| 2026 ED138 | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
2026年6月にヴェラ・C・ルービン天文台によって観測された 2026 ED138(中央に見える白色の天体)の画像 | |||||||
| 見かけの等級 (mv) | 19.7(Vバンド) | ||||||
| 分類 | 太陽系外縁天体 分離天体 古典的カイパーベルト天体 | ||||||
| 発見 | |||||||
| 初観測日 | 1937年12月30日 | ||||||
| 発見日 | 2026年3月4日 (暫定的な発見観測がされた日) 2026年10月13日 (新天体としての承認日) | ||||||
| 発見者 | マシュー・J・ホルマン | ||||||
| 発見場所 | シモニーサーベイ望遠鏡 (ヴェラ・C・ルービン天文台) | ||||||
| 軌道要素と性質 元期:TDB 2461200.5(2026年6月9.0日) | |||||||
| 軌道長半径 (a) | 42.949 au | ||||||
| 近日点距離 (q) | 36.861 au | ||||||
| 遠日点距離 (Q) | 49.036 au | ||||||
| 離心率 (e) | 0.142 | ||||||
| 公転周期 (P) | 102807.166 日 (281.471 年) | ||||||
| 軌道傾斜角 (i) | 24.471° | ||||||
| 近日点引数 (ω) | 167.953° | ||||||
| 昇交点黄経 (Ω) | 322.501° | ||||||
| 平均近点角 (M) | 128.334° | ||||||
| 前回近日点通過 | 1926年4月18日 | ||||||
| 次回近日点通過 | 2209年4月13日 | ||||||
| 最小交差距離 | 6.860 au(海王星軌道に対して) | ||||||
| ティスラン・パラメータ (T jup) | 5.298 | ||||||
| 物理的性質 | |||||||
| 直径 | 612 - 1,530 km 968 km | ||||||
| 絶対等級 (H) | 2.85 ± 0.23 3.19 ± 0.04 | ||||||
| 色指数 (g-r) | 0.63 ± 0.07 | ||||||
| 色指数 (r-i) | 0.26 ± 0.05 | ||||||
| 表面温度 |
| ||||||
| ■Template (■ノート ■解説) ■Project | |||||||
2026 ED138 は、エッジワース・カイパーベルトにある大型の太陽系外縁天体の一つであり、準惑星に分類される可能性がある天体である。2026年10月13日に天体物理学者のマシュー・J・ホルマンが同年初めにヴェラ・C・ルービン天文台によって得られた観測データを調べている際に発見された。直径は 612 km から 1,530 km と推定されており、既知の準惑星候補の天体としては最大級の大きさを持つ可能性がある。また、既知の準惑星候補の中で最も明るく見える天体の一つとしても知られている。
2026 ED138は、2026年の初めにチリにあるNSFヴェラ・C・ルービン天文台によって得られた観測データを調べていたアメリカの天体物理学者マシュー・J・ホルマンによって同年10月13日に発見された。この探索では、ホルマンが Kevin Napier と共同開発した、画像内を移動する天体を自動的に特定するコンピュータプログラムが活用された。2026 ED138 を発見した際、ホルマンはその見かけの明るさがおよそ20等級と異常に明るいことに気づき、過去の画像に同一の天体が映っているか更なる調査を行うように促した。クロアチアの天文学者である Mario Jurić は、同年3月4日にヴェラ・C・ルービン天文台によって撮影された画像まで遡って調査したところ、2026 ED138 が写っている画像を新たに20枚発見し、さらにB612財団が運営しているB612小惑星研究所 (B612 Asteroid Institute) は、セロ・トロロ汎米天文台に搭載されているダーク・エネルギー・カメラ (DECam) によって2016年から2019年にかけて撮影された画像の中に 2026 ED138 が写っていることを発見した。10年以上の期間に及ぶ観測データが集まったことを受け、小惑星センター (MPC) とヴェラ・C・ルービン天文台の研究チームは、2026年10月27日に 2026 ED138 の発見を共同で発表した。
その翌日には、小惑星センターには2010年から2011年にかけてVISTA望遠鏡によって撮影された画像に写っていた、さらに古い 2026 ED138 の観測記録についても報告された。その後、20世紀中に撮影された写真乾板中に写っていないかデジタイズド・スカイ・サーベイで調べられた結果、1937年末にボイデン天文台で撮影された画像や、1954年にパロマー天文台で撮影された画像、1977年、1991年、2000年にサイディングスプリング天文台で撮影された画像に写っていたことが報告され、軌道の不確定性パラメーターは2まで向上した。太陽系外惑星の捜索を行う宇宙望遠鏡である TESS では2019年から2026年の7年間で5度にわたる観測期間(セクター)の間に 2026 ED138 を撮影していたことが分かったが、光度曲線に有意な変動は検出されなかった。
2026 ED138 の位置は銀河面に近く、恒星が密集している領域で発見された。既知の太陽系外縁天体の中でも特に明るい部類に入るにもかかわらず、背景の恒星に隠れてしまうことが多く、また、従来の望遠鏡による観測頻度も低い領域にあったため、長らく発見されなかったとみられている。2026 ED138 の発見は、ヴェラ・C・ルービン天文台が南天全域を頻繁に観測していること、そしてその膨大なデータセットから新たな天体を探し出すためのコンピュータアルゴリズムが活用されたことによって可能となった。発見者らは、同等の大きさを持ちながらも見逃されている太陽系外縁天体はまだあと数個ほど残っていると見積もっている。
