論を停止した)。2005年1月には、拡張規格であるNFC IP-2がISO/IEC 21481として国際標準規格に制定されType Bにも対応した。
日本ではJIS X 6321 - 6323がある。特定用途向けの規格に、住民基本台帳カード仕様 (Type B)、日本鉄道サイバネティクス協議会によるFeliCaの技術を採用したICカード乗車券規格(サイバネ規格)などが普及している。サイバネ規格のアプリケーションに関係する部分を除いた部分は、JICSAP仕様の第4部で仕様が規定されている。
ICカードの最初の大規模な適用先は、1983年にフランステレコム(現・Orange)が公衆電話の支払い用に使い捨てのプリペイドカードとして採用したテレフォンカードである。なお、フランスのICテレフォンカードは接触型である。日本でも国際電信電話(KDD、現・KDDI)が接触型のカードを採用している。1999年3月には日本電信電話が磁気テレホンカードの偽造対策として非接触型のICテレホンカード(ICテレカ)を導入し、同時にICカード式公衆電話も導入した。
その後、公衆電話は世界的に携帯電話に取って代わられ、プリペイドカードとしての利用は減少した。そのため、NTTは2005年1月20日に利用者の減少を理由に、費用がかかるICテレホンカードとICカード式公衆電話の廃止を発表し、翌2006年3月までに、全てのIC公衆電話を撤去し、利用者の多かった場所のみ磁気カード式公衆電話に置き換えている。
GSM携帯電話、NTT docomoの第3世代移動通信システムFOMAのFOMAカード、第3.9世代移動通信システムのXi及び第4世代移動通信システムのPREMIUM 4Gで使用されるドコモUIMカード、auのau VoLTEで使用されるau ICカード、ソフトバンクのSoftBank 3GにおけるSoftBank 3G USIMカード、イー・モバイルにおけるEM chipなどは、SIMカード/UIMカードという電話番号などが記録されたICカードが搭載された。SIM/UIMカードは取り外す事ができて、カードを別の端末に挿入する事で、別の端末に同じ番号を引き継ぐ事が可能になっており、通話用端末とデータ通信用端末とを1枚のカードを抜き差しして利用できる。
日本においては、これと別に「おサイフケータイ」としてNTTドコモを皮切りに、auとVodafone(現・ソフトバンク)が相次いで、非接触ICチップ (FeliCa) を携帯電話のアプリケーションとして導入している。

en:VideoCryptによる課金管理システムにはICカードが使用されている。
日本では、2000年12月1日に開始されたBSデジタル放送の視聴制御用カードとして、接触型ICカードのB-CASカードが導入された。B-CASカードにはID番号とマスター鍵が格納され、受信機に同梱されて配布されている。有料放送(WOWOW、スター・チャンネルBSなど)のスクランブル解除のための秘密鍵を配布管理する手段として利用された。その後、地上デジタルテレビジョン放送(2003年12月開始)や110度CSデジタル放送でもB-CASカードが採用されている。2003年5月までに17万枚を発行している。2004年4月5日にはデジタル放送のコピー制御(コピーワンス)が始まり、B-CASカードが挿入されていないと視聴できなくなった。B-CASカードは(株)ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズが発行している。

スカパー!プレミアムサービス及びスカパー!プレミアムサービス光では、専用のスカパー!ICカードがある。また、スカパー!プレミアムサービス受信機にはスカパー!プレミアムサービス用カード、スカパー!プレミアムサービス光受信機にはスカパー!プレミアムサービス光用カードをチューナーのカード差込口に入れる。また、スカパー!プレミアムサービス用カードは1996年9月30日のパーフェクTV!開始時からあり、現在と同様チューナーにカードを差し込まないと視聴することができなかった。
PPVの課金管理も行われる。
デジタルケーブルテレビ(デジタル化されたケーブルテレビ)の視聴には、接触型ICカードのC-CASカードが使用される。ただし、再放送される各種デジタル放送(上記の一般のB-CASカードが対象とする放送)の視聴にはC-CASカードの他にケーブルテレビ用のB-CASカードが必要である。そのため、B-CAS/C-CASの両方に対応する受信機 (STB) もある。C-CASは受信機メーカー間で仕様の差異が課題になっている。C-CASカードやケーブルテレビ用のB-CASカードの運用業務は「一般社団法人 日本ケーブルテレビ連盟 (JCTA)」が行っている。

キャッシュカード(バンクカード)、クレジットカード(日本)やプリペイドカードのメディアは、磁気カードからICカードへの切り替えが進んでいる。