「2026 ED138」という名称は、発見された際に小惑星センターから付与された仮符号における表記である。この仮符号には、発見年(2026年)、1年を半月単位で区切った発見時期を示す符号(「E」は3月前半を指す)、そしてその期間内に発見された他の小惑星の中での順序番号(「D138」はその期間内において3,454番目に発見された小惑星であることを示す)が含まれている。小惑星センターによると、小惑星は軌道が十分に判明し、数年以上にわたって広範な観測が行われた段階になれば小惑星番号が付与される。小惑星に固有の名称が与えられるのは、この段階を経てからとなる。
2026 ED138 は、古典的カイパーベルト天体に分類されるとみられている。国際天文学連合 (IAU) の規定では、こうした天体には神話に由来する名称を付ける必要があり、特に創造神話に関連する名称が望ましいとされている。
2026 ED138は、軌道長半径が太陽から約 43 au(約64億 km)離れた、海王星よりもさらに外側の軌道を公転する太陽系外縁天体 (TNO) である。この軌道は他にも多くの太陽系外縁天体や、冥王星のような準惑星が存在しているエッジワース・カイパーベルト内に位置している。その軌道は歪んだ楕円かつ黄道面から傾いており、軌道離心率は 0.14、黄道面に対する軌道傾斜角は約24度に達している。こうした軌道特性は海王星との重力相互作用によって本来の軌道から撹乱されて現在の軌道に移動してきたことを示唆しており、このことから、2026 ED138は「高温」な古典的カイパーベルト天体に分類される。
歪んだ楕円軌道になっているため、2026 ED138 は近日点では太陽から約 37.1 au(約55.5億 km)まで近づき、遠日点では約 49 au(約73.3億 km)まで遠ざかる。太陽の周囲を1周するのに要する公転周期は約283年である。この公転周期は海王星の7分の12倍に近く、準惑星に分類されているハウメアと同様に、海王星と7:12の平均運動共鳴の関係にある可能性がある。軌道特性はハウメアと似ているものの、表面の色合いが異なることから、2026 ED138 はハウメアやそれと似たような軌道を持つ小惑星族であるハウメア族とは関連はないと考えられる。2026年10月時点で、2026 ED138 は太陽から約 46 au(約68.8億 km)の距離にある。最後に近日点を通過したのは1926年4月頃であり、次は2209年4月頃に近日点に達する見込みである。
2026 ED138 の直径はこれまで直接測定されたことはないが、その絶対等級 (H)に基づくと、612 km から 1,530 km の範囲にあると推定されている。直径が確定していないのは、太陽から入射する光を反射する割合であるアルベド(反射率)が求まっていないためである。絶対等級 (H) が分かっていても表面が暗ければ(アルベドが小さければ)直径は大きく、逆に明るければ(アルベドが大きければ)直径は小さくなる。この程度の大きさを持つ氷で出来た天体は、自身の重力によって球形に近い形状になっていると考えられており、2026 ED138 は準惑星に分類される可能性がある候補天体で、既知の準惑星候補の天体において最大級の大きさを持っていると見做されている。絶対等級 (H) は3等級であり、これは既知の太陽系外縁天体の中でも非常に明るく、絶対等級が明るい順に並べると(50000) クワオアーに次いで9番目の明るさとなる。アルベドが 0.25 の場合、準惑星であるエリスの衛星ディスノミアと同程度、アルベドが 0.04 の場合はハウメアと同程度の大きさを持つことになる。多くの大型の太陽系外縁天体で見られる 0.10 というアルベドを仮定すると、直径は約 968 km となり、(90482) オルクスや (50000) クワオアーと同程度の大きさとなる。実際の直径は、特にアルベドが 0.10 から 0.25 の範囲に対応する 612 km から 968 km の範囲内にある可能性が高いと考えられている。多くの太陽系外縁天体の発見に関わったマイケル・ブラウンは、推定される直径が 200 km 以上の太陽系外縁天体の準惑星への分類可能性の度合いを5段階で示しているが、この基準に基けば 2026 ED138 は最も上の「ほぼ確実に (Near certainly)」か2段階目の「高確率で (highly likely)」準惑星に分類できる天体という評価になる。
大きさにかかわらず、2026 ED138 がメタンや一酸化炭素、窒素を含む大気を保持している可能性は低いとされている。こうした物質は時間が経過すると表面から宇宙区間へ散逸してしまうと考えられているためである。一酸化炭素を表面に保持するために必要なアルベドの理論的な上限値は0.037未満、窒素の場合は0.033未満とされている。2026 ED138 で測定されている色指数は、u – g = 1.55 ± 0.09、g – r = 0.63 ± 0.07、r – i = 0.26 ± 0.05、i – z = 0.12 ± 0.06、z – y = 0.08 ± 0.07である。これはハウメア族に分類される太陽系外縁天体(明るい灰色の表面を持つ)よりも表面が赤い色合いとなっていることを示している。2026 ED138 の過去の観測記録の調査に関わった Mario Jurić は 2026 ED138 について「かなり赤みを帯びており、これは有機物によって暗くなった氷の表面を持つことを示唆している」と述べている。
今後、更なる赤外線観測や背景の恒星を覆い隠す掩蔽観測を行うことで、2026 ED138 の大きさをより正確に測定できるようになるとみられている。さらに、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡などによる高解像度画像によって、2026 ED138 が衛星を持っているかどうかが明らかになる可能性もあり、もし衛星が存在していれば、それを基に質量を測定できる可能性がある。