フランスでは、1989年頃からバンクカードにICカードが導入された(1984年には最初のATMバンクカードが登場している)。日本では、クレジットカードは2001年頃から、パチンコ用プリペイドICカードは2000年からそれぞれ導入されている。クレジット・プリペイドカードに続いて、2004年からキャッシュカードのICカード化が始まった。
1993年に、クレジットカード大手のEuropay・Mastercard・Visaは、クレジットカード決済業務用ICカードの共通仕様開発に合意し、共通仕様を3社の頭文字をとってEMV仕様と名付け、以降、接触型ICチップを採用したクレジットカードやキャッシュカードは、全世界でEMV仕様のICカードが世界標準となっている。その後EMVには、JCB・American Express・銀聯・Discover Cardも加入している。
相次ぐ不正使用対策の為、割賦販売法を改正し、2018年6月1日に加盟店に対してIC決済対応を義務化された。
ICキャッシュカードとは、口座番号などの取引に必要な情報と秘密鍵を書き込んだICチップを搭載したキャッシュカードのことである。従来の磁気ストライプカードより偽造が困難である。
磁気ストライプ式キャッシュカードでは、磁性体の塗布や磁気カードリーダー/ライターを使って磁気情報を読み取る「スキミング」が容易にでき、偽造カードによる被害が多発したため、分解・解析しようとすると壊れる(耐タンパー性)ICチップを採用したキャッシュカードが必要となった。
フランスでは、1990年 - 1993年にかけてICキャッシュカードが普及したことにより、カード偽造による被害額が1989年と比較して、1998年にはおよそ10分の1に減少した。
中華民国では、2006年3月1日にICキャッシュカードに全面移行し、従来の磁気式キャッシュカードの使用を停止した。
韓国では、2014年2月よりATMにおける、磁気ストライプ式キャッシュカードの取り扱いを中止する予定(2013年2月から試験運用開始)。
日本では、2001年3月に旧・全国銀行協会が「ICキャッシュカード標準仕様」を制定し、2002年頃から導入検討や実証実験などが行われていたが、カード偽造が拡大し、その被害が報道された2004年 - 2005年以降、導入が加速した。ICチップ自体の耐タンパー性に加えて指静脈認証などの生体認証機能を搭載する事によって、強固な本人確認を可能にしている。なお、現行の規格上は、2049年末まで利用可能となっており、2050年以降でも利用可能な規格の新規開発ないしはソフトウェアのバージョンアップなどが必要とされる。
2008年現在では、いまだICキャッシュカードにも磁気ストライプが付いている事が多い(後述のように、みずほ信託銀行は2012年3月までに、ICカード付きキャッシュカードを使用不可とする措置を取り、差し替えの上で磁気ストライプのみのカードに戻している)。これはICチップ通信に対応していないATMや決済端末のための後方互換性の問題があるからだが、磁気ストライプでの引き出し金額を低く設定するサービスを行っている金融機関が多い。また、接触式ICチップに加えて非接触式ICカード通信方式に対応したものも登場し、ICカード乗車券として使えるものも登場している。
ICカードは電子マネーにも導入されている。
欧州では、ゲルトカルテ(独・1996年)やモンデックス(英・1995年7月)などICカードベースの電子マネーが導入されている。
日本では、2001年10月にビットワレット(当時)が電子マネーサービス楽天Edy(FeliCaを採用)、NTTコミュニケーションズからICカード搭載の電子マネーサービス「セーフティパス」の提供が開始された。2004年3月には、東日本旅客鉄道(JR東日本)がSuica電子マネーを開始している。
偽造耐性や(磁気カードと比べて)大容量メモリを活かして、運輸業界などからクレジットカードとプリペイドカード、ポイントカードの機能を融合した複合型カードも登場している。クレジットカードと乗車カードが合体したカード(VIEW SuicaやHANA PLUSなど)や、クレジットカードに電子マネーを搭載したカード (My Sony Card) もある。また、乗車カードをコンビニエンスストアなどの店舗でも利用できる様にしたカード (Suica・PiTaPa) もある。電子マネー(ちょコム)や電子チケット(ぴあ)、インターネットでの本人確認手段など幾つかの機能を1枚のカードで提供するサービス (SAFETY PASS) も登場している。
日本国内発行のクレジットカードについて、ICカード化・カード決済端末のIC対応化を、割賦販売法の改正により、2020年までに完了させる予定。
スキミングなど、急増するクレジットカード不正使用対策の為、従来型の磁気ストライプカード決済を廃止し、EMV規格に準拠したIC又は非接触決済への変更が急務となっている。
2015年(平成27年)10月より、セキュリティの高いICチップ対応の信用照会端末を設置していない場合の不正使用被害が、クレジットカードイシュア会社による損害補償対象外となり、カード加盟店の自責扱い(加盟店とアクワイアラーが賠償費用負担)となる制度変更が、クレジットカードイシュア最大手のVisaから2015年(平成27年)5月7日に通達され、同年10月1日に実行されたため、EMV規格に準拠した信用照会端末のIC対応化が急務となった。
ICカード乗車券は、1992年にフィンランド・オウル市のバス会社が「バスカード」として導入したものが世界初である。
非接触ICカードにはType-A(NFC-A)やType-B(NFC-B)などの規格があり、日本で初めてのIC乗車カード導入事例となったユーバスカード(静岡県豊田町〈現・磐田市〉、1997年10月)ではType-Aが採用されたが、ほぼ同時期(1997年9月)に香港の八達通ではソニーの非接触型ICカードFeliCaが採用され、その後日本でもサイバネ規格に採用されたが、FeliCaの国際展開はその後停滞した。
これらのICカードは、駅の自動改札機、自動券売機やバスの運賃箱など、各種の駅務機器や車載処理器で使用する。
ICカードは、磁気カードに比べて記録できる情報量が多いのはいうまでもないが、非接触式(無線式)であるため、自動改札機や運賃箱などの可動部分を減らす事ができ、メンテナンスの頻度を減らす効果も期待できる。もっとも、自動改札機の場合は実際には磁気券との共用機が多いので、メンテナンスの頻度が直ちに減る訳ではない。
日本における普及当初は事業者単独、かつ鉄道部門単独またはバス部門単独(事業者によっては路線限定)での導入が基本だったが、2002年1月21日より長崎県の主要バス事業者(西肥自動車、佐世保市交通局、島原鉄道、長崎県交通局、長崎自動車)が全国初の複数事業者共通バスICカードとして長崎スマートカードを導入した。鉄道・バスで共通利用できるICカードは遠州鉄道が2002年3月1日より試験導入したEG1CARDが全国初であり、本格導入された鉄道・バス共通ICカードとしても同社のナイスパス(2004年8月20日導入)が全国初である。

日本の鉄道分野では、1996年頃に「汎用電子乗車券技術研究組合」が設立され、技術検討や実証実験が行われていた。その後、2000年3月に日本鉄道サイバネティクス協議会によるICカードを利用した乗車券の規格であるサイバネ規格が定められ、その後、各事業者でICカードの導入が進んだ。
日本のバスでも特に21世紀に入ってからは各地の事業者での導入が本格化している。
その他に実証実験を行っている会社もある。

多くのカードは、JIS X 6319-4とサイバネ規格に準拠したチップを採用しており、技術的には同一の端末機器で読み書きできる。これを利用して、2013年3月23日からは「交通系ICカード全国相互利用サービス」を開始し、全国10種の交通系ICカードが乗車カード・電子マネー(PiTaPaによる電子マネーとしての利用を除く)として相互利用可能となっている。また、一部の地域単位で導入されているICカードのエリアについては「交通系ICカード全国相互利用サービス」の10種のカードで利用可能(逆は基本的に不可)としているケースがある。
この他、地域単位で導入されているICカードについては、個別に相互利用・片利用を可能としているケースがある。
日本のノンストップ通行料金支払いシステムであるETCシステムでは、「ETCカード」と呼ばれる専用のICカードを車内のETC車載器にセットして利用する。通行料金の支払いはシステムの性質上クレジットカードまたは、東日本・中日本・西日本の各高速道路株式会社への後払い(ETCパーソナルカードならびにETCコーポレートカード)となる。
日本では、地方自治体が独自に市民カード、図書館カードや施設予約カードなどにICカードを導入していたが、2003年以降、統一的に「住民基本台帳カード」(2003年8月25日から。2015年12月末に新規発行終了)、バイオメトリック・パスポート(IC日本国旅券、2006年3月20日から)、運転免許証(ICカード免許証、2007年1月4日から)、在留カード(2012年7月9日から)、マイナンバーカード(個人番号カード)(2016年1月4日から)にICカード(ICチップ)の採用が進んだ。また、e-Japan戦略に関連して「国家公務員身分証明書ICカード」が2006年に導入された。政策総括監に総務省の職員の出向を得てIT CITYを標榜している大阪府箕面市では、全国に先駆けて職員証にICカードを導入した。
霞ヶ関WANやLGWANにおける電子証明書を発給するための認証のため官職カードが各官庁や都道府県、市町村に導入された。
厚生労働省では、2004年9月30日、「医療情報ネットワーク基盤検討会」の最終報告書において保健医療福祉分野での公開鍵基盤の必要性が示された。それに基づき2006年度に「保健医療福祉分野における公開鍵基盤認証局の整備と運営に関する専門家会議」の配下で保健医療福祉分野公開鍵基盤(HPKI)が構築され、医師・薬剤師・看護師など27種類の保健医療福祉分野の国家資格を証明するHPKIカードが導入された。
アメリカ合衆国では、米国政府従業員証 (PIV) としてICカードが採用されている。またアメリカ国土安全保障省が2009年11月から導入を開始した社会保障番号「Real ID」にもICカードが導入された。
マレーシアでは、多目的市民カード「MyKad」としてICカードが採用されている。2001年4月に導入され、2003年7月までに約570万枚が配布された。アプリケーションとして、身分証明(氏名・性別・住所・生年月日・出身地など)、個人認証 (PKI)、健康情報、キャッシュカード、電子マネー、運転免許証、パスポート(近隣出入国管理)、コンタクトレス・ペイメントシステムがある。
フランスでは、1998年にICカード式の健康保険証ヴィタルカードが配布開始された。また、医師にはCPS (Carte de Professional de Sante) カードが配布された。保険金の還付手続きを電子化する事で、事務処理費用の削減と払い戻し期間の短縮などが実現された。
香港では、2003年6月23日からICチップを内蔵した香港身分証(香港IDカード)の発行が開始された。香港政府は、4年後の2007年6月までにすべてのIDカードをICカードに置き換えたいとしている。同カードは、公共図書館の利用やe-道 (e-channnel) と呼ばれる自動出入境ゲートでも使用できる(香港は国ではないので「出入国」と言わない)。2007年には、免許証としての利用も開始される予定である。
台湾では、全民健康保険(台湾の国民健康保険)の健康保険証をIC化した「健保ICカード」を2002年に導入、2003年に全面的にICカードに移行した。また、台湾の外国人登録証である「外僑居留証」も2007年よりICカード化され、2008年に全面的にICカードに移行する予定である。
ICカードは企業の社員証や学生証などのIDカードとしても利用可能であり、1980年代の後半には社員カードとしてICカードが採用され、同じく日本で初めて高知工科大学が学生証にICカードを採用した。身分証明書としてだけではなく、ビル入館許可証(例 : ドコモタワー、NTT幕張ビル、ららぽーと豊洲、西日本旅客鉄道本社ビル、東京ミッドタウン)や大学の講義の出席管理、勤怠管理タイムレコーダーの打刻カード、情報端末の解錠用カード、社内の食堂や売店、自動販売機での支払い管理に利用されている。
2004年には、FeliCaを利用した社員カード・学生カードの普及とサービスの拡大を目的にFeliCa共通利用フォーマット推進フォーラム[現在は一般社団法人FCF推進フォーラム](通称:FCF )が発足し、IDカードとしての共通フォーマットを提唱している。FCFには2016年10月現在153社のカードソリューション企業が参加している。FCFが提唱する教育機関向けの学生証・教職員証のための共通フォーマット「FCFキャンパスカード」は2016年10月現在296教育関連機関(大学、短大、高校、中学など)で採用され120万枚以上が発券されている。
建設業界では、「建設ICカード (Construction Card)」として共通に利用できるカードがある。1995年頃から建設業務用ICカードの規格制定が始まり、翌1996年頃から建設ICカードの発行も始まった。2004年には発行累積枚数が13万枚を超えた。建設現場の入退管理、機械操作の資格確認などの合理化に使用されている。1つの現場には工程毎に様々な企業が関係し、人の出入りが複雑なため、企業や現場を超えて共通して参照できるカードが必要とされた。例えば、機械(クレーンなど)を運転する際にICカードで資格確認と運転履歴の記録を行う。カードから読み出した資格・技能コードで資格判定し、OKの時にはエンジン起動ロックが解除される。
日本では、2008年7月1日より自動販売機でのタバコ購入に際し、一種の身分証明とも言えるICカード「taspo」(タスポ)の発行を受けているので、taspoカードをセンサーに読み込ませないとタバコの購入ができない(対人販売の場合はカードなしで購入可能)。なお、「taspo」には電子マネー機能も付随し、カードに金額を入金すると残高分の金額でタバコを購入する事ができたが2014年3月31日をもってチャージの受付を終了、2015年2月25日をもって電子マネーでのたばこの購入終了を予定している。
東京都世田谷区の烏山駅前通り商店街にて、1988年にICカード「IC-CARDIA」を導入し、スタンプのカード化を行っている。その後、プリペイド機能とクレジット機能が追加され、商店街カードとして利用されている。 2006年には、より安全・快適に使用できるセキュアなNTTコミュニケーションズが提供するセーフティパス機能付きICカードを搭載した「えるもーる LUCK CARD」を導入を行った。
最近では、Edyを商店街単位で導入するところも増えている。
また、SuicaやPASMOなどIC乗車カードすべてがそのままポイントカードとして利用できる地域ポイントカードのシステムが開発・運営されており、東京都内のJRや私鉄沿線の商店街では利用客の大多数がSuicaなどを所持・携帯している事、新規カード発行費用の負担削減などの理由からこのシステムを導入する動きが広まっている。
施設内のアーケードゲーム機などの支払い管理用(プリペイドカード)だけではなく、プレイデータの記録管理用のIDカードにも使われている。セガとバンダイナムコアミューズメントは、かつてはタイトル毎の専用ICカードを必要としていたが、一元管理システムである「Aime」「バナパスポート」へ移行していった。2018年10月25日からセガ・インタラクティブ、バンダイナムコアミューズメント、コナミアミューズメントの3社の規格を統一した「Amusement IC」サービスが開始され、「Aime」「バナパスポート」「e-amusement pass」の相互利用サービスが開始された。タイトーも、2019年3月より「Aime」「バナパスポート」「e-amusement pass」との相互利用サービスが開始された。
ICカードは磁気カードよりも安全であると考えられており、偽造対策等のセキュリティの向上を目的とした置き換えが進んでいる。
磁気ストライプ上の情報には不正な読み書きを防止する仕組みはないため、比較的安価な装置で改ざんやコピーができるのに対して、ICカードの場合にはICチップでアクセス制御を行う事ができるため、偽造を行うには、ICチップを分解し、専用装置を用いて内部を解析しなければならず、その手間やコストが掛かる分だけ安全であるという。しかし、1990年代中頃からポール・コーチャ (Paul Kocher) やロス・アンダーソン (Ross Anderson) 達の研究によりサイドチャネル攻撃など数々の攻撃方法が開発され、秘密鍵の読み出しが容易なICカードも存在する事が判明した。これらの新しい攻撃方法に対処したICカードの開発が課題となっている。
ICカードは、偽装や変造などの不正行為が磁気カードよりも困難である事を期待されている。その根拠を以下に示す。
そこで、プリペイドカード(テレホンカード、パチンコカード、乗車カード)やクレジットカード・キャッシュカードの偽造変造による被害を防止するために、ICカードへの置き換えが進んでいる。
高機能なCPUを搭載したICカードは、カード内部で複雑な処理が可能であり、磁気カードよりも多機能なカードとして利用できることが期待されている。例えば、パスワードをICカードに格納し、利用者が入力したパスワードを、ICカード内で検証する事が考えられる。
プログラムダウンロード可能な仕組みを持つICカードは、発行後にも新しい機能をICカードに追加する事ができ、多目的なカードとして利用できる事が期待されている。1サービス毎に1枚のカードを発行する従来の方式では、複数のサービスを利用する人は複数枚のカードを持つ事になるが、多目的カードでは1枚のカードにできる事になる。
以上の様に、偽造耐性があり、多機能・多目的なカードとしてICカードは期待されている。
フランスでは、バンクカード(クレジットカード)をICカード化する事により、それまで発生していたカード偽造犯罪を激減させる事ができた[ECOM99][要出典]。
日本では、磁気テレホンカードの偽造対策として1999年にICカードを導入したが、公衆電話の利用者減少を理由に2006年3月末にICカードを廃止した。 同じく磁気カード(PETカード)であったJR東日本の従来のオレンジカード・イオカードに代わって導入されたSuicaでは、2008年3月現在に於いて偽造変造は知られていない。
数百億円の不正使用があったパチンコカードもICカード化されているが、ICカード化以前にサービスの縮小やサーバーでのID管理などによって不正使用対策を施したため、ICカード化の効果は未知である。
チップ自体の耐タンパー性、OSやライブラリの実装方式、アプリの設計など様々なレベルで、対応が検討されている。また、第三者による評価・認証も求められている。
認証制度には、ISO/IEC 15408,FIPS PUB 140-2や業界独自の認定(Visaによる認定など)がある。
ICカード用のICチップを製造している主なメーカー
EAL5 ライン
EAL4+ ライン
なし